マネージャーの仕事って何? 「マネージャーという言葉のイメージ」
具体的にマネージャーという仕事について紹介していこうと始めた「マネージャーの仕事って何?」シリーズでしたが、僕自身がどんなことを考えて仕事しているかも書いていこうと思い、今回記事にしました。
マネージャーの仕事って、わざわざ紹介するほどでもないような細かい雑多な仕事や、現場に近すぎで公開できない内容が多く、何を書こうか悩んでいるというのも正直なところです。
マネージャーのイメージ
さて、スポーツにおける「マネージャー」という言葉からどんなことをイメージするでしょうか?
裏方、雑用、気がきく、何でも屋さん、お母さん的存在、いつでも仕事してる、なんでも頼める、いろいろあると思いますが、部活のマネージャーのイメージが強いのではないでしょうか。
ヨーロッパのサッカークラブでは監督をマネージャーと呼びますし、ビジネスにおけるマネージャーとも、そのイメージは大きく違います。
飛び出すのは、、、
僕だけですね、、、
裏方のスタッフであることは間違いないです。部活動のマネージャーのイメージが付きまとうのは、何をやっているのか良く分からない、知られていないことがひとつの要因かと思います。これも発信を続ける理由のひとつです。
では、マネージャーとはどんな存在でしょう?
言わなくてもやっておいてくれる、一歩先を読んで対応してくれる
こんなことを言う選手が多いかと思います。
常にアンテナを張って、周りを見て、小さな変化を感じ、先回りして行動する。
マネージャーにとって大切な素養のひとつです。
そして、僕自身が一番苦しみ思い悩んでいることでもあります。
なぜなら僕は気がきかないから。
「自分は気がききます!」なんて言える人はそもそも少ないと思いますし、「そんなことないよー」って言ってもらいたいわけでもありません。
長くマネージャーをやっているので、経験から身についた部分もありますが、仕事をしていて本来の僕自身の性格や生まれ持ったものとは合わないと、いつも感じます。
プロの世界に入りDライズというチームで4シーズン過ごした経験も大きく影響しています。別の記事で紹介しましたが、Dライズはトップチームではなく、より良い環境や待遇は自分たちで勝ち取るものであり、与えられるものではなかったからです。
なので、何でもやってあげることが正解とは言えないチームでした。
全員がスター選手になれるわけではなく、アマチュアとプロの間くらいのチームという感覚だったので、何でもやってもらえる環境が普通になることが、彼らにとってベストだとは思えなかったからです。
分からないなりに考えた結果でしたが、迷惑だったかもと後悔もあります。
自分は選手にとって良いマネージャーではないのではと思うこともあります。どちらかというと、手取り足取りというタイプでは無いですし、単純にマネージャーという肩書をつけていても、年上に雑用を頼むのに気を使う選手もいるでしょう。
ただ、良いマネージャーの基準というのも曖昧で、「自分にとって都合が良い=良い」と言えるので、僕はある人にとっては良いマネージャーであり、他の誰かにとっては悪いマネージャーなのだろうと思います。
マネージャーの仕事に正解はない
未経験からプロの世界に入り、1年目に師匠に教えられた言葉です。経験を積むごとにその重みが増していきます。
同じ人間はひとりもおらず、同じチーム・同じ選手であっても常にカスタマイズし、アジャストする必要がある。
去年正しかったことが、今年も正しいとは限らない。
4チーム違うクラブを経験して、違いや変化の必要性はとても大きいと感じます。
チームは形があるようでない、その空気感は常に変化しています。
本当に何が正解なのか未だに分かりません。悩み、考える毎日です。
そして僕のやり方、そのクラブのやり方がすべてではないのです。
一緒に仕事をするスタッフには必ず伝える言葉です。
もちろん、それぞれのクラブのやり方もあるので、すべてを否定しろということではありません。
そのクラブ・チーム・選手・状況・タイミング・環境において、ベストを常に探し求めることを忘れてはいけないということです。
それが、この仕事の楽しさでもあります。
常に考える
広島での初年度、とても印象に残った言葉があります。
