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ククブクの味見

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海外の料理本のことならククブクにお任せ! 優れたデザイン性があり、コンセプトにひとと風土と文化が見える海外の料理本「cookbook」を紹介するマガジン「ククブク」を、noteで…
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2019年8月の記事一覧

金曜日のcookbookランキング

#133 考えたり、考えなかったり 新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 8月第5週のランキングをお伝えします。 最近時間を見つけては読み進めている小説があります。 伴名練の『なめらかな世界と、その敵』。 もうだいぶ話題になっているので知っているひとはご存知でしょうが、『少女禁区』というホラー小説で2010年にデビューし、その後SFの同人誌やアンソロジーなどで活躍している伴名練の最新短編集です。 この作家さん、商業誌にはあまり作

深夜のチキンをおかわりしましょ

失意の底から立ち直るためのcookbookを再紹介 ククブクで今年の6月にご紹介した『Midnight Chicken: & Other Recipes Worth Living for』。 ライターで詩人のエラ・リスブリッジャーが出した初のcookbookで、タイトルの「深夜のチキン」というのは、失意の底から立ち直るきっかけの象徴として付けられているんだ、なんてストーリーを書いたのを覚えています。 後編では精神科医の先生が著者にインタヴューしたストーリーを載せたんだっけ

路線変更は吉と出るか凶と出るか!?

シカゴのレストラン王による2冊目 ククブクで2017年秋にご紹介したcookbook『Cheers to the Publican, Repast and Present: Recipes and Ramblings from an American Beer Hall: A Cookbook』。 ヴィジュアル的にはかなり地味めながら、誠実な料理が多く掲載されているので、しかもぼくの大好きなビアホールのcookbookということで、けっこう字数をかけて熱心ご紹介した覚えがあ

金曜日のcookbookランキング

新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 8月第4週のランキングをお伝えします。 「お盆進行」って、ふつうお盆より前が忙しいじゃないですか。 でも今年はなぜかお盆明けすぐの〆切が多く、お供え物を食べてお腹いっぱいになった原稿用紙(もちろんデータ入稿なので精神的な)たちの列を送り火を焚いて送る、文字通りの「お盆進行」でした。 まあ天気もあまり良くなかったので、出かけられなかったことも良しとしよう。 そんななか、ちょっとだけでもお盆らし

炒めるだけじゃなかですタイ

ポクポク式泰国麺料理大全 今日はひさしぶりにニューヨーク・タイムズ紙の書評から。 暑いと食べたくなるタイ料理のなかでも、麺料理ばかりを集めたcookbookをご紹介したいと思います。 フォーが有名なベトナムの麺料理と違って、タイの麺料理は炒めた脂っこいものばかりのイメージが強いですが……。 これを読めば「パッタイ」だけじゃく、タイのいろいろな麺料理が食べたくなること請け合いです。 *** 続きはぜひククブクのページでご覧ください!

May the Cookbook be with you !!

原作ものcookbookの女王がスター・ウォーズのcookbookを発売 ククブクの金曜ランキングでも上位に登場することが多い、ゲームや映画の公式料理本。 なかでもcookbook作家、チェルシー・モンロー=カッセルの書いたcookbookは、いつでもちゃんと売れているのがすごいと思っています。 その作品が持っている世界観の解釈とか、実際に料理を作ろうとしたときのレシピの信頼性とか、きっといろいろな点で優れているのだと思いますが、そんな彼女が今度は映画『スター・ウォーズ』

金曜日のcookbookランキング

#131 レモンが大好きドノフリオ夫妻 新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 8月第3週のランキングをお伝えします。 今週は西日本に大型台風が上陸しましたが、みなさん大きな被害などされていないでしょうか? 事前に報道などで注意が呼びかけられていたので、ニュースを見る限りでは交通機関の乱れなど最小限の影響で済んだようですが、実際のところはどうだったんでしょうかね。 ぼくの家の周りは多少風が強かっただけで済んだんです……が! 今週、我

最後のデザートに今夜もなったな

絶版になっていたデザートのレシピ本がこの秋復刊 アメリカのフード情報サイトEaterのシニアエディター、ダニエラ・ガラルサが、8月5日にこんなツイートを投稿しているのを見つけました。 なんと! クラウディア・フレミングとメリッサ・クラークの画期的なデザートcookbook『The Last Course』が復刊されるって。何年も絶版だったのに。私の持っているやつについてだったら、いくらでも話すことができる。この本にはたくさんのアイディアがあふれてる。とても大好きな本。 話

あたらしくてふるい、イワシのまる焼き

ロンドンのプロヴァンス料理のcookbook 革新的なものが流行ると、次はかならず揺り戻しで伝統的なものが流行るわけで。 料理界でも化学調理法を駆使した分子ガストロノミーが時代の趨勢を占めたあと、土地の風土や文化に根ざした新北欧料理の時代がやってきたりするのは、世界のベストレストラン50などを毎年追っていると傾向がよく分かります。 そして2019年の今年、見事に首位に輝いたのはフランス・マントンにある「ミラズール」でした。 なんでもフランス料理店が同アワードで1位になる

金曜日のcookbookランキング

#130 UKのDKはすぐれた図鑑出版社 新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 8月第2週のランキングをお伝えします。 先週はまる一日鎌倉で取材だったので、金曜ランキングをお休みしました。 鎌倉では、駅から徒歩3分ほどのところにある「丸七商店街」内のミニチュア専門店「イクスタン」さんにお邪魔しました。 伝統的なドールハウスからシルバニアファミリー、アニメフィギュアなどといっしょに飾るのにぴったりの、ミニチュア小物が手頃な価格で販売され

アート・ミーツ・デーツ

イラク系アメリカ人アーティストによる、イラクの戦後を考えるcookbook 国内のアート界隈では、あいかわらずまともなアート教育を受けていない国民性を露呈したゴタゴタが続いていますが。 こういうニュースを目にするたびに、みんなもっと『華氏451度』を読もうよ!と思ってしまいます(アート作品を観る側だけでなく。作る側にとっては必読)。 答え合わせは全部この本に書かれているのになあ。 今回の騒動の半月ほど前に、高橋源一郎さんが今回の顛末を予見していたかのようにこの本を紹介し

夏の青空、濃い影、白い皿とシチリア料理

この夏を満喫したいひとのためのcookbook 8月になりました! 今年は夏の始まりが比較的涼しかったので、いよいよ夏本番って感じですよね。 あまり暑いと食欲がなくなって、毎食そうめんばかり……というひとはさすがにいないと思いますが😁、夏だからこそ楽しめる食材を積極的に食事に採り入れていきたいところです。 今日はそんな真夏にぴったりの、シチリア料理のcookbookをご紹介。 シチリアといえば、映画『ゴッドファーザー』シリーズや『ニュー・シネマ・パラダイス』の舞台。

大節約時代の到来に向けて

1週間の食費を2600円でまかなうcookbook 先の選挙で国民の信任が得られたということで、10月からの消費税引き上げはどうやら確実なものになったようですね。 ぼくは消費税は富の再分配制度に真っ向から反する税制だと思っているので終始反対でしたが、多くのひとが賛成票を投じたんだからしかたない。 民主主義国家だからね。 こうなるとあとはいかにして自衛するか、なのですが、そんなときに参考になりそうなイギリスのcookbookが来年早々に発売になるようです。 イギリスの出