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【読書記録#5】『Genesis されど星は流れる』(創元日本SFアンソロジー 3)
本書『Genesis されど星は流れる (創元日本SFアンソロジー 3)』(東京創元社) は「ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手たちが集結した書き下ろしSFアンソロジー」とのことであり、どの物語も読み応えがあった。SF作品に馴染みのない私でも、不思議なSFの世界にどっぷりと浸ることができた。
収録作品は下記の通りである。新作6編と、第11回創元SF短編賞受賞作(蒼の上海)が収録されている。
宮澤伊織「エレファントな宇宙」 p7-49
空木春宵「メタモルフォシスの龍」 p51-103
オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」 p105-136
池澤春菜×下山吉光〔対談〕プロの覚悟を届けたい――朗読という仕事 p137-147
松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」 p149-193
堀 晃「循環」 p195-217
宮西建礼「されど星は流れる」 p219-251
折輝真透「蒼の上海」 p253-290
各作品の感想を簡潔に書いてみる。どの作品も世界観が独特であり、短編作品の魅力を感じることができた。
・宮澤伊織「エレファントな宇宙」:迫力ある戦闘描写のおかげで、アクション映画を観ている気分で読み進めることができた。装備品の重厚感ある表現が印象的であった。
・空木春宵「メタモルフォシスの龍」:失恋すると女性が蛇になり、男性が蛙になってしまう世界。哀愁漂う世界観にふれることができた。
・オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」:語り口調が面白くて、どんどん物語の中に引き込まれてしまった。インタビュー形式で徐々に物語の全容が明らかになっていく面白さを味わうことができた。
・池澤春菜、下山吉光「朗読という仕事」:朗読に対する想いとプロの覚悟を知ることができた。声を使い分けるという感覚が凄いと思った、さすがプロ。
・松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界に来たら危険人物あつかいです」:物事を論理的に考えることの大切さ、数学の尊さにふれることができた。教育的効果のある物語であった。
・堀 晃「循環」:ある機械製品とともに歩んだ男性の半生を振り返る物語で、読んでいて心にジーンとくるものがあった。”不思議な部品”が長い歴史を経て主人公のもとに辿り着いたと考えると、その過程にロマンを感じた。
・宮崎建礼「されど星は流れる」:星空を見上げて天体観測をしてみたくなった。なかなか外出が難しい昨今の状況下でも、情熱があれば世界とつながることができると感じた作品であった。
・折輝真透「蒼の上海」:過去にスキューバダイビングで海に潜った時の感覚を思い出しながら読み進めた。蒼類との激しい戦いであった。地球上で普通に呼吸ができることのありがたさを思い出させてくれた。
・「第11回創元SF短編賞選考経過および選評」:各作品に対する選評から、SF作品の難しさと奥深さを感じることができた。作品選考は定量評価できない分野なので、選ぶ側の苦悩は尽きないと感じた。一読者としては、これからどんなSF作品が生み出されていくのか楽しみである。
最後に著者の先生方に感謝するとともに、本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。SF作品に馴染みのない私でも、不思議なSFの世界を味わうことができました。ありがとうございました。
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