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モネ 睡蓮のとき 本物を楽しむ幸せ
モネといえば 睡蓮
睡蓮といえば モネ
去年に引き続きモネの傑作を鑑賞しました。前回はモネの人生を連作と共に振り返る展示でしたが、今回は"The 睡蓮" 睡蓮作品の目白押し
モネ 睡蓮のとき
日本初公開となる重要作およそ50点を多数含む、過去最大規模の〈睡蓮〉が集います
ちょうどNHK日曜美術館でも
取り上げられていました
2025年ハッピーニューアーツ
2月11日までは
東京/上野の国立西洋美術館で開催中
3月7日〜6月8日
京都京セラ美術館
6月21日〜9月15日
愛知県/豊田美術館
Discover JAPAN 国内旅行します
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注)ネタバレがあります
写真撮影可能エリアは第3章 大装飾画への道のみです
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酒、麻雀、あと一つの次くらいにモネが好きだそうです。印象派の画家の中でも天然の性格が良いとか...
ちなみに去年訪れたモネ展はこちら↓
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解説には"大装飾画の関連作品を外に出すことを嫌ったモネが、生前に唯一、売却を認めた装飾パネル”と記載されています。さらに、この作品は1923年に関東大震災の被災者のためにパリで開催された展覧会に出品しましたが、それを知ったモネの抗議により直ぐに会場から撤去されたようです。その後、第二次世界大戦を経て長らく所在不明になっていた今作品は2016年(結構最近!)にルーブル美術館において画面の大部分が破損された状態で発見されました。
なぜ、大装飾画を外へ出すことを嫌ったモネから日本はこの一部を購入することができたのか?その疑問の答えは上記の記事で経緯が分かります。
20世紀初頭から第一次世界大戦期にかけて首相を務めた政治家ジョルジュ・クレマンソーは画家クロード・モネと無名時代からの友人でした。
クレマンソーは政治家としてのみでなく、自ら小説や戯曲を執筆するほどに芸術への造詣が深い人物。
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印象派という新しい潮流が広がり、ジャポニスム(日本趣味)が花開いた時代にあって、クレマンソーは喜多川歌麿や歌川広重の浮世絵や香合、刀剣、陶磁器など日本の美術工芸品の蒐集でも知られた。その風貌から彼が〈ハリネズミ〉と呼んだ画家のクロード・モネとの親交は、こうした19世紀末のパリの文化的なカオスのなかで育まれた。
モネの作品には"日本”が見える
モネの中に見つける"日本”
ジャポニスム(日本趣味)が拡がる背景の中、日本の美術工芸品を蒐集しているクレマンソーと日本人実業家/松方幸次郎は交流を持ちます。その縁で松方はモネ本人と会い、銘酒ナポレオンを携えて〈睡蓮〉を譲って欲しいと率直に交渉します。その熱意に応じたモネ、こうして蒐集された松方コレクションですが...残念ながら第二次世界大戦後、戦勝国フランスに没収されてしまいました。1927年の金融恐慌により経営者の役職から外れる松方幸次郎、彼が蒐集した千数百点に上る"松方コレクション”は本人の手を離れてしまったものの、時は流れ、漸くコレクションが日本の地を踏みます。その返還交渉を先頭で担ったのは首相/吉田茂でした。松方の協力者であった八代幸雄らと通じて苦労を重ね、松方コレクションを復活させます。残念ながらその一部の作品は差し引かれた状態でしたが、国立西洋美術館という”力強い器”の中へ護られて本日に至ります。今回展示されている欠損した<睡蓮、柳の反映>も最近までルーブル美術館に在ったなら、”所在不明”じゃないよね?
取り戻した
失われた松方コレクション
モネが造る芸術を鑑賞できる背景にはパトロンの存在、生涯に渡るクレマンソーとの友情、繋がる蒐集家の熱意、返還を求める政治家の交渉あってこそ実現しています。国の貴重な財産を根気強く交渉し戻してくれてありがとうございます
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本展覧会にて、たくさんの<睡蓮>を鑑賞しました。写真撮影不可エリアにはセーヌ河の風景やチャーリングクロス橋を描いた作品、習作などが所狭しと並んでいます。白内障を患ってからの薔薇園を描いた作品にも出会いました。畳み掛けるような<睡蓮>の連続に素人は混乱するほどに作品の数が存在します。そんなとき、音声ガイドを聴きながら鑑賞すると作品の奥行きが分かり飽きがこないより深く楽しめます。今回のオーディオガイドは石田ゆり子、心地良い声でした。モネが愛したジヴェルニーの庭についての解説や現在のオーランジェリー美術館が建設されるまでの経緯などを詳しく知ることができます。
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美術展鑑賞は体力を使いますので
先に腹ごしらえ
たいめいけんはJR上野駅の構内にあります。間違っても改札を出てはいけません(出てしまったのは私)
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モネ展のチケットを見せて、白玉2つをゲットしました。大満足
最後に
私にとってのモネの思い出は
ボストン美術館所蔵のLa Japonaise
”和服を纏うカミーユ”です。20代の頃、今よりもっとモネへの知識が浅い自分が度肝を抜かれた作品。モネ=睡蓮のイメージが吹っ飛んだのです
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モデルはモネの最愛の妻カミーユ。
カミーユが存命中はこうして人物像を描いていたのですね。モネの人物画=初期の作品だと今なら分かります。縦231.6cm×横142.3cmの傑作からは和服の艶、膨らみ、日本の扇子や団扇が活き活きと散りばめられていて、モネと日本が繋がっていることを教えてくれて胸が熱くなります。
2025年もハッピーニューアーツに
出会いたい
Junko Summer