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ククブクの味見

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海外の料理本のことならククブクにお任せ! 優れたデザイン性があり、コンセプトにひとと風土と文化が見える海外の料理本「cookbook」を紹介するマガジン「ククブク」を、noteで…
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2020年12月の記事一覧

ゆくククブク、くるククブク

WIRED誌が選んだ2020年のベストcookbook #1 ぼくたちの生活そのものが大きく変化した2020年でしたが、いよいよ残り1日となりました。 今年を締めくくる最後のストーリーは、やっぱりこれ。 「ゆくククブク、くるククブク」をお届けしたいと思います。 年末恒例のこの企画、昨年まではアメリカ公共ラジオ放送KCRWの「Good Food」が選んだベストcookbookをご紹介していたのですが、 今年は「パンデミックの時代」という観点から振り返ってみたかったので、

シロ作りの名人とサミン・ノスラット

私の嫌なことを忘れられるcookbook 2020年はcookbook業界もすっかり新型コロナウイルスに振り回される1年でした。 ハリウッドの大作映画と同じように、春に発売が予定されていたcookbookの発売が秋や来年以降に延びたり、 「cookbookのアカデミー賞」ことジェームズ・ビアード賞の授賞式が初のオンライン開催になったり、 在宅の需要でcookbookの売り上げが増加する一方で、実在の店舗を構えるcookbook専門書店が経営危機に陥ったり。 そんなコロ

キミの好きな店が100年続きますように

老舗から最先端になった点心料理店のcookbook ニューヨークのチャイナタウンと言えば、ぼくなんかはすぐにポール・オースターの『ムーン・パレス』を思い出すんですが。 チャイナタウン(正確にはもちっとウォール街より)に実際にあった中国料理店「ムーン・パレス」は、1991年に26年の幕を閉じたのでした。 入れ替わりの激しい都市部の飲食業界で100年続くというのは滅多にないことだと思いますが、このたび、チャイナタウンで100周年をむかえたレストランがメモリアル的なcookbo

料理本との偶然の出会いを守るために

NYのcookbook専門書店に集まる支援 オーストラリアではCOVID-19の外出禁止期間に料理本の売り上げが伸びた、という記事がありましたが、 そこはネット書店が全盛の現代。 実際に店を構えている中小の書店は、訪れる客の減少に経営が逼迫されているところも多いようです。 ククブクでも過去に何度かご紹介している、ニューヨークのcookbook専門書店「キッチン・アーツ&レターズ」。 こんな有名な「シェフ御用達の店」でさえも、営業を続けられない事態に陥っていたとは知りま

メローイエローが嫉妬の目で見る

マウンテンデューのcookbookが発売も即品切れ 日本ではサントリーが販売している炭酸飲料の「マウンテンデュー」。 日本では1981年から販売されているんだって。 ぼくは昔からレモンライム風味の黄色いソーダが好きで、コカコーラ社の「メローイエロー」が2000年に生産終了してからは、もっぱらこのマウンテンデューばかりを飲んでいました。 自販機で安売りされてることも多いのがいいんですよね……。 マウンテンデューが本国アメリカで最初に発売されたのは、1940年代。 当時

とろ火のちからを信じなさい

真空低温調理は家庭に普及するか? その2 10月15日に発売になった、ヒュー・アチソンによる真空低温調理法のcookbook『Sous Vide: Better Home Cooking』。 このcookbookをレヴューしているアメリカ版「ワイアード」誌の記事を読んでいます。 ちなみに真空低温調理法というのは、こういう温度を一定に保つ機器を取りつけた水槽のなかに、真空バッグに入れた肉や野菜などを放り込んで、低温でじっくりと加熱調理するというもの。 前回のストーリーでは

宇宙のすべては真空から生まれたから

真空低温調理は家庭に普及するか? その1 最近はテレビ番組の料理コーナーでもちょいちょい見かけるようになりました。 「真空低温調理法」。 専用の器具もたくさんあって、最近ではアイリスオーヤマでも商品を出しているみたいですね。 温度を一定に保てるのなら、基本的にはこういう専用器具を使わなくたっていいんですが、まあ、でもなかなかむずかしいんで、いろんなメーカーがこういうバー状の器具を発売しています。 今日はそんな真空低温調理法にまつわるcookbookをご紹介。 情報元

地獄とは日々の料理の不在なり

ナイジェラ・ローソンの新刊で日常を取り戻せ! イギリスの現代を代表する料理家のひとり、ナイジェラ・ローソン。 イギリスにはナイジェル・スレイターという料理家もいるのでややこしいんですが、 男性のほうがナイジェル、女性のほうがナイジェラです。 今日はそんなナイジェラ・ローソンが、来年4月にアメリカで発売を予定しているcookbookの新刊についてお伝えします。 *** 続きはぜひククブクのページでご覧ください! 地獄とは日々の料理の不在なりナイジェラ・ローソンの新刊

東アフリカのおばあちゃん料理

ハワ・ハッサンが語る『In Bibi’s Kitchen』 ぼくも持っている、ガブリエーレ・ガリンベルティの『世界のおばあちゃん料理』(河出書房新社)。 雑誌の企画で世界50か国以上を旅した著者が、旅先で訪問したおうちのおばあちゃんたちから教えてもらった自慢の料理をまとめたものです。 ひとりひとりの個人的な物語も添えられていて、日本語で読める料理本なのに海外の一般的なcookbookのフォーマットを踏襲している点がすばらしいです! とはいえ、この本にも地域的な偏りはあっ