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「書く」というリズムを崩さずに。


リズムを崩してはならないのだろう。

ジョギングでも、習い事も、読書も、そしてもちろん「書く」ことも。
一定のリズムを刻めるようになるまでは、とにかく同じペースで走り続けるのがいいんだろう。

それが、どんなペースなのかは人それぞれ。
何をするか、どんなふうにするか、何のためにするのかは、みんなちがって、みんないい。


「書く」でいえば、自分の記録として日記を残したい人と、「書く」仕事を依頼されたい人とでは、モチベーションの方向が大きく異なる。

だから、自分に合ったペースでいい。
ただ、どんなペースでも、決めたらそこからはしばらく走り続けた方がいいということだ。


毎日投稿なら、毎日投稿した方がいいし、3か月は続けたいなら、3か月は続けた方がいいんだろう。
その「しばらく」もまた、人それぞれ。
「同じペースで走る」というのも、幅を持たせるのか、厳密にルールを決めてしまうのか、それもまた人それぞれだとおもう。


何をそんな,今さらなことを。
というのは、自分でも分かっている。

これをあらためて思い出したのは、村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』を読んでいるときだった。

継続すること___リズムを断ち切らないこと。長期的な作業にとってはそれが重要だ。いったんリズムが設定されてしまえば、あとはなんとでもなる。しかし、弾み車が一定の速度で確実に回り始めるまでは、継続についてどんなに気をつかっても気をつかいすぎることはない。

同書、p.18


長編小説を書くことについても、走ることについても、そんなふうに語っている村上春樹とわたしは、モチベーションもやっていることも雲泥の差があるのは知っている。

でも、「継続」にはリズムが重要だということは、分かる。
ひしひしと、実感している。

書くのを、続けたりやめたりしていると、分かってくる。
一旦、何かの拍子にやめてしまうと、戻るのに一定の負荷を感じるのだ。

それは、重い扉をひらくような苦しい時間になるときもあれば、少し大きな石をどけるだけの感覚のときもある。
長く休めば、負荷は大きいのかと言われれば、必ずしもそうではない。

ただ、休んだり、書いたり、休んだりという乱れたペースを続けていて、また適度に書くリズムをつくろうとすると、それは何だかぎこちない。
しばらくは脳がスラスラと働かなくて、文章がうまく出てこなくなる。


この前まで、書いて、書いて、というリズムをずっと継続させていた。
そして、書きすぎたので、一旦ストックの消化にあてるため、書くのをやめた。
その間に、本を読んで、それでもまた書きたくなるので、書いて。

そんなとき、たまたま腰を据えて見たい動画ができたので、一旦ちゃんと書く手を止めて、二日ほど動画に集中することにした。


すると、ああ。
リズムが、リズムが戻ってこない。
「勘」が戻ってこないという方がいいだろうか。

頭の中が、すらすらと文章化されていくのが常だったのに、ときどき「あれ?」「ええと」と、手が止まる。

脳から手までの、一体どこで信号が滞っているのかは自分でも分からない。
でも、たぶん「書く」モードになっていた頭が、動画を見るモードに一時的に切り替わっていたせいで、もとに戻ってこないのだ。
 


だから、やめちゃだめだ。
書いて、書いて、書いて、という毎晩の作業は、繰り返しておくほうがよかった。

べつにそれは、「=毎日投稿」でもないし、パソコンを開いても、書けなくて、記事がひとつもできあがらなくたっていいのだ。
ただ、「書く」という脳の働きを無理やり止めるべきじゃなかったんだろう。
もとに戻すのは、一苦労だ。



こんな「書く習慣」を、いつまで継続できるかは分からない。

来年度から、仕事を始めたら、もう書いている場合じゃなくなるかもしれない。
そしたら、リズムが乱れてしまって、「書く」も「note」も、すっかり忘れちゃうかも。


でも、いやだなあ。
できれば、書いていたい。
書いて、書いて、書いて、というリズムを、一生涯手離したくない。

もちろん、今とおなじペースでは、走れなくなるだろう。
でも、やめないでいたい。


やめないでいるためには、今のうちに、「自分のペース」を把握しておくのがいいだろう。

自分はどのくらい書けるのか。
どんなふうにしたら、書きやすいのか。
何のために、どんなことを、どんなふうに書くと楽しいのか。

そうやって、自分と「書く」との付き合い方をよく分かっておいたら、忙しくなっても「書く」リズムを崩さないでいられるだろうか。


書いて、書いて、書いて、書いて。

たった、たったと、長くまっすぐな道を走る。
どうせ走るなら、見晴らしのいい、ひらけた景色を見ながら、進みたい。

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