八木佑介

美術作家/1991年 京都府久世郡久御山町 生まれ 都市を題材に制作しています。 展覧会のアーカイブや作品ができるまでの記録を投稿していきます。

八木佑介

美術作家/1991年 京都府久世郡久御山町 生まれ 都市を題材に制作しています。 展覧会のアーカイブや作品ができるまでの記録を投稿していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

絵ができるまで.2

絵ができるまで、記録を残していく2作目です。 制作過程を通して作品を紹介できればと思います。 ディスク特典に付いてくる監督による副音声的に楽しんでもらえれば幸いです。 前回の絵ができるまでの記事です↓ 半年前に描いた「準工業地域」の地点から、さらに国道1号線沿いに南下して行きました。 飾り気の無い郊外の都市景観には、剥き出しに都市の本音が現れているように思います。 日本の地方都市の典型的な風景として再び国道の風景を描こうと思いました。 いい風景を見逃すことが無いように自

    • 第9回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展

      以前、「絵ができるまで.2」の記事で制作過程を紹介した絵が、この度、第9回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展で星野眞吾賞をいただくことになりました。 星野眞吾賞は前衛画家グループのパンリアル協会、設立メンバーでもあった星野眞吾さんが故郷の豊橋市で後進の育成のために設立された賞です。 時代に追従することなく唯一の表現を目指すことで、決して古びない鋭さや緊張感と共に、これまで見たこともないものを見る高揚を共有できるのだと星野眞吾さん達の絵を見ていると思います。 どのような絵か説明で

      • ニュータウンの公民館で展覧会をします。

        洛西ニュータウンの洛西新林会館という公民館をお借りして個展を開催します。 2021年頃から洛西ニュータウンへ通うようになり、取材した絵を描いて展覧会などで発表してきました。 過去の記事でも紹介しましたが、町の歴史について、開発の経緯から現在までを図書館で調べるところから始めました。 のどかな田園地帯に突如として生まれて以降、紆余曲折あった町の経歴を知った後では、風景の見え方が変わりました。この先も長く訪れたい町です。 下の記事を書いた2022年頃から比べると、僅か2年です

        • 個展記録「非・景観保全地域」(2024/03/21-04/07)

          個展「非・景観保全地域」へお越しいただきました皆様、誠にありがとうございました。 展覧会の記録を残します。 京都と言えばと思い浮かべる風景、清水坂、嵐山、伏見稲荷……、ガイドブックに載っているようなイメージが広く大量に流通している。 観光都市・京都市の景観保全条例によって、「景観保全区域に指定されていない」場所を取り上げた展覧会です。 その地域には、誰もがどこかで見たことのあるような、普遍的な郊外の都市風景が広がっていた。京都市内においては保護のための施策がなされていな

        • 固定された記事

        絵ができるまで.2

          個展告知「非・景観保全地域」(2024/3/21~4/7 close 3/28~31)

          この度、3月21日(木)よりBAMI galleryにて個展「非・景観保全地域」を開催いたします。どうぞご高覧ください。 「非・景観保全地域」 建造物の高度や屋外広告物の規制など、京都市の詳細な景観保護条例は有名である。ただ京都市の中にも景観保全地域に含まれない箇所がある。京都に対するステレオタイプなイメージの外にある風景を描きたいと思った。 十条通以南、国道1号線と新堀川通の周囲の一部は京都市の景観保全地域に指定されていない。一部の寺社や集落を除いて近代以前の面影は無く

          個展告知「非・景観保全地域」(2024/3/21~4/7 close 3/28~31)

          絵ができるまで⑥

          これまで絵ができるまでの記録を連続して投稿してきました。 絵ができましたので今回で終わりです。 不定期になりますが、これからも制作記録の記事を書いていこうと思います。 これまでも電線を主題にした制作をおこなってきました。 私は現実の都市を取材して都市を築き暮らす私達について考えることに関心があります。 この電線の連作は密集する電線が植物の蔦や根など自然界の形態へと近似していく様子に興味を持ち、始まりました。それは意図せずに人工物が自然の形へと還ってしまった、人工と自然と

          絵ができるまで⑥

          絵ができるまで⑤

          絵ができるまでの記事5回目、完成に近付いてきました。 段々と電柱が生え、電線が伸びていきます。 ただひたすら描くのみです。 最後の電柱の位置と大きさを決めます。 あと、いよいよもう少しです。 今回の記事は短めです。 次は完成したものを投稿します。 来週、11月22日(水)から開催いただく展示に出品予定です。 八木佑介個展「今日の出来事 」 2023/11/22 (水)- 11/28 (火) あべのハルカス近鉄本店 タワー館11階アートギャラリー 〒545-85

