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ブリコラージュ


私の好きな作家のひとりである池澤夏樹氏の「心する科学」の
「科学は五感をもって自然に向き合う姿勢」の項で、フランスの社会人類学者であるレヴィ・ストロースの言葉を引用して考察されている内容がとても興味深かった。

自然界に対してこのような知的な姿勢で向かう者、それによって自分の中に自分なりの知の体系を持つ者は、そこから臨機応変に有意義なものを作り出す。「ありあわせの道具材料を用いて自分の手でものを作る人」をブリコルールと呼ぶ。その種の仕事はブリコラージュと呼ばれる。
今日は何々を作ります。まず材料を用意して・・・ではなく、冷蔵庫の在庫一掃に踏み切る時、料理人はブリコルールである。

池澤夏樹氏の心する科学から引用

ブリコラージュ - Wikipedia


これはフランスで在住の作家&ミュージシャンである辻仁成氏の料理や長女の料理へのスタンスにも同様な要素を感じる。


具体物のブリコラージュの話の横にそしてレヴィ・ストロースは神話について瞠目すべきことを書いている。
神話的思考の本性は、雑多な要素からなり、かつたくさんあるといってもやはり限度のある材料を用いて自分の考えを表現することである。何をする場合であっても、神話的思考はこの材料を使わなければならない。手もとには他に何もないのだから。したがって神話的思考とは、いわば一種の知的な器用仕事(ブリコラージュ)である。

池澤夏樹氏の心する科学から引用


池澤夏樹氏の本書のこの数行の内容は、河合隼雄氏、マドモアゼル愛先生
の神話的問題解決、コンステレーション、意識の学問としての西洋占星術という視点と見事につながっている。

私がnoteで、私自身に関しては限りなくありのままに語り続けるのもまさに自分自身の内で神話的思考を深めていくためである。そのためには、外から何か持ち込んでくるのではなく、今、自分の身の回りにある材料を通じて語っていくことで、日常が自分だけの神話として受け止められていく。
それが河合隼雄氏のユングのコンステレーションであり、マドモアゼル愛氏の意識の学問として西洋占星術と向き合っていくことにも通じる。


私自身、料理する際はあまりレシピを見ない。家内はレシピ通りにすることであるレベルの美味しさが保証できるのだと語ってくれてはいるが。

身近にある材料を活用してイメージし、その素材の焼き具合、茹で具合を目と食感で確かめながら、味付けも都度、自分で味見をしながら調整していくプロセス。そのプロセスを情熱をもって素材にエネルギーを集中していくことは、とても大切な要素が含まれているように思う。
長年の蓄積されたノウハウの結果としてのレシピとは比較しようもないが、、それはあくまでもその先生のやり方であり、今の季節、今の私において大切なのは、私自身の五感を通して美味しいと感じられるものを調理して食べるということ。

そのプロセスがまさにブリコラージュであり、月の働きではない太陽としての自分軸でのエネルギーが働いていくように思う。

ネイタル太陽のある牡牛座26度前後で、木星、太陽、天王星、金星が連なり、そこにトランジットの冥王星がゆるやかにトラインの関係。
ネイタル水星にトランジット水星もタイトに合。


プリコラージュという美しい言葉も金星と響きあっている





永き日や土瓶で沸かす台湾茶

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