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バーテンダーししょーの心の師匠〜港区南青山のBAR ラジオの尾崎浩二さん。SMAP木村拓哉キャプテン。
『私の才能なんて美しいものを愛でることくらいですから』
いつか、何かの雑誌の中のインタビューで
"港区南青山のBARラジオの店主 尾崎浩司"さんは言っていた。
確か私の店が10周年を迎えた時に買った雑誌だった。
10周年という一つの節目を迎えた際、ただ続けるのに必死で、相も変わらず腕もなく過ぎ去った10年に目標を失っていたところがあった。そんな時に読んだこの記事は、私に新たな目標や道筋を示してくれた。
才能なんてそんなことでいいんだな、と思わせてくれる素敵な記事だった。
このことで考え方がシンプルになり、自分の新たな目標を作ることができ、修行をしていないコンプレックスなどを払拭できた気がした。先日の記事でも書いたが、自分の店をアートとして捉えるようになったのも多分この記事がきっかけなのだと思う。
その記事の中で、尾崎さんも修行したことがなく始めたと言っていた。それに加え、芸術性を持った趣味が多くアーティストでもあり多岐に渡る作品を残しているようだ。
その頃、偶然にもサントリーのパーティーに招待され東京へ行く機会があり、バーラジオを訪れることができたが尾崎さんには会えなかった。既に高齢のため、あまり店に立つ機会が少ないという話をチーフから聞いた。
しかしながら、チーフと話したことも自分の費やした10年という時間に自信を与えてくれた。
『うちを卒業しても10年店が続く人はなかなかいないですよ。たいしたもんです。』
褒められたりするのは、お世辞的であまり好きではないのだが、この時はすごく嬉しかったことを覚えている。
開業当初から、雑誌を買っては東京にある素敵な店を見て、そのわずかな写真を手本にし、見よう見まねで創り上げてきた店だった。師匠のいない私であったが、
雑誌の中の美しい店
"BAR ラジオ"
を手がける尾崎さんが、師匠のような存在であった。雑誌でことあるごとに紹介され、見続けた憧れの店にそのように言われた事は光栄だった。
尾崎浩司さんを知らない人へ。
紹介記事を見つけたので読んでみてほしい。
↓
ではもう一人の師匠。
上記の話とほぼ同時期に当時SMAPが20周年を迎えていた時であった。テレビで見たSMAPのメンバー拓哉キャプテン(※ラジオを聴いている人は、木村拓哉さんをキャプテンと呼ぶ)が言っていた言葉も、私に新たな目標を与えてくれた。
『僕らは、一人ひとりはそこまで大した才能を持っていたわけではないんです。ただ20年という月日を5人で続けてきたことが非常に難しく、凄いことなのです。』
大きな目標も、確かに大切なことではあるが、毎日をひたすら続けるというシンプルだけど非常に難しい目標を私に与えてくれた。
それ以来、私の目標は
"明日も続ける"
と、いうこととなった。
それ以来、そのシンプルな目標をひたすら追い続けて、現在21年に至る。
"続ける"
とは簡単なようで難しいこと、派手なことはいらない。ただひたすら明日も続けるための努力をしていれば成長とともに未来へ繋がる、ということを教えてくれたキャプテンには本当に感謝している。
余談ではあるが、拓哉キャプテン主演のドラマ
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ロングバケーション
で弾いていた曲、
"Close to You〜セナのピアノⅠ"
は自分がピアノを始めるきっかけとなった曲で今でも弾き続けている。
これらの出来事は、師匠のいない私にとって、初めて存在を感じることになり、今でも敬愛している。
目標なんて必ずしも大きくある必要はない、小さいことの積み重ねが、気づけば大きくなって見えているだけなのだ。
大きな目標に潰されて、身動きが取れなくなるより、毎日の小さな目標をもっていつか大きくなって見えたらいい。
二人はそんなことを教えてくれた気がする。
今でもひたすらそれを実践している。
現在、尾崎浩二さんは亡くなってしまったようだ。会うことは叶わずに終わってしまったが、改めてご冥福をお祈りする。師匠、ありがとうございました。
拓哉キャプテンについては引き続きご活躍を応援していきたい限りである。
皆様にもそんな心の師と仰ぐ方はいらっしゃるであろうか?
これからもそんな師と仰ぐ存在を探して見習っていきたい所存である。