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ホタテガイをさまざま上まわりそうな食味をしめす大きな貝を料理してあじわう経験をした
はじめに
世のなかにはまだまだ知らないたべものがある。国内ですらそう。あらためてその経験ができた。
しかもおいしい。希少であまりこれまで紹介されてきていないらしい。そのおはなし。
ひょんなことから
せっかく生きているからにはおいしいものを食べてみたい。ただし、ふところがゆるす範囲内で。それでかまわない。そういった要望にかなう食材といえば、旬のもの。
やさいづくりをしばらくやった経験から知ったことは何でも旬の時期がつくりやすく、入手するにしても安い。そして鮮度のよいものがそれほど苦労せずとも入手できてしかもシンプルに調理しておいしい。それはどうも万人が認める法則。
これはどうも魚介類についてもおなじかも。最近は地の魚に注目している。このところウルメイワシがおいしい。数日前に自家製の梅酒をつかって煮たところ、ほのかな酸味とあまみに梅の香りがやわらかなイワシの身を包んでくれておいしかった。
そして話は本題へ。その地魚、沿岸魚という話とは隔絶した内容に豹変してしまう。ひょんなことから遠方のエゾキンチャクガイ(ゆでた冷凍品)をいただく機会があった。けっこうな量なのでいくとおりか料理してみた。
バター焼き
この貝、とても大きい。1個あたりむき身(内臓除去)で70グラムほどある。貝殻はなかったので調べた。ホタテ貝は片側の殻が山型にふくらんでいるのに対して、この貝は両側ともにふくらんでいる。
つまりその分、貝柱が厚い。そのため貝が口を閉じてしまうとなかなかこじあけるのがむずかしいらしい。
それほどかたく閉じることのできる貝柱は強力。おなじサイズのホタテとくらべると貝柱が分厚い。厚みのある貝柱がからだのほとんどを占めており、文字どおり中心にどでんとかまえている。
今回のものはすでに火が通っているので、かるくソテーするだけで食べられる。その点、安心して調理できた。解凍は冷蔵庫中で半日からひと晩かけてゆっくりおこなった。
フライパンにバター(わが家ではバター風味のマーガリン)を入れ、溶けたところで解凍できた貝をごく少量でてきたドリップとともに入れる。
こしょうをふってできあがり。好みによって塩をふってもいいだろう。そんなに焼きちぢみしたようには見えなかった。身が厚いまま。
いただくとひもの部分の弾力はするめのよう。かむほどに味わいが感じられる。そして貝柱。ほどよく弾力があるが、縦に身がほろりとさけて食べやすい。あっさりしていてくせがない。
照り焼き
しからばと調理法を変えた。こんどは照り焼き。解凍するまでは上とおなじ。サラダ油をうすくひいたフライパンに貝をドリップとともにならべて火にかける。火がひととおりはいったところでいったんとりだす。
ドリップが煮詰まってきたら、しょうゆ:みりん:酒=1:2:2(各大さじ、好みでしょうゆや砂糖をたす)で混ぜたものを入れ、沸いたらさきほどの貝をもどし入れ、煮詰まりつつある液に貝をなじませる。煮詰まる直前で火を止め、予熱でさらにまとわせて完成。
こちらがわたしはいちばん好きな味。この貝に合っていると感じる。ひもの部分と貝柱の食味の違いがはっきりたのしめる。
クラムチャウダー
解凍した貝を4~8等分し、通常のクラムチャウダーにくわえてみた。あさりとくらべるとまったくくせがない。したがって薄味でもおいしく食べられた。さいごに牛乳を沸騰直前で火をとめるが、その程度であればあたためなおしてもかたくしまってしまうことがなかった。
これはこの貝の特徴のようで冷めてからもおいしい。それはとくに照り焼きで感じた。べんとうのおかずによさそう。
おわりに
なかなかよいホタテガイは値がはり手が出ない。わたしの住む暖地ではなおさら。この貝は地元ではホタテガイほどの値ではないのはたしかなよう。なかなか流通する機会はない。取り寄せるしかなさそう。
それにしてもこれだけ生きてきてめぐりあわないできたおいしいべ物はまだまだあるにちがいない。くいしんぼうの欲がでてしまいそう。