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【読書】なぜ働いてると読書量は減るの?

「なぜ働いていると
本が読めなくなるのか?」

これは、今年一番の、
見事に人間の盲点を突いた指摘でした。

それを書いた三宅香帆さんの
集英社新書『なぜ働いていると
本が読めなくなるのか』が
「書店員さんが選ぶノンフィクション
大賞2024」に選ばれました。

痛快な盲点でしたね。
江戸時代、明治、戦前、戦後、
高度経済成長期、バブル期などなど、
時代ごとに、
働き方と読書の在り方について
考えていった三宅さんの
思考の運び方が良かった。

でも、一番は、やはり、
タイトルのような疑問を
素直に素朴に持てたことだと思うんです。

普通は、忙しくなるなり、
歳をとるなりすると、
読書量は少なくなるでしょう?  
当たり前じゃない?
と人は疑問に思う心すら持たない。

私は、発売後すぐ、この本を
本屋さんで見つけた時は、
タイトルは気になったけど、
目次をパラパラ見ても
正直、「うわ、これは
大ヒットする本だぞ!」とは
感じなかった…。

その後、あれよあれよと
この本が重版を重ね、
話題となっていくのを、
自分はなんとまあ、
本を見る目がないんだ?と
歯がゆく思ってました。

それにしても、
歳を重ねたら読書量が減る、
というのは、半分は正しい。

物理的に仕事で忙しいから
読書にあてる時間が減るから。

それから、仕事で多忙を極めてると
もう学生時代みたいには
柔らかな知的好奇心が少なくなり、
それで読書量が減る、
だから本を読まなくなる、
というのが、もう半分の正解でしょう。
内的な問題でもあった訳です。

でも、知的好奇心は
意識して磨こうとすれば
実はピカピカに磨けるんですよね。

仕事に没頭し過ぎるのを、
ちょっとだけブレーキを踏む。 
それを、著書の三宅香帆さんは
「半身で働く」と表現している。

ここでまた疑問が湧いてくる。
アルバイトならまだしも
ちゃんとした仕事をする身でありながら、
「半身」で働くなんて、
できないでしょう、普通は。
半身で働くなんて、それは
ある程度お金がある人ができる
はなしでしょう?

と普通なら思うかもしれません。
でも、工夫ひとつで、
半身は、可能なんじゃないかしら?
とも思うんです。

8〜10時間、毎日、ずっと
集中して働いて、
退勤する頃には、
もうフラフラで、
読書できないくらいに働くこと自体、
どこか異常では??
もっと、良い意味で
自分本意に生き、働くことも
大事ではないかしら?

常に「余力」を残しながら働く。
それがプロという気もするんです。
全力で働くことが称賛されたのは
高度経済成長期で終わったと
考えていいのでは?

そうして、余力を残して、
夜は好きな読書をする。
そんな生活はきっとまた 
何かを生み出すクリエイティブな
生き方かもしれません。

読書を減らさない秘訣は、
自分本意に働くことなりけり。

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