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庭さきでつくれるやさいたち:苗床をつかった種まきでしっかり苗によるたまねぎづくり
(2023.11.6,11.13加筆)
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はじめに
農業をやめたので、家庭菜園で再開するときにそなえて備忘録をつくっている。ようやくたまねぎの出番。
いまこの時期は苗床でできたたまねぎ苗を畝へ定植する時期。最近はもっぱら市販たまねぎ苗がこのタイミングで売られている。マルチをして穴をあけたところへ苗を定植するのが常法。もちろん庭さきならばじかに植えつけて追肥する方法でもかまわない。
たまねぎは代表的な常備菜のひとつ。さまざまな料理に使えるのでつくれたら重宝する。上記の市販の苗を購入して秋の終わりに植えつける機会が多いかもしれない。
わたしはたねまきの作業が好きなので、基本的に種をまき苗をつくるところからやっていた。その方法をわすれないために本記事のうしろに番外編として記した。
種まきでじょうぶでしかも適正なサイズの苗を準備するまでがおもしろい。たくさんそだてた苗はあまればねぎがわりになる。植えつけたほうは生長して春さきから連休のころまでに結球して新鮮なたまねぎをあじわえる。
きょうはそんな話。
時期がたいせつ
たまねぎは定植の時期と、植えつける苗のサイズがカギをにぎる。タイミングをのがすと分球したりねぎ坊主が出たりしかねない。小さすぎる苗は寒くなり霜柱にもちあげられて根が地上に出て枯れることも。
そこでたまねぎの苗をタイミングよく種まきすると、お気にいりの品種の苗をじゅうぶんな数で準備できる。あまらせたら小ねぎ代わりにたべるとおいしい。慣れると極早生、早生、中生、晩手の品種をつぎつぎにふとるタイミングをづらしながらそだてて、ながいあいだ旬をあじわえる。
栽培に慣れると温暖なところでは、品種によっては真冬に温床に種まきしてあえて年あけの2月に苗を定植。梅雨時まえまでに収穫する栽培方法をとることも。
さまざまな品種のたね
市販の苗ではかならずしも栽培したい品種のタマネギが売られているとはかぎらない。まとまった数の苗がほしくてもなかなかそろわない。お気にいりの品種のタマネギの種を園芸店や種苗会社からとり寄せて種まきすればそれを回避できる。
基本的にねぎの種まき経験のある方ならば問題なくできる。
たねまきの時期
定植の時期からほぼ2か月まえ。たとえば11月10日ごろ苗を定植したいならば9月10~20日前後。最近はこの時期は暑いのではやく苗ができあがることもあり注意。
もちろんこれは暖地での時期。日本は南北に細長いのでそれぞれの地域に合ったタイミングがある。
用意する資材
(1)苗床用の用土(たねまき用土)
ホームセンターや園芸店で種まき用土として売られているものが無難。苗をつくる期間が長いので、発芽後は水やりがわりに薄めの液肥をあたえる。
(2)苗床
トロ箱もしくはプランター。深さ200mm以上がのぞましい。畝に直まきしてもいいが苗が小さいあいだの管理がむずかしくなる。苗床をつかうのが無難。
(3)たまねぎの種子
園芸店や信頼のおける種苗会社のネットショップなどから入手できる。種子はいずれも大量にはいっているので注意が必要。たいてい1袋で200~400本つくれて、じゅうぶんひと畝ぶんの苗をつくれる。
(4)肥料:化成肥料もしくは有機肥料
たまねぎをふくめてねぎのなかまの苗を定植後は肥料分をかなり要求する。とくに3要素(窒素、リン酸、カリ)のうちリン酸を定植時に確保したい。
定植の場所
大きめのプランターもしくはあかるい庭さき、はたけ。庭やはたけの場合には苗を定植する部分に穴をあけたビニルマルチがおすすめ。肥料成分の流亡をある程度ふせげて草とりなどの管理が容易になる。そのかわり追肥がマルチの穴からになりがちな点がデメリット。
それぞれのしごと
(1)肥料
化成肥料もしくは有機肥料。わたしは手づくりのぼかし肥料(油かす+鶏糞+米ぬかに少量の水を混ぜ発酵させて乾燥させたもの)、溶りん、草木灰(庭の剪定枝や乾燥した雑草を燃やした灰)をつかっていた。
(2)種まき用土
種子が小さいので市販の種まき用土などがいい。市販品にはすでに必要な成分がふくまれており、苗がそだつまでは一般的なうすめた液肥を水がわりに与える程度でいい。
(3)苗床の用意
たまねぎの種まきには、用土(市販の種まき用土など)を苗床に8分目ほど入れ、種子を蒔くまえにじょうろで水をかけてしめられせおく。苗床にする容器(トロ箱など)は、じゅうぶん根のはりをよくするために150mm程度のふかさの用土は必要。大きめのプランターも同様。
(4)たまねぎの種まきの手順
初めて作られる方や、たい肥や肥料の調合が難しい方は、市販の種まき用土と、そののち植え替える場所にはやさい用の栽培用土、もしくは庭土に所定のたい肥や肥料をくわえた場所でかまわない。以下に種まきの手順をまとめる。
具体的なたねまきの方法
①200mm程度の深さのトロ箱やプランターに、市販の種まき用土を上から40mmぐらいまで入れ、板などでたいらにならす。
②表面にうす板などをかるく押しつけて30mmの間隔ですじ(深さは5mm程度)をつける。
③たまねぎの種子を2cmおきにまき、こまかくふるった落ち葉堆肥をかけ、じょうろで種子を流さないように注意しながらおだやかな水流でじゅうぶんにかける。乾燥しないようにぬれた新聞紙かぬのなどをかぶせておく。
④4、5日のうちに発芽するのでおおいをはずし日のよくあたる場所に移動。
⑤2つ以上まとめて苗が出たところは一方を間引く。表面が乾いたら水をやる。発芽後はやりすぎない。
⑥発芽後10日過ぎたころから薄い液肥を水がわりに1週間に1回程度やる。
⑦根もとが鉛筆のふとさ程度になったら定植の適期。それより細すぎても太すぎてもよくない。ここがたまねぎづくりのいちばんのポイント。
ねぎのなかまは定植場所に肥料がじゅうぶんにありしっかり効くことがたいせつ。定植まえの段階で堆肥や肥料を入れ、1~2週間おいてじゅうぶんなじませておく。たまねぎは最後の追肥をいつうち切るかがたいせつ。タイミングをあやまると分球したり、ねぎぼうずができたりしやすい。何度かつくることでさまざま経験してそのタイミングをみきわめたい。
番外編(たねまき用土の手づくりの方法)
用土から手づくりしたい方へ
2か月ほど生育させる苗床の準備は、すべて手づくりでやるにはかなりの時間を要する。したがって前もって落ち葉たい肥などは、落ち葉を集めておくなど日ごろから準備しておくといい。たい肥づくりもたのしめる。
わたしは種まき用土を手づくりしていた。いちばんよく育ったのはふかふかした水もちのいい落ち葉からつくったたい肥または腐葉土。たまねぎの苗床用には熟成して1~2年たった落ち葉たい肥がいちばんよかった。それを細かくふるって用土の完成。
この荒い目のふるいにかけた用土10Lあたりに化成肥料もしくは手づくりのぼかし肥料(油かす+鶏糞)、溶りん各大さじ1、草木灰小さじ1などをくわえて混ぜ、1週間から10日ほど置く。たまねぎはこのようにとくに根部の生育に欠かせないリン酸に注意し、それにくわえてカリをそこそこ効かせるとよくできる。
以上。
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