保健室から vol.55「晩ご飯が美味しかったら、その日はいい一日」
3月23日、終業式の前日に配信しました。
最後ということで少々長くなってしまいました。
保健室から vol.55
「晩ご飯が美味しかったら、その日はいい一日」
「私はこの本の中で、大切なこと、カンジンなことはすべて省略し、くだらぬこと、取るに足らないこと、書いても書かなくても変りはないが書かない方がいくらかマシなことだけを書くことにした。」
北杜夫師(師です。私にとっては)がその代表作『どくとるマンボウ航海記』の中で高らかに宣言なさったことです。
「書かない方がいくらかマシなことだけを書く」
なんとすばらしい態度ではあるまいか。
遙か昔、高校生の私はすっかり魅了されてしまった。
それ以来、ずっと「大切なこと、カンジンなこと」よりも
「くだらぬこと、取るに足らないこと」を選び取る生き方に憧れてきました。
もちろんそうできたこともあれば、できなかったこともある。
人生なんていうのは、そんなもんだ。
それに冷静に考えれば、
くだらぬことと取るに足らないことばっかりやってては生きてはいけない。
多少は大切なことやカンジンなこともやらねば・・・
ただね、夜、寝床につく前に、
「ああ、今日は楽しかったなあ」
と思える日は、たいてい遊んで暮らした日です。
お馬さんを見に行ったり、映画や演劇を見に行ったり、
コンサートに行ったり、絵を眺めに行ったり。
あるいは、絵を描いたり、文字を彫ったり。
疲れているからすぐに眠れて、とてもよろしい。
少なくとも精神衛生上は最高によろしい。
この、精神衛生は実は体にとってたいそう大切です。
楽しければ免疫力が上がるというのは、どうも本当らしい。
笑っているとガン細胞が減少するなんていう報告もあるとか。
さて、私が常々思っていること。
「晩ご飯が美味しかったら、その日はいい一日。」
美味しい晩ご飯のために一日を過ごしていると言ってもいい。
くだらぬこと、取るに足らないこと、そして楽しいことを一生懸命にやった日は、
適度に疲れ適度にハイになっている。
疲れを癒やし、精神のクールダウンをしてくれるのが、その日の締めくくりの食事。
家族と一緒に食べる晩ご飯はもちろん美味しい。
ひとりで好きなものを食べるのも乙なモノ。
親しい人たちと一緒にテーブルを囲むのは、これまた素晴らしい。
一日も早く、みんなで安全に会食できる日が来ることを願います。
「保健室から」は北杜夫師のひそみにならい、
重要なことを半分、くだらぬこと、取るに足らないことを半分、
を心がけて書いてきたつもりです。
重要なことに偏ってしまったのではあるまいか?
それだけが心配です。
私の配信はこれで終了。
一年間のお付き合いありがとうございました。
いやいや、「雑談」と「司書教諭」を入れると、二年間ですか。
よく書いたなあ、とは思うけれど、実は楽しかった。
調べ物をして文章を綴るのは、精神衛生上なかなかよろしい。
読んでくれたあなたに感謝!
さてさて今後とも、感染症対策をおさおさ怠らず、体には気をつけてお過ごしください。
さあ、今夜も美味しい晩ご飯をいただきましょう。
「いただきます!」
プシュッ!
2年前、コロナ禍で学校がしばらく休校になりました。
そこで、「授業動画や演習用問題を配信せよ!」とのお達しがありました。
私は5分程度の漢文訓読動画を2回配信したんですが、
さほど教育効果があるとも思えなかった。
ならば授業中にやってる雑談を配信しよう、と思い立ち、
「授業の雑談」を書きました。
そのうちのいくつかはnoteでもご紹介しています。
さて、休校開けて授業が始まれば「雑談」を配信する必要もなくなったんですが、
私はその年図書室を担当しておりました。
これまたコロナ禍のせいで図書室への入場制限を強いられた。
つまり、図書室内での読書はほぼできず、図書を貸出すことしかできなくなった。
せめてうちでじっくり読書してくれよ、と思って始めたのが
「司書教諭のオススメ」の配信。
生徒諸君に読んでほしい本の紹介から始まり、
そのうちに見てほしい映画を紹介したり、
「マンガは文学だ!」と、マンガを紹介したり、
しまいには私が途中で放り出した本を紹介したり。
なんだよくわからん配信になっちゃった。
で、その翌年(去年ね)私が保健室の担当になったもんだから、
「保健室から」を配信したという次第です。
2年間、学校のシステムを使って遊ばせてもらったということになります。
ああ、よく遊んだ。
ところで、いま学校ではあんなアホな配信をしている教師いるのかな?