メリットから選ぶ庭木の候補:さて何の果樹でしょうか?
はじめに
このところリモートワークで家に長くいるせいか、家の周囲に生存エリアが限定されている。
やむなく出かける生業の行動と買い物を除き、家の敷地から出ることすらない。したがって以前よりも庭に出て食べられるものを探すようになった。
今回は熟れはじめて色づいてきた小果実をつける樹木のお話。記事の「おわりに」で何の果樹かわかるじれったい文章にしてみた。どの段階でおわかりかクイズとして楽しんでもらえれば。
最後に正解をお知りになったのちに再度お読みになれば、きっとこの樹木の特徴に納得いただけるかもしれない。
庭木候補として
この果樹のメリットとなる「季節感」を中心に述べたい。日本のとくに市街地の住宅ではコンパクトな庭が多いことから、1本の木で四季にわたって変化が楽しめる樹種が好まれるようだ。
なかでもここで取り上げた樹種は年月がたっても背丈以内に維持できる。さらに以降に示すように季節ごとの変化を楽しめる。
庭木の候補に挙がりやすく結果として選びやすい樹種のひとつ。
季節を感じるさまざまなメリット
秋~夏にかけてのメリットや特徴を紹介したい。家の内外で庭をながめる際に、四季のあるわが国でこの樹木は、趣向を凝らしてこんなこともできるよと庭の持ち主を楽しませてくれる。
これはちょうどペットがさまざまな表情をみせつつ応答してくれるかのようで、植物とはいえ、生き物を育てている楽しみのひとつといえるかもしれない。
①紅葉
秋はもちろん紅葉。朝に冷え込む時期に紅葉する。年間を通じて温暖な著者の地域では夜間から朝の冷え込みはさほどでもないが、みごとに赤から赤茶色に紅葉する。
紅葉の後はゆっくりと落葉していく。これもまた秋の風情。常緑樹とくらべると葉のかたづけなどデメリットになりやすい点ではある。
②細かな樹形
冬を前に落葉して枯れ木の姿になる。[冬枯れ」を十二分に感じさせてくれる。庭づくりについて造詣の深い英国では、この樹木ではないが草木の冬枯れ姿をそのまま鑑賞の対象とすることがあるそうだ。
手持ちの品種はどちらかというと立ち木の性質が強い。しなやかで細かな枝の流れは雪との相性もよい。うちの庭では多くても積雪30センチほど。折れるほど枝は広がらないので難なく冬越しできている。
この品種とべつにはっきりと這性(クリーピング:這うタイプ)を示す品種があり、こちらは横に低くひろがりやすい。
③やさしい新芽
春は新しい芽と葉がやさしい。あかるい緑色を庭にアクセントとして与えてくれる。濃い緑の常緑樹と組み合わせると効果的だ。いくつかのメリットのなかでわたしがもっとも惹かれている点かもしれない。
やはり春のおとずれは待ち遠しい。桜花とともにこの樹木の新芽は春の訪れを確かなものとして感じさせてくれる。
④花と実
そして新芽とともに急速な変化をみせるのが花。すずらんのようにかわいらしい白い花をたくさんつける。ほぼ下を向いているので、花のひとつひとつの形やあつまるようすを中心に楽しめる。
品種で花の形がすこしちがう。
花後に子房部分がふくらんで果実ができてくる。最初のうちは緑色だがだんだんとふくらみ、やがてみどりに紅色が混じりつつ紫色へと変化してくる。そして熟すとしっかり果実全体が鮮やかな紫色となる。
⑤小さな葉のバランスの良さ
春の盛りから梅雨時期も明るい葉色が庭にアクセントになっている。葉はそれほど大きくない。盛夏は緑が若干濃くなる。わが庭では病気や虫がつきにくい強健な品種のせいか世話がいらない。かるい剪定ぐらいか。
くわえて酸性の土壌を好むので日本の大部分の土地になじみやすい。酸性を中和する石灰などは与えないでいいというより、鉢植えなどでは酸性のピートモスをふんだんに使うほど。
⑥病害虫が少ない
虫や病気が少ないのもメリットのひとつだろう。果実が実っても袋掛けなどの手間は基本的にはいらない。
多くないデメリットのひとつ。鳥に見つけられるとあっという間になくなってしまうことがある。果実がついてからネットなどをかぶせておくといい。
世話いらず
基本的にあまり手をかけることがない。剪定と混雑してきたときの枝の整理ぐらいか。あとは果実の存在を鳥に気づかれたときの防御ぐらいか。それもほとんどしたことがない。むしろ鳥に余分な実の摘果をしてもらっているぐらいに思っているので何もせずにそのままにしている。
ずぼらなわたしの性格に合っている樹木と思う。そのヒトの性格を如実に表すのかもしれない。その家のこの樹木のようすでその庭の持ち主の性格をつかめたりして。
おわりに
もうお気づきだろうが、正解はブルーベリー。すでにご自身の庭になじんでいる方もいらっしゃるだろう。コンパクトな庭木として注目されはじめ、一般に広がりつつあった2,30年前から庭で栽培をして、いままでほぼ欠かさず果実を収穫できている。
陽当りの良い場所なら旺盛に育つ。実つきをそれほど望まない、大きくなるのを好まないならばそれほど陽が照らない場所でも構わない。
陽当りの良い場所に植えかえてから水を得た魚のように、大きく育ちはじめ実つきも良くなった。その一方で剪定作業の頻度が増したと感じる。あまりたくさんならせても仕方ないので、鳥にも加勢してもらいながら程よいぐらいで賞味している。
たくさんなってしまったら冷凍するとけっこう長く食べられる。