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これまでの仕事の話⑨子供服店【前編】

子供が好きだった私は、この仕事で子供が苦手になる。
今回は、子供服店で働いていたことを振り返ってみようと思う。

長くなりそうなので前編、後編にわけてお届けします。


子供服店の仕事内容

子供服店の仕事内容は、レジ・接客・荷受け・荷出し・売場変更・商品整理・店内清掃など。

なかでも、荷受け・荷出し・売場変更が特に大変だった。
子供服といっても、オムツなどの消耗品からバギーなどの大型用品まで取り扱っていた。

だいたいの荷物がとても重い。
この仕事もしんどい肉体労働ベスト3に入る。

荷受けは大きな台車にオリコンを8個(多いときは10個)積むのだが、一つ一つが詰まっていると鉛のように重い。
それをエレベーターを使って何往復もする。
夏は熱中症になりかけることもよくあった。

荷出しは、オムツが特に大変だった。
重い箱を持って大きな脚立を登り、天板に乗せないといけない。
私は高所恐怖症なのだが、そんな甘いこと言ってる場合ではなかった。
何度もするうちにこの作業は慣れたのだが、高所恐怖症はやはり克服できていない。

売場変更で一日終わる日もあり、体力との戦いだった。
年齢によって部門が分かれており、部門ごとに売り場を変える。
夏物から冬物に、冬物から夏物に変更するときが特に大変だった。
冬物は束になると、とにかく重い。
私はよく筋肉痛になっていた。
長く働いている人は筋肉がついてたくましかったが、私は筋肉がつくことはなかった。

職場はジャングル

店内は、よく子供の泣き叫ぶ声がしていた。
週末は特にひどく、常に誰かが泣き叫んでいるような状態。
店内にBGMもかかっていないので、静かな店内に泣き声が響く。

体調がよくなり働き始めたのだが、働き始めるとまた不眠や頭痛の症状が出るようになってしまっていた。
精神的なものもあるし、いつまでも休んでいるわけにもいかないので、病院に通いながら働く。

特に頭痛がひどく、子供の泣き声は頭に響く。
育児ノイローゼになる母親の気持ちが、少しわかったような気がした。

子供は好きだったはずなのに、いつの間にか苦手になってしまっていた。

2人のお局

職場は10人くらいの女性+男性の店長。
これまで人間関係で散々あったので、女性が10人いるだけで不穏な空気を感じた。

オープン時からいるお局(A)と、他店から移動してきた一番経験が長いお局(B)、2人のお局がいた。
Aは自称サバサバ女で、思ったことはすぐ口に出すタイプ。
部屋の家賃を聞かれて、大声ですぐ周りに話されたときは驚いた。
感情の起伏が激しく、機嫌がいいとやたらと話しかけてくるが、機嫌が悪いと挨拶しても目も合わせてくれないときがある。

Bが一番厄介で、彼女で仕事がドンドン辛くなった。
Bも感情の起伏が激しく、機嫌が悪いときは物に当たってくる。
というか、足音がもう違うので、歩いているだけで機嫌がわかるくらいだった。
私は長年働いて、足音だけでお局とわかるようにまでなってしまっていた。
これはもう特技と呼べるかもしれない。

何かにつけて、マウントを取ってくる。
私が「腰が痛い」と言っていたら、「うちのほうが痛いし!」と、自分が何でも上に立たないと気が済まないようだった。
この時ドラマで流行っていた「マウンティングゴリラ」と心の中でこっそりあだ名をつける。

そして、とても細かい人だった。
初めて出会った日、私が貼った付箋を目の前でミリ単位で貼り直され、「この人は危険人物だ」と察する。
私の傍にいることが多く、行動も常に監視されているような気がした。

休憩は同じ時間に入ることが多く、狭い休憩室でとることになる。
お局は目の前にランチバッグを立て、お弁当が見えないようにして食べていた。
それだけで、壁を作られているように感じる。

「この人とはうまくやっていけないかもしれない」と思ったが、月日が経つうちに話せるようになっていった。



___つづく


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