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【読書】人生を救ってくれるのは?色川武大?中島らも?

救いになる本。
救ってくれた本。
心に癒しをくれた本。

誰にもそんな本が1冊は 
心当たりがあることと思うんです。
私は何て本だろう?
そんなことを考えさせてくれたのは
ある文庫の解説文でした。

「息詰まると、しょっちゅう、
トイレへうたた寝しに逃げ込んでいた  
あの頃の私は、色川武大になら
見捨てられないだろう、と
存在全体を受け止められている
ように思っていた。
本を読むことを通じ、
かけがいのない安心感を
与えられていた。」


『色川武大・阿佐田哲也
ベストエッセイ』(ちくま文庫)
この本の巻末解説として、
作家・木村紅美さんが
寄せた文章です。

20代、OLをしながら
仕事や人間関係に疲弊していた
木村さんは、色川武大を
拠り所にしていたんですね。

「いま、こんな器の大きな
セーフティネットといえる作家は
いるだろうかと考え込んでしまう。
(色川に)助けを求め、引き寄せられる
読者は、このさき、ますます
増えるのではないだろうか。」


私はこれを読んだ時、
最初、セーフティネットという
言葉がピンと来なくて
ネットで調べました。

そしたら、あれでした、
生活保護とか、最後の守りとか、
行政の福祉を意味する言葉で、
比喩としては
救ってくれる存在、
ということでしょうか。

大好きで推しなものと、
似てるかもしれませんが、
どうもちょっと違いますかね?

繊細過ぎる作家や
学者過ぎる作家には
安心して背中から倒れても
受け止めてくれそうな、
大丈夫な「安心感」は
なかなか出ないですね。

色川さんは、
戦後文学では異端児な存在で、
コンプレックスとか
ハズレ者の代表でした。

彼は一生、成功者にならなかった
貴重な、レアな存在でした。

一生、落ちこぼれとして生き切り、
優しい気持ちを配り歩いた人でした。

この優しさ、
中島らもさんにも
近いものがあった気がします。

色川武大と中島らも。
ギャンブル好き。
不良青年。落ちこぼれ。
エッセイが上手い。
優し過ぎる。
学校中退。
かたぎではない人種。
共通項がいっぱいですね。

そんな人からしか出せない
温もりある愛情、それが
読者を救ってくれるんですね。

色川武大『怪しい来客簿』や
『百』『生家へ』『狂人日記』は
エリート作家からは
出てきませんね。

私が人生で切迫した時、
救ってくれたのは、
色川武大のエッセイでしたね。
タイトルはちょっと忘れましたが。汗。

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