絵ができるまで.2
絵ができるまで、記録を残していく2作目です。
制作過程を通して作品を紹介できればと思います。
ディスク特典に付いてくる監督による副音声的に楽しんでもらえれば幸いです。
前回の絵ができるまでの記事です↓
半年前に描いた「準工業地域」の地点から、さらに国道1号線沿いに南下して行きました。
飾り気の無い郊外の都市景観には、剥き出しに都市の本音が現れているように思います。
日本の地方都市の典型的な風景として再び国道の風景を描こうと思いました。
いい風景を見逃すことが無いように自転車を使って、描く場所を探しています。午前中に出て夕方帰って来ます。夏休みの小学生です。
4月13日、国道1号線沿いに京都市を抜け、久世郡久御山町を抜け、八幡市へと行きました。
久御山も良かったですが、八幡市に入って以降の風景がいかにも「郊外国道沿いあるある」な風景でありながら、独特の迫力がありました。
その時の写真です。
この辺りを描くことを決め、調べてみると、これらの地域は八幡市の都市計画で市街化調整区域に指定されていました。
(都市計画の上で市街化区域と市街化調整区域が分けられ、市街化区域の中で工業地域、商業地域、住居地域などとして開発が行われたり、公共施設が建設されます。対して市街化調整区域の中では新たな開発は原則禁止され、建築物を建てる時は許可が必要です。)
国道沿いは店舗や工場が並んでいましたが、確かに、周囲には田畑が広がり点々と集落があるのみでした。
(5/27)
サイズを決めキャンバスを貼りました。
194×130cm、F120号というサイズです。
(6/8)
八幡市、再訪です。
飲食店の並ぶこの100mくらいのエリアに絞って取材しました。
遠くにはマクドナルドや餃子の王将、近景にはガソリンスタンドやココイチやガストなどなどの看板が並ぶロードサイドらしい風景です。
自動車利用のみを想定されたような都市設計で歩行者としてはかなり居心地が悪く、自動車に気を配りながら移動しなければいけません。大阪からの大型トラックが行き交います。歩行者から見る国道沿いはどこか殺伐としています。
ロードサイド型の店舗が並ぶ独自の経済圏を成し、モータリゼーション社会への転換からの大動脈として都市間を繋ぐこの風景のバックグラウンドには成熟し、衰退する人口減少下の地方都市の姿があります。
とても個人的な話ですが、私は、脳の引き出しの一番手前に「国破れて山河あり」という言葉が入っています。なぜだか分かりませんが、事あるごとにこの言葉が頭をよぎります。多分好きな言葉です。
季節が移り変わるように、勃興と衰退目まぐるしい、そんな諸行無常な都市にそぐう風景を探します。
(6/11)
どの構図で描くか悩むという工程です。
とにかく悩みます。
今回は多め、500枚以上は撮っているので、3,4日悩んだ気がします。
最終的に一つに決めた後は何にあんなに悩んでいたのか忘れています。
(6/21)
描き始めています。
電線を描いているところです。
使っている画材は日本画の岩絵具や、砂や土、小石です。砂は天然のものが油絵用のマチエールとして、土は日本画材のメーカーが各地の土を絵の具として精製したものが画材屋で売られています。伏見区の丸栄ガクブチという画材屋さんが大好きです。
また模型屋でジオラマ用の小石を買って使ったりしています。
(6/26)
電線が描き終わったようです。
(7/2)
少しずつ像が現れていくような進捗です。
使っている画材の性質上、立てかけて描くことが出来ません。このような大きな絵を床に寝かせて描く場合、日本画家さんはよく乗り板というものを使います。皆さんもなんとなく日本画家の制作中の写真などで見たことあるのでは無いでしょうか。私の使っているものはより簡素です。
(7/15)
(7/21)
制作終盤です。
部屋が混沌としてきます。
(7/25)
完成間近まできました。
写真は撮れていませんが、立てかけて離れて見てみたりしながら、細部を作っていきました。
終盤はなかなか記録が残せていませんでした。
途中に別の小品を描いてもいたので実際の制作期間は1ヶ月とすこしくらいです。
完成直後の今は他の人が見て良い絵なのかどうか、まだ分かりません。
少し後になるかもしれませんが、完成したものをnoteでも見てもらえるようにと思っています。
このように自分で制作をあらためて順を追ってみると整理がついたり、省みたりできるのですが、読んでくださった方にとってはいかがだったでしょうか。面白く思ってもらえたら幸いです。
最低でも月1は更新しようと思っていますので、またよろしくお願いします。
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