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愛着タイプから見る「海のはじまり」


わたしが今、大好きなドラマ「海のはじまり」。

あの、社会現象になった「silent」を手掛けたスタッフが集結し話題を集めているこのドラマ。
ドラマの紹介記事を見ると、この文言がよく目に入るけど、実はわたし「silent」は観ていません。

"社会現象になった”とか言われると、逆に観たくなくなる
あまのじゃくタイプなんですよね(笑)
でも今は再配信があれば観たいと思ってます



好きな理由


わたしがハマったのは「いちばんすきな花」から。


「いちばんすきな花」でもそうだったんだけど
土方美久さん脚本のドラマは
感情が高ぶって、毎話泣いてしまう。


だから、絶対に一人で観るようにしているし、
ドラマを観終わった後はしばらく動けないので、
余韻に浸る時間まで考慮して計画を立てて観ている。



それぐらい好き。



なんでこんなに好きなんだろう…と考えて、
今のところの結論としては



登場人物の気持ちや感情を丁寧に描いていて、
どちらかと言えば世間では少数派な人が、
心の中で思っているけど口にはできないことを
言語化しているからかなぁ。



だから、
「あー、わたしもそれ思ったことがある!」と
過去の出来事を思い出したり


「ほんと、そうなんだよね!」
と激しく共感できる部分があって


今まで自分の中の言葉のボキャブラリーでは表現できなかったことを
自分の代わりに言ってくれたような気がしてスッキリするんだと思う。


今期のドラマ「海のはじまり」は「”親と子”のつながりを通して描く愛の物語」がテーマとされている。


いままで「親子の愛の物語」と聞けば、

あー、あのどこか嘘くさい”家族とはこうあるべき”を突き付けられる、温かい家族愛を見せつける系のやつね

と、どこか醒めた(ひねくれた?)目で見ていた。


でも、「海のはじまり」はそうじゃない。
だから面白い。


ひと口に”親子”と言っても、いろんな形があるし、いろんな人がいるよねー
そんなメッセージを感じるから。

わたしはドラマを観る時に、登場人物の家族構成やら生い立ちやらを分析しながら観てしまうクセがあって、今回はわたしの生涯の研究テーマである 親子関係や愛着問題について考えさせられる部分が多かったので、まとめてみようと思います。


登場人物の愛着スタイルに注目した、あくまでもわたし独自の見方です。
さまざまな意見があると思いますが、「そういう見方もできるのか~」ぐらいに思って楽しんで読んでいただければ幸いです。


※こちらの記事は決してドラマの解説ではありません。レビューともちょっと違います。あらすじなどは載せていませんので、あらかじめご了承ください




まずは愛着スタイルのおさらい


愛着スタイルとは、イギリスの精神科ジョン・ボウルビィが提唱した愛着(アタッチメント)理論。
主に幼少期に「母親的役割」の人との関わりから作られる愛着スタイルは、大人になってから他人との関係性に引き継がれると言われる。


愛着スタイルについて簡単に説明すると
愛着には安定型・不安定型の2種類があり、

不安定型は、回避型・葛藤型・混乱型
3種類に分けられます(種類の分け方は諸説あり)。



  • 安定型愛着
    自分が求めるときに「母親的役割」の人から愛情を提供してもらえる。安定的なつながりを安全基地として、失敗を恐れず外の世界へと冒険することができ、また困ったときは人に助けを求めることができる。



    〈安定型愛着を獲得した人の特徴〉
    ・自己肯定感が高い
    ・上手く感情を抑制できる
    ・共感する力に優れる
    ・上手くストレスに対処できる
    ・信頼に基づく恋愛関係が築ける
    ・親と、幸せなよい関係を作れる


  • 不安定型ー回避型
    「母親的役割」の人が不在の状態で情緒的なやりとりのない環境に育つ。人と人との交流から得られるものを知らないので、不遇な状況にあっても助けを求めるという習慣がなく、人に相談するという発想がない。



    〈不安定型ー回避型愛着スタイルを獲得した人の特徴〉

    ・自分の感情に気付かない
    ・自分の感情に対処したがらない
    ・関係を築きつつある他者の心や感情とつながるのに苦労する
    ・過去や自分の感情に向き合うことをかたくなに避ける
    ・たびたび子ども時代の経験を思い出せない 


  • 不安定型ー不安型
    「母親的役割」の人が不安定であることから、自分が求めるときに優しくされたり冷たくされたりと不安定な環境で育つ。大人になってからも「相手に見捨てられるのではないか」と対人関係に不安を抱える。



    〈不安定型ー不安型愛着スタイルを獲得した人の特徴〉

    ・日常的に怒りや恨みなど、ネガティブな感情に身をゆだねてしまう
    ・「愛されたい」「受け入れられたい」「認めてもらいたい」気持ちが非常に強い
    ・拒絶されたり、見捨てられることに極めて敏感
    ・他人からは愛情に飢えているかのように見えていることが多い
    ・すぐ恋愛関係になりやすい
    ・べったりとした依存関係を好む


  • 不安定型ー混乱型
    本来ならば、子どもにとって安心できる存在であるはずの親にネグレクトされたり、怖がらせられたり、プレッシャーをかけられたりすることで、
    自分の感情を整えるのが苦手でまわりの世界に安全を感じられない大人に成長する。



〈不安定型ー混乱型の愛着スタイルを獲得した人の特徴〉

・ひとたび脅威や失敗にとらわれると、「何もかもおしまいだ」と考える
・いきなり激怒して威圧的になり、罵ったり、暴力を振るったりする
・怯えて放心状態になる
・心を閉ざして、現状を見失ってしまう


主な登場人物の愛着スタイルを考察してみる


・月岡夏(目黒連)
 安定型愛着だと思われる。

決して口数の多くない夏だが、家族はそれを分かっていて、「言いたいことがあるなら早く言って!」と責めることも急かすこともこともなく、尊重してくれている。また、実父と対面した際、実父が海に聞かせたくない言葉を吐くことに耐え切れず、「これ以上聞かせたくない!」と、弟の大和に助けを求め連れ出してもらった。困った時に人に助けを求められるので、安定型愛着が育まれていると思われる。




・百瀬弥生(有村架純)
 不安定型ー回避型愛着だと思われる。

母親との相性が良くないと常日頃から漏らしており、夏の家族のことを「仲が良くて羨ましい」と言っている。過去に予期せず妊娠をした際、産むかどうかを母親に相談したかったのに、弥生の気持ちは聞かず「相手が望んでいないんならやめた方がいい。私も協力できないし」と一方的に言い切られていた。
そういう一方的なコミュニケーションで育ったので、相談したり頼ったりすることを避けがちな、回避型愛着スタイルだと思われる。




・南雲水季(古川琴音)
 不安定型ー回避型

学生時代、妊娠が発覚した際に、堕胎することを夏に相談することなく一人で決めた。その後やっぱり産むことにしたのを隠し、夏には嘘の理由を告げて姿を消した。夏にしても、津野(池松壮亮)にしても、近しい関係になることが怖く、離れることを選ぶ。
人に助けを求める習慣がなく、人に相談するという発想がないので回避型愛着スタイルだと思われる。



という感じで、愛着スタイルを考察してみました。

いかがでしたか?

まだドラマは続くので、また新たなエピソードが加わることで見解が変わるかもしれません。その際は、追加しますね。


愛着スタイルや愛着障害について、もっと知りたくなった方は
過去の記事も読んでみてください。


この記事を書いた人↓


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飯田さくら@生きづらさ改善コーチ
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