フラットでの日常 3 ~’話し合い’の難しさ~
こんにちは、プリンセスです🙌
この記事はいつもと違う文体ですが、ご了承を。
今日は、私が住んでいるイギリスの大学の寮(フラットシェア)のお話。今週の初めに寮のレセプションから、我々のフラットで全員絶対参加のミーティングをします、という趣旨のメールを受け取っていた。
これがなんのためのミーティングかはフラットメイトは全員理解していた。
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本題に入る前に少し(長めの)前置き&説明を。
私が今住んでいるフラットは、5人でシェアしている; 私(Japanese: J)、パキスタン女子(P)、チャイニーズ女子(C)、カナディアン女子(Ca)、Britishマダム(B)である。
渡英して住み始めて最初のころは、まだまだ個人の性格などわからずに過ごしていて、ただただいろんな文化背景の人がいて嬉しい、と--ただ純粋に--そう思っていた。
ただ、違う国で過ごしてきた5人が集まって、みんなが仲良くできるわけではなかった。それは日本人同士でも難しい。同じ’日本国籍’を有していても、それぞれの生育環境で価値観なども違うから、齟齬が生じるのは想像に難くない。
フラットで起こったことの一つはこちら↓
そしてこれだけではない。この後、トイレの便座におしっこが散っていたり(×3-4回)、トイレにトイレットペーパーが落ちていたり(たぶん使用済み)、台所のP女子のカップボードからティッシュが勝手に使われて、それも床に散り散りにまかれていたり、など、いろいろあった。
そして上の記事でパーソナリティが疑われているBマダムが結構な頻度で我々の’国籍’を’言いたがる’のである。
私は、私の英語は完璧ではない。思いをくみ取ってくれる人に助けられることも多くて、表現や言い回し、流暢さには欠ける。でもアクセントはあまり指摘されたことがない。P女子は逆に、かなり流暢に英語を話せるがアクセントがある。そしてBマダムはこれをずっと指摘する。私にもP女子にも「そのアクセントがinteresting」だとか「(アクセントのせいで)聞き取れなかった、もう一回言って」とか。他のみんなは理解できているのに。
P女子は完全に個人攻撃を受けていた。彼女の信仰(ムスリム)や母国の文化やその中で培われた当たり前などに対して。これは文字通り枚挙にいとまがないが、--具体的に数個あげるのであれば; ハラル食文化がよくわからない(否定的な感情を表されたらしい)、トイレの使い方がなってない(パキスタンのトイレ事情は私もわからないのだが、スリランカで滞在した経験から想像すると、彼らはたぶんトイレットペーパーより、便器に備えられているミニシャワーみたいなもので洗い流すことが多いような。ただこちらの便器にはそれは付いていないので、P女子はトイレ内にある手洗い場の水を利用してそれに似たことをしているのではないかと思っている。なので最初はP女子がトイレを使った後は床に結構な水が散っていて、、でも、他のC女子やCa女子にとって、こういった文化が普通でないと知ったP女子は、それ以降、使用後はモップを使って床に水が残らないように気を付けている)、キッチンの使い方が汚い(たしかに完璧に綺麗ではない、でも彼女なりに使用後はコンロを拭いたりと努力している)、etc, etc...--それらへのBマダムの個人的な先入観を上乗せされた遠まわしなsarcasmで、傷ついたと私に告白してくれたことがあった。
C女子はしっかりものを言う性格なので、Bマダムのしたこと(特に人種差別的な発言)に対してはかなり厳しい態度をとっていた。そして、今回のこのミーティングの理由・背景は、「Bマダムの使用後、トイレの便座におしっこが散っていて、それを見たC女子が、トイレのドアにBマダム名指しで非難のメモを3枚貼った。そしてそれにショックを受けて怒り心頭のマダムが寮の学生メンタルサポートに問い合わせて、そのサポーターを巻き込んでのこの一件に関してフラット内でのミーティングを申し出た」というものである。
結論から言うと、このミーティングはかなり困難なものだった。
最初はBマダムが今回のストーリーや思いを話し、サポーターたち(三人いた)もかなり彼女に同情したような顔つきだった。
そしてやっと我々の発言できるときが来た。みんなこの一件に関してというよりも今まで溜まっていた鬱憤を晴らそうという雰囲気だった。
最初は、Bマダム的には見方だと思っていたCa女子。
