お坊さんにコーチング
教師から教育委員会へ出向し、そして2006年にコーチとして独立し、いろいろな講演・研修の依頼をいただいていました。
その中でも、2008年に僧侶の方々からコーチング研修の依頼が来たことがあり、大変面白く、今でもその時のことは思い出します。
各お寺では、夏休みに子どもたちを集めてラジオ体操をしたり、説法をしたりするようで、その時に子どもとの関わり方を教えて欲しいということでの依頼でした。
僧侶の中には、大学で教鞭をとる方もいて、寝てる生徒に対してどうしたらいいのか?など、質問もガンガン出る積極的な会になりました。
この僧侶の方々は、曹洞宗の東海地区の集まりで、曹洞宗というと福井県にある永平寺が有名です。
頭が丸坊主なので皆さん光り輝いていて、室内の明かりが1つだけしかないのに、室内がかなり明るいという、皆さん自身も明るく、とても面白い話をいくつか聞かせていただきました。
前回の「note」の「間接承認」で、直接、面と向かって伝えてもらう承認も嬉しいが、間接的に人から聞く承認はもっと効果があると言う話をしました。
その僧侶の方々に向けてのコーチング研修でも、間接承認の話をしていたら、ある人がいきなり「はい!」と言って手を上げました。
「何ですか?質問ですか?」と聞くと
「いや、実は、その間接承認というのは、曹洞宗のお経に書いてあるよ」
と教えてくれたのです。
帰り際に実際にそのお経を見せていただきました。
曹洞宗の開祖でもある道元禅師が作られた「修證義(しゅしょうぎ)」というお経の中の第4章に次のような下りがあります。
『面いて愛語を聞くは面を喜ばしめ、心を楽しくす、面わずして愛語を聞くは肝に銘じ魂に銘ず、愛語能く廻天の力あることを学すべきなり。』
要約すると、
「面と向かって、愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、その人の顔つきもやわらかくさせ、心を喜ばせる。
面と向かわずに間接的に愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、その思いは心の深いところまで染み渡り、魂にまで響く
慈愛の心から出た愛ある言葉(承認の言葉)は、運命を変えてしまうほどのすごい力がある」
ということでした。
承認の威力というものは、何百年前からも伝えられていたのですね。