「毎日、ただ練習しているだけではバスケが下手になる。」
佐古HCが練習中に選手に向けて伝えた言葉ですが、僕自身にもすごく刺さった言葉です。
バスケを仕事にし、バスケをすることが自分たちの日常ですが、考えることをやめてはいけないのだと、改めて気づかされました。
当時の広島ドラゴンフライズは新規参入チームであり、少ないスタッフ(HC・AC・トレーナー・マネージャーの4人)で可能な限り多くのタスクをこなすために、効率を優先し、マニュアル化・ルーティーン化することを目指した時期でもありました。
得たものと同時に、失ったものもあると感じました。
これもバランスが大切ですね。
それと同時に、全員を100%同じように満足させることは不可能であることも受け入れなくてはいけません。
自分ひとりで出来ること・チームが出来ること・クラブが出来ることは限られており、取捨選択に迫られることが多く、判断次第でそれぞれの良い・悪いが変わってきます。
もちろん基本的には何でもやってあげようと思います。
チームの環境は可能な限り良くしようと思います。
ただし、楽をさせようとは思ってません。
煩わしい雑多な、いわゆる雑用と呼ばれるような仕事もこなすのは、オンコート・オフコートでのストレスや負荷を減らすことで、よりバスケットに集中してもらうためであり、勝つためです。
(マネージャーの独りよがりかもしれませんが)
マネージャーだからやる、やってあげたいからやる、選手やチームが好きだからやるのではなく、勝つために必要だからやるのです。
効率化、ルーティーン化することも、自分が楽をすることを目的としてしまうと、結果的に全体の満足度を下げることになりかねません。
もちろん、ひとつの作業にかかる時間を少なくし、フリーの時間を増やすことで、別の作業の質やサービスを向上させることは出来ます。
重要なのは、最終目的を間違えないこと。
甘やかすため、楽をさせるため、気持ちよくさせるためではなく、
全てはチームのため、勝つためです。
勝つために、気持ちよくさせる、快適な環境を作るんです。
”Everything I do is about taking away excuses”
これはNBAのダラス・マーベリックスの名物オーナーであるマーク・キューバンの言葉です。
個人的にNBAを一番熱心に見ていた時期に話題となった人・チームなので、注目していました。
当時NBAで最も豪華なアリーナを建て、選手へ提供するサービスのクオリティー向上に巨額を費やした人です。
アリーナ、ロッカールーム、プライベートジェット、最高級ホテルなどなど贅沢なサービスは数えきれません。
ホームチームのロッカーにはTV・ステレオ・プレステ・ゼンハイザーのヘッドホン付きだったとか、、、
選手が持ち帰るほどの高級タオルなんかも、、、
半端ない億万長者だから出来たことでもありますが。
すべては、言い訳をなくすため。
規模が違いすぎて比較になりませんが、言っていることはすごく納得できます。
差をつけることが定説であった、アウェイ用ロッカールームもホームと同程度の豪華さであることも話題になりました。
FA市場での選手獲得に有利になればという思いもあったようで、それが移籍の決め手になることはないだろうが、好印象を与えておいて損はないはずだと。
無理やりかもしれませんが、これもオフコートの不満やストレスを取り除くという意味では、考え方に通じるものがあると思っています。
最後に
部活動のマネージャーのイメージが強く、何をやっているか良く分からない仕事ですが、こんなこと考えるのかと何かの参考になればと思います。
考えすぎて、いろんなことをひとりで抱え込んでしまい、行動を起こせないことが僕の悪い癖なので、これからも発信していこうと思います。
これについては、団体行動が苦手な僕がチームスポーツを選んで正解でした。一緒に働く仲間たちがいるからこそ、今日までマネージャーを続けることが出来ています。
毎回のことながら、書きながらいろいろなことを思いつき、長い記事になってしまいました。
アウトプットなんて崇高なものではなく、これからも思っていることを吐き出していこうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。