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変化に適応する病院経営の視点
変化を前提とした組織運営の必要性
先日、5つの病院の経営幹部とディスカッションを行いました。どの病院も物価や人件費の高騰、患者ニーズの多様化、人材不足といった複雑な課題に直面しており、その深刻さが共通の認識となっていました。
こうした環境の中で、病院経営において改めて重要だと感じたのが「変化を前提とした組織運営」です。しかし、多くの病院では変化を進めることが難しいのが現実です。特に医療現場では、診療の質や安全性を守るため、ルールや手順を安定させる文化が根付いています。この安定性は必要不可欠ですが、一方で「リスクをとる変化」を避ける要因にもなり得ます。
現在の経営環境を考えれば、従来のスタイルには限界が出てきています。これからの病院経営には、「これまでの前提を疑う視点」が求められます。従来の「これが当たり前」「これまでこうだったから」という固定観念を見直し、新しい考え方を受け入れることが不可欠です。
前提を変えるためのトリガー
しかし、「前提を変える」ことは容易ではありません。なぜなら、組織文化や習慣は長い時間をかけて形成されたものであり、簡単に書き換えることができないからです。組織や人が変化を受け入れるためには、まず「気づき」が必要であり、その気づきを生むのが「学習」です。
病院において、組織的な学習の仕組みを整えることは、個々の職員の成長を促し、変化を受け入れる素地を作ります。組織としての学習環境の整備は、病院経営における重要な要素の一つと言えるでしょう。
変化と継続のバランスを考える
変化を推進すると、「何でも変えればよいわけではない」「維持すべきものもある」との指摘を受けることがあります。確かにその通りです。ここで思い出したいのが、ドラッカーの言葉です。
「変化と継続は対立するものではない。二つの極みとみるべきものである。」
変化と継続は、0か100かの二極化で考えるものではなく、50や60といったグラデーションのあるものです。同じ取り組みの中でも、変化させるべき部分と継続すべき部分が必ず存在します。
変化をすべてを覆すものと捉えるのではなく、調和させる視点を持つことで、組織内でもより受け入れやすくなるでしょう。病院経営においても、このバランス感覚を持ちながら変化を推進することが求められているのではないでしょうか。