初個展直前に脳梗塞になった話 : 退院前2
STさんのおかげ
元旦 ST(言語聴覚士)メガネさん。
(29日目 : STメガネさん→ note)
明けましておめでとうございます。でも新年という感覚はほぼない。メガネさんにお正月気分はどうでしたか?と聞くと朝はお雑煮とおせち料理を食べてきましたとの事。聞くだけでも正月気分に浸れる。STとして勤務して数年目のメガネさんは気付いた事があるという。退院する事を患者が『シャバにでる』とか『出所する』とか言うそうだ。それを聞いた僕は冗談めかしていても本心は不安だったりその裏返しで気合いを入れたりしているんだろうなと思いますと言った。それを聞いたメガネさんもきっとそうなんですよねと同意をしてくれた。
さらにリハビリを始める時に『今日はどこの取調室だい?』と言われるそうだ。STさんは患者の言動についてとても注意深い。その言動は何故なのか、どういう意味なのか、患者が判らないと思われるポイントを探す。苦手な部分を探す。徹底的に。それが イコール = 後遺症を探すヒントでもあるから。患者は苦手な事をつつかれる。畳み掛けられる。意地悪されているという気分になる。だから取調室だとかの表現になるのだろう。僕も高次脳機能障害になった。そして少なからず回復が出来てきた。そんな身からすると『取調室』という表現は的外れだと思う。100歩譲ってジョークだとしてもあまり気分の良いジョークではないと思う。そう思える位に、的外れと気付ける位に回復したんです。それもこれも言語聴覚士さん、STさんのお陰なんです。
そもそも存在を知られてない。僕もこうなってSTさんの存在を知った。STさんが活躍してても、自分自身は"なりたくない状態"にならないと会えない。国家資格です。でも知名度も低くどこの病院も少ないらしい。同じ病院内でも『お話しててお金もらえるって羨ましいね』とさえ言われるらしい。それは本当に的外れ。知られてないからそんな的外れを言われる。もっと知られる必要がある。脳からくる言語の後遺症を。僕はこうやって言えるまでに回復出来た。しかし症状がまだ重かった時をハッキリ覚えている。【伝えたいのに言葉が出ない】そんな患者がきっと沢山居て見過ごされてる。だから必要性も正しく伝わっていない。脳は本当にデリケートなんだ。大掃除後のお姑めさんのチェックを掻い潜る様なホコリさえダメなんだ。
お正月らしく
自主トレルームで筋トレをしていた。何やら隣で準備をし始めた。合同のリハビリで習字をやる様だ。担当していたOT(作業療法士)モデルさんに誘われたので僕もやった。
( 32日目 : 免許チームのモデルさん→note)
僕の書こうと思う言葉は【回復】。パッと思い付いた。願いでもある。そして【 見本 】を書こうと思う。なぜ見本を選んだかというと目の前によく言葉を交わす優しい佐藤さん(↓下記退院時にも登場) が座っていてどうやら佐藤さんは【正月】と書きたいらしく書体の見本として複数の毛筆書体の用紙が出力されていた。それらを見て見本、見本と連呼していた。それを聞いて【 見本 】を書きたくなった。ある種のヘビーローテーション効果だろう。他にも患者さんが複数人いらっしゃって楽しかった。元旦に書道なんて久々だ。病院でもこういうイベントってやはり楽しい。なんか嬉しい。
STお笑いさん。
(25日目:午後初めましてのSTお笑いさん→note)
ノッポさん直伝のラインナップだ。言葉計算。文字、文章で示されてる計算式をメモを取らずに答えだけ書き出す。例えば【いちたすいちひくに】みたいに。これの長いバージョン。
次に同じ図形記号に◯をつける課題。似たような図形記号が羅列してる。向きも形状も同じものに◯をつける。
次に抹消課題。難易度を上げて二枚同時に行う。片方は1,3,6にチェック。もう片方は5,7,9みたいに。2枚横に並べて1行ずつチェックで消していく。
次にトランプ課題。黒が出たら前のカードに足す、赤が出たら前のカードとの差を答える。とても疲れた。そういった課題たち。最後にお笑いさんにお礼をした。直々の担当ではないのでもう顔が会わせられないかと思ってて。本当にお世話になりました。外を見ると風にまう白いビニールが。なんだろうこの季節って風にまうビニール多い気がする。気のせいかな。
