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【本要約】感情とはそもそも何なのか?
2021/7/19
感情の仕組み
感情の仕組みは、自由エネルギー原理で説明できる。
自由エネルギー原理 … 脳が身体の状態を理解し、調整する仕組みである。
科学はデータを集めることが目的ではない。科学の目的は、事実に対する最も単純な説明である。
感情を含む脳の機能が、理論化された。自由エネルギー原理である。人間・動物の脳が、自由エネルギーを最小化するように働くことで、知覚・認知・注意・運動が適切に機能しているという理論である。
自分の身体の状態がわかる脳機能によって、感情を理解する。
脳が身体の状態を理解する仕組み
脳が身体をうまく調整する仕組み
感情は、時々刻々と変化する身体について、状況と状態によって生み出される。
状況 … 時間の経過を考慮した継続的な物の進み具合
状態 … 時間の経過についての概念はなく、一瞬、その時点の物のありさま
感情と行動
私たちは、楽しい悲しいなどの感情を日々経験しながら生活している。過去の記憶には感情が伴っている。強い感情は、色濃い記憶となっている。
感情は、行動を決定付ける。
感情のモデル
【感情の3次元モデル】
基本8感情
怒り
嫌悪
悲しみ
驚き
恐れ
信頼
喜び
予期
喜び ⇄ 悲しみ
予期 ⇄ 驚き
嫌悪 ⇄ 信頼
怒り ⇄ 恐れ
【感情の2次元モデル】
怒り
嫌悪
悲しみ
驚き
恐れ
幸福
[信頼]
[喜び]
[予期]
※感情の3次元モデルには存在するが、感情の2次元モデルには存在しない感情は[]とした。
色は虹のように連続的に変化している。私たちは、それをカテゴリに分けて、赤色・青色・黄色と名前を付けているだけである。本来は、境界線はない。色は、明度・彩度・色相という3つの属性で表現される。
同様に、感情もカテゴリはなく、属性によって表現され、主観的にカテゴリ化している。
感情の2次元モデルでは、2つの属性で感情の概念を表現した。
感情価 ( 快 ー 不快 )× 覚醒度 ( 活性 ー 不活性 )
感情の強さ=エネルギー
心拍数と体温の変化から感情のエネルギーを考える。
1.怒り
2.恐れ
3.悲しみ
4.幸福
上位のエネルギーが、より強く行動を促す。
ホメオスタシス
1.感情に伴う生理反応 ( 例えば体温の変化 ) は、自律神経が支配している。
2.自律神経が、恒常性 ( ホメオスタシス ) の機能を維持している。
ホメオスタシス … 外部環境 ( 例えば気温 ) に変化があっても、ある一定範囲内に体内の環境を保つ機能である。
体内環境を一定に保つことができない場合に、脳が行動を促す。
例えば、寒いときには、体が震えて ( 運動して ) 、発熱を促す。暑いときには、自然と日陰へ移動する。発汗によって失われた水分を補給する。
強い感情や環境によって、体内環境を一定に保てない場合に、ホメオスタシスの限界が、行動を促す。
感情と価値感
価値観と目的
感情によって定められた自分の価値感がある。
価値感の重要さによって、人は行動を起こす。
価値感は、感情と行動に結びついている。
価値観によって目的が定められる。
モチベーションによって、目的のための行動を起こす。
モチベーションは、報酬によって生じる。
価値観 → 目的 ← 行動 ← モチベーション ← 報酬
【報酬】
・食欲や性欲などの1時的報酬
・金銭などの2時的報酬
・他者から受ける高評価や他者に対する協力などの社会的報酬
脳内ホルモン
報酬予測は、経験に基づいて可能となる。報酬予測の学習には、ドーパミンが鍵となる。
ドーパミンは、予測していた報酬より多くの報酬のとき、放出量が多くなる。
ドーパミンは、予測していた報酬と同じとき、変化しない。
ドーパミンは、予測していた報酬より低い報酬のとき、放出量は少ない。
予測の誤差が小さくなるように、行動を学習していく。行動を繰り返していくことによって、報酬の大小を学習できる。報酬の学習によって、報酬を効率的に得られる行動がわかる。
どのくらい先の報酬を考えて、現在の行動選択を行うかは、セロトニンによって決まる。セロトニンは、不安がない健康な状態を作り出すホルモンである。セロトニンが十分だと、先々の報酬を考えて、現在とるべき行動選択の学習ができるようになる。
感情と脳
【感情2要因論】
・身体 ( 内臓 ) の状態を知らせる自律神経反応を脳が理解すること