          絵ができるまで⑤

          絵ができるまで④

          前回までに大まかな全体像が決まったので、1日一歩と制作が進んでいきます。 一番奥の電柱ができました。 黒の絵の具で盛り上げて描いた上に木の幹のような茶色を重ねます。 この絵は自然界に多くあるような色を使って描いていきます。 電線を張って行きます。 マスキングテープで曲線を作るときには、森での取材の時の感覚を念じるように思い出しています。 2本の電柱に電線を張り終えたので、次の電柱を追加します。 電柱を描いて電線を描くの繰り返しです。 描きながらタイトルを考えます。都

          絵ができるまで④

          絵ができるまで③

          完成までの記録3回目です。 下図ができました。 下地ができました。 追加の取材に行きまして、 描き始めるまでの準備が揃いました。 まず遠くにある電柱から描いていきます。 絵の具の性質上、床に寝かして制作しています。 今回は空を仰ぐ構図なので、 次の作品資料も兼ねてなのですが天井画の図版を作業部屋に貼っています。 次回以降はこの電柱が増えていきます。

          絵ができるまで③

          絵ができるまで②

          完成まで日記、2回目の記事です。 S60号サイズ(130.3×130.3cm)の絵ができるまで、この数日の進捗状況です。 下図を作りました。 前回の記事にあげた森の取材から、幹の様をトレースしたものを元に描き出します。 画面全体の比率に沿わせたり、沿わせなかったりしながら調整します。 あともう少し煮詰めます。 下地、背景づくりです。 黒を塗って、 白を塗りました。 まだ今は乾燥中です。 この数日間、電柱を撮り歩きました。 1日に1時間半くらい、自室での制作の合間に出

          絵ができるまで②

          絵ができるまで①

          絵ができるまで日記です。 今はまだキャンバスをパネルに貼った状態です。 これから完成まで1ヶ月くらいの過程を投稿していきます。 先週と一昨日、森へ取材に行きました。 取材を元にこれから下図を作って、下地を塗ろうと思います。

          絵ができるまで①

          憶燈舟 巻二

          「ニュータウン」と言われてどんな印象を持つだろうか? 私の持つ印象は、郊外の里山的な未開の地を開発したとても人工度の高い環境、だった。 色で言うと灰色。無機質で味気ない計画的な街。 ただ実際にニュータウンの中に入って街を歩くとそのような印象は覆された。 そこには等身大の生活の匂いが滲み込んでいた。私も生まれてから今まで郊外の住宅地で暮らしている。洛西ニュータウンの家々や商店、公園などの公共空間、道路や水路の一つ一つに身近な既視感のような懐かしさを覚え、同じような生活を送

          憶燈舟 巻二

          洛西ニュータウンの絵巻物を展示します。

          先ほど展示作業が終わりました。 1月21日㈯から京都文化博物館にて開催させる展覧会へ出品致します。 以前の記事で紹介した洛西ニュータウンについての絵巻物の2巻目を制作しました。 ぜひ、ご高覧ください。 Kyoto Art for Tomorrow 2023 ―京都府新鋭選抜展―2023年1月21日(土)~2月5日(日) 月曜日 休館10:00~18:00(金曜日は19:30まで)※入場はそれぞれ30分前まで 京都文化博物館 4階展示室 https://www.bunpa

          洛西ニュータウンの絵巻物を展示します。

          ニュータウンの絵巻物

          初めて絵巻物を制作しました。 手元でスクロールしながら鑑賞する絵巻物という絵画形式は、より身近に風景を体感できるように思います。 来週6月2日(木)より個展「洛西ニュータウン」へ出品予定です。 洛西ニュータウンを題材にしたこの絵巻は、伊藤若冲の絵巻「乗興舟」に着想を得て制作しました。「乗興舟」は若冲が淀川の川下りを行った際に見た風景を時系列に沿って描いた絵巻物です。 今回の絵巻では洛西ニュータウンを深夜に散策・取材し、ニュータウン内のいくつかの地区を開発工事完了順に描い

          ニュータウンの絵巻物

          展覧会「洛西ニュータウン」

          私が初めて洛西ニュータウンに訪れたのは2年前に京都市西京区に引っ越してきた頃だ。 自宅からニュータウンへ向かう道中の地域では、古くから竹の子農家が営われており、今も一部だが広大な竹林が残っている。そして竹林の中、登山のように延々と坂道を登ると、徐々に視界が開け、洛西ニュータウンの高層住宅群の景色が広がっていた。 郊外へと向かう道のりで、小さな計画都市と出会う。なんだか不思議な風景体験だった。 □洛西ニュータウンの誕生から今について 1975年に洛西ニュータウンの入居は始ま

          展覧会「洛西ニュータウン」