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前世の記憶(あの頃…・3話)
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約10年ほど前の出来事を
鮮明に時系列通りに思い出すのは正直困難で、
この後の出来事は大まかに書いていきます。
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磁石の様にナリくんに引っ張られる感覚は、
自分のそれまでの意識と思っている場所とは
違う場所 魂が別にもう一つ意識を持っている
不思議な感覚だった。
ナリくんを見ると魂の部分が飛び跳ねて喜んで呼び合っているかのようだった。
「胸が躍る」って正にこの事なんだって。
10年後(今)で言う「推し」のように、相手を応援したいという好意でありたいと願いながらも
、心の奥では「運命の人」という言葉が脳内で繰り返し、客観的にそこから出られなくなってしまっていた。
そんな中
突拍子もない妄想 (なんだかよく分からないのにそれが見える)ことは時折あった。
それは、私のものなのか、他の人の物なのかも
確かめようがなく、感情が絡まない物は風景の様にやり過ごしていた。
磁石のような感覚が少し薄れたというべきか
慣れたというべきか。そんな頃
ナリくんが遠巻きに見えている現実に重なるように、
まるで2重スクリーンのように
上の方に ローマ帝国時代のような
布を巻き付ける格好の男性とナリくんが
同じ様な姿勢で見え、
周りの風景も古代ローマの古い街並みだった。
見えると言っても、脳裏に見えると表現すべきなのかな。
そして 訳もわからないまま
突然強い悲しみが込み上げてきて、泣き出しそうになった。
その時は駐車場にいた為、驚いてすぐに車に乗って落ち着こうと バックミラーで自分を見た。
大失恋したかの様な、胸の苦しい感覚
ナリくんに重なる様に見えた男性への
叶わぬ恋心のような強い気持ちが、込み上げて
泣いているのに
「それは私なのに私ではない。」という不思議な感覚。
まるで体を誰かに貸して、涙を出して嗚咽しているようだった。
おそらく前世の記憶だろう。
そう、定義してみないと
相当頭のおかしな人でいる自分に耐えられなかった。
前世で愛し合ったけれど、別れなければいけない様な身分違いの叶わぬ想い…そんな感情を感じていた。
この事があってから、さらに
「今世にその愛を叶えにきた」という
思いに駆られて 相当苦しい思いをした。
自分なのに、自分じゃないような
自我の崩壊。
ナリくんの事をほとんどの時間考えている様な日が続いていた。
ただ頭の中で勝手に起きている妄想に過ぎない、と 客観的に冷静になろうとする私から
どんどん遠ざかっていった。
家庭での現実は、離婚に向けて動き出していた。
でも、離婚自体はナリくんとどうにかなりたい
というものではなくて、
旦那さんとの前世らしきストーリーが見えた事で
「私自らの意思で旦那さんの魂から離れる」
束縛から脱却するという前世の失敗のやり直し。
これが見えたからなのだ。「カルマ」と表現されるものなのだろうか。
前世を見た出来事から
苦しくても、もうそれでいいや とどこか
観念し始める私もいたと思う。
そしてまた1〜2ヶ月後また異変が訪れた。
それは仕事中に起きた。
本当に正直に言おうと思う。
ただ立って真面目にキッチンで作業に集中していた…
突然 絶頂するように 尾てい骨のあたりから
何かエネルギーの様な熱いものが
ぎゅーーんと背骨を伝って 頭の方に上がっていく!! イク感覚だ!しかもそれまでに感じていたもの以上の表現不可能な体感だった。
頭のてっぺんまで熱が込み上げて、
顔が真っ赤になるほど体が火照りエネルギーいっぱいで満ちて弾けそうな、
本当に表現出来ない程の高揚感とパニックが
同時に起きた。
周りにたまたま誰もいなかった、
オロオロして どうしていいか分からず、
自分では止められない何か、
また起きるんじゃないかとトイレに駆け込んだ。
絶頂は2回目も起きて 治ったかな…と思いながら
トイレから出ると、
他のスタッフに心配され、お腹が痛かった事にした。
およそ1年でいろいろな事が起きすぎて
まるで霊界?に頭を突っ込んでいるかのように、ずっとフワフワした感覚で毎日過ごしていた。
何もなく突然絶頂する感覚は、ヨガや瞑想で言われている
「クンダリーニ覚醒」だったのではないか?
と定義してみることで落ち着いた。
霊的な成長や潜在意識の覚醒の現象であるらしい。
この現象のあと、前世の様なまるで時代違いのストーリーが見える事は少なくなっていった。
その頃のナリくんに対する自分の感覚は
まだ魂の部分は反応するけれども
自分の内側に起こっている不思議すぎることへの探求が強すぎて
やや実験を兼ねた相棒の様に
勝手に思う様になってきていた。
現実が少し見えるようになってきたんだ。
ナリくんとすれ違い様に
「どこいってたんだ?」とか
「余計なことはしなくていい」
頭の中に聞こえる声に咄嗟に頭の中で答えてしまっていたこと、
目が合った時の感覚、
これが妄想なのか、何なのか、ナリくんとどうしても答え合わせがしたかった。
意味深な事を聞こうとすると
いつも逃げられて、
「不思議な事って体験したことある?」と聞きたいのに、聞けなかった。
ナリくんは商品棚の上から目までを出して、
ジっとこちらを見ている事が増えた。
まるでストーカーの様になっていた。
何か話しかけようとすると遠ざかり、
知らんぷりしていると近づいてくる。
何も前に進めなかった。
もちろんLINEも既読はつかない。
そして、ナリくんは就活に専念する様
親に強く責めら、バイトを辞めさせられたと
聞いた。
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