運転評価とは
僕は自動車の免許を復活させる目標もある。脳梗塞になった患者はまず病院での医師の診断が必要になる。これを運転評価と言う。運転評価が合格すればその診断書が書いてもらえる。診断書を持って公安の管理する各都道府県の免許センターに行く。相談課に提出して再交付までつながる。運転評価の診断書書式は住民票のある都道府県毎に決まってるそうだ。提出出来る免許センターも住民票と同様との事。そして運転評価に対応出来る病院は各都道府県に数個、数院しかない。僕の入院しているこの病院も対応してる指定病院である。なので転院してきた。もし不合格だと次の運転評価まで6ヶ月の期間を置かないといけないという決まりがあるそうだ。その理由の一つが試験内容を少しでも覚えてると正確な評価が出来ないから。学習効果というらしい。
厳しいだろうか。
いや。
当然である。
自動車の運転は人命に関わるのだから。
『あっ!』というタイミングで
判断を誤ってはいけない。
とにかくメモをとる
STリーダーさん。
(51日目:初めましてのSTリーダーさん→note)
抹消課題は目標見落としゼロでやっと成功。宿題になっていた、退院後の薬を飲む事や食事管理についてや適度な運動を守るための具体策を考えるという事を報告する。確実に薬を飲める時間を手帳や日記に記したりスマホのアラームをかける。食べるのを控えるリストを書き出す。それらをスマホにも保存する。退院後の日常生活で日々向上していくだろうと報告する。
文章を覚える課題。必要ならばメモを取ってよいと言われたが覚える様にトライしますと言っていざ取り組むと途中明らかに覚えられない量だと思い急遽メモをとる。まず何にせよメモを取る事。ここでも学ぶ。まずメモを取ろう。余裕と思わずメモをとるのだ。
ナンプレ(数独)をリーダーさんと同時に行う。とはいえ、平常心、焦らない、見失わない様に。最後までやりきる。リーダーさんのカリカリと書き出す音もペンを置く音も気にせず。解ききった。だがしかし当然リーダーさんは終わってたけども勝負ではないのだ。影響されない事が大事なのだ。
最後に先ほど覚えた内容をまとめる課題。メモをとっておいて良かった。自分でも納得の説明具合。自信がつきました。自信につながりました。ありがとうございます。
運転評価までもう間もない。それまでにまたいつ入って頂けるか判らないから今後毎回皆さんに感謝の言葉を伝えていく。リーダーさんにも伝える。僕の高次脳機能障害がここまでよくなったのは皆さん、STさん、言語聴覚士さんのお陰です。本当にありがとうございます。
STノッポさん。
(19日目:リハビリSTノッポさん→note)
まず新年の挨拶をする。なんだか調子がよい。先日の絶不調だった時の (睡眠を大事にとにかく睡眠で回復しよう→note) ノッポさんのアドバイス通り運動してからのぞんだからだと思う。それは科学が証明してるんだ。納得だ。身をもって納得だ。諸々の宿題とか報告、連絡、納得だ。しかし『言われた通り正確に』というのがまだ甘い。所々凡ミスやケアレスミスをしてる。でもそれも判ってる。以前よりもそこに気付けてる。かなり回復してる。科学の力は納得だ。
STお笑いさん。
以前、へこたれた計算課題がやりきれた。例えば『1』と言われ、一拍おいてから『5』と言われた時に足して6と答えるがその次に『3』と言われたら最後に言われた『5』 + 『3』 =『8』と答えないといけない。どうでしょう。伝わったでしょうか?お分かり頂けたでしょうか?説明出来たでしょうか?これは説明が難しいしやるのも難しいのである。延々、1桁とはいえ数字だけを告げられ直前の数字に足していく。自分が声に出して答えた数字に惑わされずに。延々と。以前は途中でギブアップした。しかし読み上げた数字を見せてもらったら20個程で思っていたより少な過ぎて驚いたものである。しかし今日は50個程いけた。倍以上である。本当に自信になった。震えるほど嬉しかった、というのも大げさな例えの様だけどもお笑いさんと一緒に喜んだ。お笑いさんは『凄いわよ、私だったら多分無理よ笑』と嬉しい事を言ってくれた。
