私の設計裏話3 配管清掃からの学び
配管清掃は飲食店の必須メンテナンス
明らかに設計の仕事ではないのですが、設計した飲食店様の配管清掃業務を請けました。この業務に至るまで2度の清掃をお客様が発注されましたが、なぜだか改善しなかったのです。むしろ悪化した箇所もあるとご相談いただきました。一度ワザワザ群馬から信頼できる仲間を連れて該当箇所を清掃して解決したと思われました。しかしまさかの想定していなかったところにも潜んでいたのです。こうなってはどうしたって営業が厳しいでしょう。
飲食店設計の主題
親身な設計を志してみて飲食店デザインについて以下が(あたりまえなのですが)設計の主題だと感じています。
レイアウト(ハード)によりオペレーション(ソフト)間の密接な連携が図れるように計画し、マーケティングに効果的デザインを持たせる
客寄せを行い、しっかりと運営するという至極基本的な考え方になりますが、これがなかなかシビアな関係です。精密機械とまでいきませんが、それなりに詰めて計画しないと売れるものも売れないのです。その前提になるのが電気、冷凍冷蔵、調理、給湯、給排水(その他特殊設備)がしっかりと機能することと言えます。一つでも欠ければガタガタになるのが飲食店の特徴です。
排水問題児は個性的
以前「電気は嘘をつかない」ということを記述したことがありますが、「排水はそれなりに耐える。しかし限界を迎えると完全に崩壊する」ともいえます。排水は配管そのものにわずかながらの容量をもちます。例えば100ミリの排水管で10メートルあればおよそ30リットル程度のキャパシティがあるのです。その中がつまり始める(配管内側表面に油などの汚物が溜まりはじめることで配管内に堤防が作られるイメージ)と流れが悪くなり、オーバーフローします。実際に致命的な症状まで僅かな余力があるというのが特徴です。もちろん一気に致命傷となる症状もあります。排水問題は配管計画によって症状が違い個性的です。
さてそんなことで配管掃除してみます。オーバーフローするということにはいろいろな理由があります。それこそ一つだけの理由と言い切ることができないのです。依頼者にとって「これが原因です!」って言ってもらえればスッキリするのでしょうが、実際には多くの要因がじわりじわりと溜めこんで問題が露呈しまふ。過去のあらゆることを悔いてもらってもしょうがないので対処方法を説明しご理解いただきました(私はクライアントに恵まれたのか、大変優秀でご理解が早い)。
設計以前の条件となる厨房残置
ここで我々設計者として学んだことは、厨房残置再利用に関することです。もともと飲食店の心臓たる厨房は居抜き再利用のケースが多いのが案件の特徴です。それこそ費用がどうしたって膨大にかかってしまう工事項目故、既存厨房活用は事業判断的な側面が大きいのです。しかも、いくら事前調査したところで、どれほどの埋蔵インフラダメージがあるかなんて完全な把握は不可能です。そういったリスクや可能性、そしてその活用における事業挑戦性を説明することができれば我々設計者の業界価値は上がるはずと思います。
設計はノウハウとして図面に集約される
こういった「え?設計者がやるの?」という業務は当然専門外故に細心の注意をしないと受けてはいけませんが、学びは大きいものです。
しかし、設計者の仕事でないので、やらなくてもいいと思います。やらなくてもいいというのは、調査図面や新規計画図面をかいていけばある程度予測がたち、物理現象故に大抵の場合はその予測が的中するものだからです。我々の本当の武器はやはり図面です。
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