Ca「私は個人的にあなた(Bマダム)から何かを言われたことはないけど、あなたと話すたびに、Japanese girlとかPakistani girlといった呼び方を使うのはなぜだろうと思っていた。フラットメイトに対してリスペクトはないの?というか、全員の名前言える⁇」
B「あたりまえじゃない…!」
結論:彼女は私の名前を言えなかった。
このCa女子にそんなことを言われると思っていなかったのかBマダムは少し狼狽し始めた。
そして次は私の番だった。
J「彼女はカフェに行こうと誘ってくれたり、正直フレンドリーにしてくれていました。彼女と私だけのことを考えると、私も個人的になにかをされたわけではない。でも、他のフラットメイトの話を聞いたり、あなたと話している間も、都合の悪いことが起こるとすぐ国籍を出してきて、あなたなりの人種によるジャッジが入っていることはとても不快」
B「私が何を言ったの??言ってみて!」
私はそこで彼女が私にした
・彼女の購入した肉がP女子に食べられたらしい、という話
・彼女がクリスマスホリデイを自宅で過ごしている間に、彼女がフラットの台所に置いていたプディングプレートが無くなっていて、それはP女子の仕業にちがいない、という話
を伝えた。
B「そんなこと言ってない!」
J「…(絶句)」
そこでしびれをきらしたC女子はすかさず、これまでのトイレの件、人種差別的な発言について言及。
しかし、
B「私がそんなこといつ言ったの!?嘘つき!!」
の一点張り。
その後もP女子が話すも、「言ってない」「知らない」「嘘つき」「みんなが私をアタックする」というコメントばかりで、なんなら人の話を最後まで聞こうともしない。
自分の立場が危うくなってきたと確信した彼女は「もうこんな噓つきの話は聞いていられない」とその場を去ろうとする。
サポーターたちが引き留めると--このミーティングはキッチンでしていたのだが--、キッチンのカップボードからナイフを取り出してくる始末。
さらには、「自分の知り合いの警察に問い合わせて、あなたたち(私たち)を告発する」とまで言い始めた。
「自分はBritish(なぜここでこのワードをわざわざ使うのかも謎)で自分のクリスチャンとしての信仰(ここもわざわざ言わなくてもいいやん…)に則って正しく過ごしているのに、なぜここまで嫌がらせをされないといけないのか」と。
この状況は正直、最初から予測できたことだった。Bが自分に非があることを認めないことはもちろんわかっていたが、私が言いたいのはそこではない。
ミーティングを要求したのは彼女だ。
ミーティングとは話し合いである。
話し合いは聞く耳を持たないと何も始まらない。
自分の意見ばかりを言っていても何も進まない。
自分の意見だけ言いたいのであれば言っても良いが、それは自分の番のときだけで、且つ事実だけを述べるべきである。
相手の言っていることを理解できなくてもいい、全てをアクセプトできなくてもいい、でも聞こうとする姿勢は絶対に必要なはず。
そして同時にすごく悲しくなった。
私はBマダムと特別仲が良いわけではない。彼女はフラットを嫌がっているから、よく自宅に帰っているし、私も図書館で過ごす時間が長くてフラットにいないことも多い。でも、私は、私と彼女だけの関係内であれば、私は彼女に対してここまでネガティブな感情を持つことはなかっただろう。同様に、たぶん彼女にとって、今日の私の行動は裏切り行為に近かったのではないかと思う。私は彼女を傷つけてしまったのだと思う。
彼女は本当に告発するのだろうか。
P女子は今ラマダン中で、この期間は特に人に対して怒りや負の感情を持たずに平穏に過ごし礼拝することが大切らしい。そして、こんな大事な時期に嘘をつくなんてありえないのに、「噓つき」呼ばわりをされたことに対しても、自分の信仰を否定されたように感じる、insecureだと彼女は言った。
C女子も怒りで震えてしまっていた。この時間はいったいなんだったのだろう、と。
これは一フラットで起きたできごとにすぎないが、これは世界の縮図であるとも思った。
思い込み、偏見、ミスコミュニケーション、理解不足、非難、否定、傾聴を伴わない自己主張。
と、これに伴う、分裂・分断、倍増する負の感情。
まさに国家間における冷戦、戦争。
コミュニケーションって何だろう
思いやりって何だろう
理解って何だろう
J'espère qu'il trouve la paix pour vous, moi, dans le monde.