STリーダーさん
途中、相当眠くなりました。脳を使うととても眠くなります。リーダーさんは僕の眠気に気づいてたようです。さて残り少ないのでいつ入れるか判らない事からの締めの感謝・お礼についてとお話ししたら既にしてたとの事で一緒に笑いました。
STリスさん
(21日目:ノッポさん代行のリスさん→note)
締めの感謝・お礼は同じく既にしていたとの事でまた笑う。
とにかく落ち着く
STメガネさん。
A4ほどのサイズの紙に書かれた1~50の数字。これを50から読み上げながら指を指す。2分以内に目標を設定しましょうと。初の2分が切れた。1分54とかだったかな?次に話をしながらの抹消課題。チェック見落としが1個。0個を目指していたけど話ながらだからしょうがないと。メガネさんが本厄だから先日厄除け太子に群馬まで行った話だとか、抹消課題をやりながら充分話せたしそれで1個なら上出来ですねと。そして最後に5桁以上の電卓計算。リハビリ時間は残り5分だがやり切れると思い時間配分も成功した。何個か間違ったけれども検算をして合った。しっかり"落ち着いて"やる事。【落ち着く】事。落ち着いて、あせらず、とにかく落ち着いて、しっかり見て、まずは落ち着く。抜かれるとか早くとか記録とか縮めるとかはまずはさておき正確に、しっかり、落ち着いてやる事。
PT(理学療法士)サッカーさん。
(27日目:代行PT候補1人目サッカーさん→note)
久々に外歩き。とても気持ち良かった。長らく院内だったので清々しい。気持ち良いと連呼した。それを聞いていたサッカーさんは笑ってた。僕はたくさんの感謝を告げた。色々な意見も述べた。それを聞いたサッカーさんからは『どちらかというと病院のスタッフ側っぽい意見ですよね』と言われた。でもそれくらいに回復したのだ。病院側の事もとてもよく解る。ワガママな患者さんは多い。ワガママとかではない患者さんもやはり居る。沢山の症状の患者さんがいて昼夜スタッフさん達が見守ってくれているのだ。
STノッポさん
今日は珍しく相当寝坊したらしい。いつもならam8:30にはSTミーティングをしているのに起きたのがam8:10。急いで最低限の身支度で来たと。来たはいいがしかしいつもの場所にタイムカードがない。昨日はあった、それは覚えてる、見渡してるといつも来てる時間に不在のノッポさんの出退勤を確かめようとリスさんが確認していたその手にタイムカードがある。それを奪いとりなんとかam8:30に間に合ったらしい。タイムカードの差し込み口に引っ掛かってたらアウトだったろう。そこまで聞いたら待ち合わせの時の髪型のシルエットがどうもいつもより広がってる様に感じたのは間違いではないんだなと思った。
しかしどうにもソワソワする。。。。
もう明後日だ。。。。
運転評価。。。。。。
STメガネさん。
なんというか不安でもないし、でもザワザワというか静かというか。得も言われぬ心の中。メガネさんから『 凪 ですね』と素敵な一言を頂いた。凪の意味をすぐ検索した。『風がやみ波が穏やかになること』確かにそうだ。それで安心できた。本当に心も身体も軽くなった。メガネさんって漫画やアニメが好きだそうで言葉の使いどころが上手いし本当に的確だと思う。いつも通りスマートで淡々として心地よく救って頂いた。気持ちよく終われた。
STリスさん。
色々駆使して課題をラインナップしてくださった。プリントで間違い探しをする。2枚別々に用意してくれて片方ずつめくってという"縛り"を設けてくれた。とても良かった。間違いは全部で8個。なのに全て見つけていたのにそれに気付かず探し続けてしまった。ハッと気付くまでに8個まで見つけた時間より長くなってしまった様だ。気を付けよう。
自分の注意点をおさらいして頂く。早とちり。問題や問いかけや聞かれている事をよくよく確認する。焦った時こそ、都度、深呼吸。
『▲▲しない』ではなく
『○○なら大丈夫』とする。
とにかく落ち着いて。
