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石の上の詩

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2021年1月の記事一覧

熊づかい(変奏1)

熊づかい(変奏1)

熊づかい
熊の綱
ほどく


ほどかれた熊
水辺
ウロウロ
さまよう

西の空
腹裂かれたウナギ
飛んでゆく
ヒラヒラ

原っぱ一面
ミョウガの花咲く
すきまなく
びっしり


締めつける


締めつけられる

冬の訪れ
銘記する風
極太の風
吹き抜けてゆく

だだっ広い
寥寥たる
大地

貫いて。

小(さな)島の小(さな)川の

小(さな)島の
小(さな)川の

そのほとりに咲く
名も知らぬ花

その微かな
かをりに
誘われて

たそがれ
どき(ッ)

うるんだ
大気に
四肢
包まれて

胸の
奥底
そぞろ歩く

あなた
(アナタ)

(ヲ)
探して
(サガシテ)

一枚の地図

一枚の地図

台地を縫って
小さな川
いくつも
流れていた
川筋の
谷町


その多くは
深い濠
あるいは暗渠となり
ひと
容易に水を
見ることを得ず

しかし
川筋の
谷町
今も
なお

一つの
谷町の
一枚の
地図
手渡される
その場所の
記憶手繰る
旅に出る

谷降りてゆく
その途中
緑の木々に囲まれた
垢抜けた
喫茶店

そして谷底
白壁に
Barと赤い
ネオンサイン
灯す店

臆しつつ
それらの

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われわれは何も知ることができない

われわれは
それについて
何も知ることが
できない

何ぴとも
そうなってから
語ることは
できない

みてきたような
嘘をいう
おしゃべり

それはそれで
いいものだ

ただ
どうしたって

われわれは
それについて

何も知ることが
できない

それが招く
からさわぎと
それとは何ら
かかわらない

そしてわれわれは
空白を
真ん中にして
騒ぐことに
慣れている

われわれは
何も知ることが

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詩を読みながら歩いた

詩を
読みながら
歩いた
すると

自分は
詩を
どう読むか
どう読みたいか
少しずつ
感じられて
きて

得るところの
多い
歩行
であった

読むのではない
何も
定めず
ただ息を
吹き込むように
フリーに

ただし
詩のよしあしは
たった3行で
わかるようでも
ある。

コスモスが

コスモスが

コスモスが
咲き乱れる畑
その中の
一本道
色鮮やかな
衣装をまとった
おんなたち
朗らかに
愉しげに
歩いてゆく

おんなたち
ここまで
どれほどの距離
歩いてきたか
歩きうると
思えぬほどの
長い旅程を

ぼくらもまた
ようやく
ここまで
たどり着いた
ただ求めるまま
求められるまま
ここまで

見よ
あの
晴れやかな
こぼれるような
笑顔を

おんなたちに
ぼくら
加わる

荷物
背負い直す

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