Aの横顔

明日を夢見る大学生

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最近の記事

マッチ売りの先輩

「今から飲み来られる?」 夜は21時も過ぎた頃に、中学時代の先輩から唐突なお誘いLINE。ちょうど帰宅する途中だったので顔を出してみると、お世話になった懐かしの先輩方がいい感じに出来上がっていた。 学年は2つ違いなので、実際に会うのは中学1年以来。だからもう10年も会っていなかったことになる。 当時から十分お兄さんお姉さんに見えていたけど、それぞれ立派な社会人になって、もっと大人っぽいお兄さんお姉さんに。 あの頃の話をすると、皆さん1つ下の後輩すら朧げで、自分の同期のこ

    • 思い出をぶちっと

      あ〜〜、やってしまった… 時を巻き戻したい。 フィルムも巻き戻したい。 半年ほどかけてやっと撮りきった72枚のハーフサイズフィルム。 時間をかけすぎたことが仇となった。 どうやってフィルムを巻き戻したらいいか、忘れてしまっていた。 最初はクランクを上げてクルクルクル。 (いや、それはフィルムを取り出す時よ!!) 当然、空回りするけど、「巻き取ったんだっけ?」と裏蓋を開けてしまい、感光… やばいやばい、ここで焦りに追われて、「そうだ!クランクは上げないんだ!」

      • 今日から、私も、カブ主に。

        2022年のある日、私はカブ主になった。 株主ではない。カブ主。 世界に誇るホンダの名機、スーパーカブのオーナーである。 乗ったことがなくても、見たことはある。 見たことはなくても、聞いたことはある。 知名度でいえば、右に出る者はいないほどのご長寿バイクだ。 特別かっこいいわけでもなく、スピードも大して出せない。 だけれども、日本のどこにでもいて、これまた雰囲気がよく馴染むんだ。 これまでも、いろんな街へ出かける度に、そのレトロな見た目と独特の音を見つけては、「今日

        • 亜熱帯の本気

          沖縄地方が梅雨入りして久しい。 「梅雨」といえば、毎日のように冷たい雨が降り続く、というイメージを持っている人にとって、沖縄のそれはまったく違うものに感じることだろう。 かく言う私も沖縄出身ではなく、小学生の頃なんかは、 「今日も登校しただけで、靴が濡れ雑巾のようだ」 「校庭には今日も、『コンディション不良で遊べません』の旗が立っているなあ」 そんな日々が連日続くというのが梅雨のイメージだった。 しかし、沖縄の梅雨はそれと少し違う。 晴れることもよくあるのだ。 もう

        マッチ売りの先輩

          一瞬を永遠にする

          私は、カメラを持って出かけるのが好きだ。 正確には、写真を撮るという行為が好き。 風景だったり、動物だったり、乗り物だったり、ジャンルを絞ることなく、撮りたいものを撮っている。 どうして好きかって? 目の前に現れた、しかし二度とやって来ない瞬間を、自分の手で切り取ることができるから。 切り取ったものはもう動かない。 永遠に自分のもの。 前後にあったストーリーが、ぎゅっと詰めこまれた1枚。 見返したら、あっという間にそこへ戻ることができる1枚。 そんな感じが心地よ

          一瞬を永遠にする

          バナナの木

          数年前のある日、私は沖縄にいた。 偶然知り合った地元の ”にーに” が、親切にもいくつかの場所を案内してくれたのだけど、行った先の1つにバナナ畑があった。 これだけ著名なフルーツなのだから、どこかで栽培されていて当たり前。 それなのに、内地からやってきた私にとっては、そもそも木に生っているバナナを見ることが初めてで、もちろんバナナの畑なんて想像したこともなかった・・・ 「バナナは木に生っている」 背丈の倍ほどもある木からどっしりと重い実をぶらさげているその姿には、ま

          バナナの木