追悼、立花隆さん・・・
立花隆さんがお亡くなりになりました。
やはり少なからずショックですね。
とにかく興味関心の幅がバカ広い。
立花さんの著作から、
「おお、世の中にはこんな問題があるのか!」と気づかされることが多々ありました。
さすが、「知の巨人」。
ジャーナリスト、ルポライター、作家、そういう呼称ではくくりきれないお方でした。
やはり代表的なお仕事は『田中角栄研究』でしょうね。でも、私は読んだことがない。
イカンなあ。なぜ素通りしてきたんだろう?今からでも遅くはない。是非とも読みますぞ。
私が読んだのは、『宇宙からの帰還』、『青春漂流』、『サル学の現在』、『ぼくはこんな本を読んできた』、『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本』、『立花隆の書棚』、『二十歳のころ』等。
その中でも『サル学の現在』はタイトルを見ただけで頭の中が「?」でした。
「サル学?猿楽や申楽なら知っているが、なんだこれは?」
サル学は霊長類に関わるありとあらゆる学問の総称でした。
生物学はもちろん、動物行動学、認知科学、文化人類学。群れから個体、DNAまで、マクロからミクロまでなんでもかんでも。
立花さんが取りあげるのにはまことにふさわしいテーマです。
日本はサル学研究の最先端を行っている。
特に京都大学の霊長類研究所は世界のトップランナー。
『サル学の現在』を読むと、京大のサル学を引っぱってきた人たちの名前がどんどん出てくる。
河合雅雄、今西錦司、伊谷純一郎、松沢哲郎、山際寿一・・・そうそうたるメンバーです。
『サル学の現在』以降、なんだか生物関係の本がすごくおもしろくなっていろいろと読みました。
まず、『河合雅雄著作集』全13巻(小学館)。「少年動物誌」は読みやすかった。なんせ子供用だから、私にはピッタリでした。「ゴリラ探検記」はすでに持っていたのですが、まあ、多少の重複はしかたない。全集ものを買えばよくあること。
河合雅雄さんの文章は、高校の現代文の教科書にも採られていました。
「ほら、この本が出典だよ」と、授業で紹介したものです。
最近では山際寿一さんの著作を何冊か読みました。
『暴力はどこから来たか』(NHKブックス)、『「サル化」する人間社会』(集英社)、『ゴリラの森、言葉の海』小川洋子さんとの共著(新潮社)。
『暴力はどこから来たか』も、教科書に採られています。
「ほら、この本が出典だよ」と、授業で紹介したものです。
『二十歳のころ』は著作というより、立花さんが指導・編集したものかな?
立花さんは東京大学教養部でゼミを担当しました。ゼミの課題はインタビューをして文章としてまとめること。
『二十歳のころ』はその課題を集めたものです。
いろんな方にインタビューしています。
赤川次郎、大江健三郎、山田太一、萩尾望都、水木しげる。
橋爪大三郎、鶴見俊輔、筑紫哲也、糸井重里、野田秀樹。
黒柳徹子、樋口可南子。
川上哲治。
滝本太郎、元オウム信者という方にまで。
無名の方々も大勢登場。ほとんどがインタビュアーたる学生さんのご家族です。
全編通して読むと、戦争の影響ってやっぱり大きいですね。
戦争なんてしちゃいかんなあ、としみじみ思います。
ところで、中松義郎と米長邦雄、ありゃどうにかならんのか?ひどすぎる。
(あくまでも私個人の感想ですが・・・)
『青春漂流』は立花さんがいろんな分野の名人上手の若いころの修業時代についてインタビューしたものです。
ナイフビルダー、精肉職人、ソムリエ・・・
みなさん若いころはエラく苦労していらっしゃる。でも、みなさん、若いころの苦労を懐かしそうに語っている。すごいなあとも思うし、そうだよなあとも思います。
この本の序文が、これまた教科書に採られています。
「ほら、この本が出典だよ」と・・・、しつこいですね。
立花さんは集めた膨大な書籍や資料を収めるためにビルまで建てちゃいます。外壁に猫の顔をペインティングした、通称「猫ビル」。自分で自分用の図書館作ったようなもんですね。あこがれるなあ。ま、私なんか、蔵書は一部屋に収まっちゃいますが。
さて、週末です。
立花隆さんを偲んで、昔の本を引っ張り出そうかな?
『サル学の現在』?、『宇宙からの帰還』?、いっそのこと『青春漂流』にしようかな。
年取るとかえって青春ものが読みたくなる。