読書日記2024年8月17日〜9月16日
酷暑に耐える日々。こんなときは小難しい小説ではなくまちがいない面白い小説を読むしかないでしょう。
ピエール・ルメートル『邪悪なる大蛇』
書店で『邪悪なる大蛇』というすごい迫力のある題名とカバー写真のインパクトでつい購入してしまいました。63歳の殺し屋マティルドが認知症が進んでいる危なっかしい状況でありながら、あっさり仕事をこなす残虐なところから物語が始まります。ルネ警部とテディの初々しい中年の恋などもありつつ、簡単に主要人物が殺されていくのには驚きます。最後に残るのが認知症のマティルドとさらに認知症の症状がひどいオスレさんで、それがこの本の趣旨なんだなと思います。ボケたもんが勝ちということでしょう。
ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
1970年から2000年に冷凍睡眠によって舞台が移動し、タイムトラベルで1970年へもどるという設定が2024年に読む小説としては理解するのに難しいものがあります。難しいというのは小説が書かれた当時に読んだ人と、最近読んだ人とでは感じ方が変わるという意味です。4年ほど前に日本でも映画化されていましたが、この時間の移動方法の設定以外はまったく変えていました。このプロットは何回でもいつの時代でもつかえる、オリジナルな唯一なものだということがわかります。