・その自律神経反応が生じた原因を推論すること
脳の感情推論
脳が、自己の身体 ( 内臓 ) の状態を理解することで感情が作られる。
脳と内臓は離れているため、内臓を正しく理解するのは難しい。脳は内臓状態の変化の原因を推論している。
1.脳が、身体 ( 内臓 ) の状態の予測する
2.脳が、身体の状態の予測と実際の結果を比較する
3.予測誤差が生じる
脳の身体 ( 内臓 ) 状態の予測誤差と、視覚・聴覚・触覚などの感覚が統合されて、感情が生まれる。
脳の視覚推論
私たちが、実世界を見ている状態を、視覚イメージという。視覚イメージは脳内で作られたモノである。
1.3次元の実世界に目を向ける
2.2次元の網膜像が作られる
3.脳が、2次元の網膜像から、3次元の世界を推論し、視覚イメージを作る
私たちが見ている世界は、脳が、2次元網膜像から、3次元実世界の構造と状態を推論した結果である。
一般に、2次元のデータから3次元の構造や状態を推論することはできない。しかし、脳は、正確に推論することができる。
脳の推論なので、実世界とは誤差が生じる。脳は、推論した予測結果と実世界の誤差を認識し、その誤差を最小化するように働いている。
足の小指を何かにぶつける現象が、予測誤差なのかな?と湯浅は思った。
脳の運動推論
手足を動かすといった運動も、脳が予測している。
1.脳が、身体に運動を命じる
2.同時に、脳は、運動の結果を予測する
3.運動の実際の結果と、予測結果を比較する
4.予測誤差が大きければ、運動を修正する
5.予測誤差が小さければ、運動に無関心である
脳と行動
視覚や運動からわかるように、脳は、予測と実際の結果との誤差をとり、それを絶えず修正している。
予測誤差がなければ正常なので、何もしない。予測誤差があれば、修正する。
脳が、予測誤差を修正するということが、何らかの運動である行動を促す。
サプライズ
生き物は、確率が小さいと思われていた事象が生じた場合に、素早くその部分に注意を向けることができる。これをサプライズという。生き物は、環境に対してサプライズが小さくなるように学習する。
学習効果によって、信念が時間ともに変化する状況では、注意の現象が、別の観点でより良く理解できる。
自己の信念の書き換え度合いが大きくなるところに、注意を向ける。
データを観測した前後での知識の変化、信念の変化が大きい場合、サプライズが大きい。サプライズが大きいところに、注意を向ける。
いきなり、信念というパワーワードが出てきたことが、本書の真のサプライズであり、肝である。文章の流れがいきなり、ぶった斬られたから、意味がわからなくなって、詳細に読み直すハメになった。
まとめ
人間は、脳が運動の予測誤差をすることで行動し、脳が身体 ( 内臓 ) の予測誤差をすることで感情を生み出すことがわかった。
脳の予測誤差の元となる予測とは何だろうか?
脳の仮説ということができる。脳の仮説は、個人に当てはめると、自分の思考である。自分の思考とは、自分の考えていること、つまり、信念である。
予測誤差を最小化するには、信念を書き換えればいい。
身体 = 内臓 = 心臓 = 心 = 信念
結論
ポジティブな感情により、思考が柔軟になり、視野が広くなり、先入観に基づいた行動が減少する。私たちは、自分の感情をよりポジティブに調整することができる機能を持つ。感情調整は、認知的再評価によって機能する。認知的再評価とは、直面している問題に対して見方や捉え方を変えることによって、ポジティブな問題に転化させる。
予期せず、ホメオスタシスの設定値から大きな変化が生じるということは、サプライズが生じたということだ。
自由エネルギーの原理から、生き物は、サプライズを最小にするように行動している。サプライズが起きないように、前もってホメオスタシスの設定値を変更する。これをアロスタシスという。
アロスタシスは、時々刻々と変化する身体からの予測信号 ( 信念 ) と、実際の身体からの信号自体が比較され、予測誤差が最小になるように、予測信号 ( 信念 ) が書き換えることによって可能となる。
【自由エネルギーの原理】
予測信号 ( 信念 ) を、書き換えることによって、エネルギーの最小化ができる
→無意識的推論
注意や行動を通して入力自体を変化させることによって、エネルギーの最小化ができる
→能動的推論
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