久しぶりのOT(作業療法士)さん
(19日目:OT入浴判定=お風呂診断→note)
転院してきた当初にお世話になった方。丁寧で誠実で紳士的で天パで意気投合したギャップのあった素敵な方。この方とも久々だったし外歩きも久々だったので嬉しかった。希望通り歩き続けてもらった。もうすぐ運転評価だし退院だとも報告した。本当にリフレッシュ出来た。ありがとうございます。
佐藤さんの退院
今日は佐藤さんが退院する。 (↑上記習字でご紹介した方) 佐藤さんはご高齢の女性。誰にでも自分から話しかける人でとてもおおらかでいつも笑顔で声を出して笑っていて優しくておっとりしていてとても大事な事を学ばせてもらいました。声もよく通るうえになかなか面白い視点のコメントを言う人だった。狙ってるのかなと思う程に面白い事を言う人だった。ここは回復期の病院とはいえネガティブな事を言う患者さんも多数いる。そんな中でも本当に前向きで明るい方だった。沢山の看護士さんやセラピストさん、スタッフさんに見送られながらエレベーターに入っていく。ドアが閉まるまでこちらにいつもの笑顔を見せてくれていた。僕は目尻かな?目頭かな?少し水分を感じた。名字も僕が大好きで憧れ尊敬している画家の佐藤Tさんと同じだからとても印象深い。佐藤さん本当にありがとうございます。
運転評価スタート
さあそして今日から運転免許を復活させるための【運転評価】も始まる。朝から緊張している。でも数週間前からこの日に合わせてリハビリも日程も調整してきた。調整出来る位に回復した事を自信にして良いと思う。そしてこの自信も退院してからの生活に活かしていきたいと思う。本当にこの入院は人生を変えたと思います。人生観と言えるかも知れません。そんな大それたと言われるかもしれません。しかし何にしろそれくらいです。
運転評価専門の担当OT(作業療法士)さんが居た。この段階から登場する位ですし、見た目、オーラがもうこの呼び名しかないと思いまして、ベテランさんとさせて頂きます。まずは資料説明。法律からの観点。保険に関する観点。色々な事故での事例や判例。最終的に警察=公安=免許センターでの適正相談にて判断される。そして適正と判断されたら晴れて免許が復活する。そして当院の診断にて運転可能と判断された患者さんは免許センターの適正相談で不可にはなってないという。そんな有難いアドバイスで勇気ももらえた。そしてデモンストレーション的なテスト。これは運転評価の学習効果になってしまう範囲だと思うので割愛します。そして最後に視力テスト。一回目を一通り終えた。とても緊張した。本当に始まるんだなと思えた。視力は結構良いですねと言われた。
終わってから盛大にため息というか緊張を抜くための深い息を吐いた。ベテランさんから『あら、そんなに緊張してたんですか?』と言われた。僕はそうなんですと答えたら『全然そうは見えなかったですよとても落ち着いて見えましたもの』と言って頂けた。ベテランさんもとても優しくなんとかリラックスしてガンバレそうだ。
楽しい遅めの正月気分
院内で正月を設定したレクリエーションがあった。院長先生の挨拶がある。各階を回ってるらしい。昨今の流行病での影響でだいぶ遅くなり例年よりもささやかに行われたらしい。でも手作りとはいえ立派で本格的な鳥居だしお賽銭を模したコインもあるし巫女に扮した看護士さんもいる。そしてさらにはおみくじまであった。僕は【吉】だった。焦らずにとの事。まさに今の僕にぴったりだと思う。その他習字や輪投げや色々な正月ならではの催しがあった。患者さんもたいそう楽しそうにしていた。本当に素敵な良い病院だと思う。ネットの口コミなんかを真に受けて怖がっていた自分が恥ずかしい。
( クチコミ最悪とはいかに → note)
( 19日目 : 色眼鏡 → note)
( 46日目:小鳥さんありがとうございます→ note)
運転評価では実力を出せるように
焦らず落ち着いてがんばる。
とにかく焦らない。
とにかく落ち着いて。
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