読書日記2024年5月18日〜6月2日
静岡から千葉へ日帰り旅行をしました。旅費を節約するために小田原から新宿まで小田急線急行で行きました。途中までは車窓がおなじような田舎の風景、途中からはなれない混雑した車内からは車窓を眺める余裕はありませんでした。その旅のお供は『フラニーとズーイ』です、なにかすっきりとしない心の中をさらにもやもやとさせてくれたすばらしい読書体験でした。
購入した本屋はアウトドアと旅の本が同じ棚に並んでいます。『パタゴニア』は自然の中を移動して現地の過酷な自然を伝えてくれる本だと思い込んで購入しました。そうしたら世界各地のはぐれ者やお尋ね者が行くところがなくなり、最後に行き着くところというような場所がパタゴニアであるというような内容でした。作者の想像力で事実より誇張された内容になっている感じはしますが、そのような想像を働かせてしまうような作用がある場所であることは間違いないようです。
この短編集を読むのはこれで3回目になります。柴田元幸さんの訳が河出書房新社から新しくでていたのを購入しました。なにが面白いかと言われるとはっきりとは回答できません。登場人物の会話で成り立っている短編たちで、その会話を読んでいると不安が増長されるような感じになってきます。だれでも抱えている不安な気持ち、それは直面している問題があるなしに関係なく心の奥底に潜む不安があります。それがもくもくとすこしずつ大きくなっていく感じがします。
かなり昔に見た映画『遊星からの物体X』の原作小説とそれのアンサー短編があるというので読んでみました。エイリアンとの接触方法が戦うのみの一択なところが少し古い感じがしましたが、だれが味方でだれがエイリアンに乗り移られたかというサスペンス感覚は不変なものだと思います。ピーター・ワッツの『遊星からの物体Xの回想』はエイリアン側の心情と本編のネタばらしところがあって面白い。
レーンとズーイの会話の量に差が出てきているのだろう。ズーイはフラニーに最後まで付き合った、その差だ。読者はその会話を延々と読み続ける。その会話を読み続けると読者の中に潜んでいる青白い魂がどんどん大きくなっていく、それがこの小説を読んでいると湧き出てくる感情の源だ。