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被措置児童等虐待発生時の具体的対応と再発防止

前回の記事では、被措置児童等虐待の定義や最近の傾向、また現場での課題についてご紹介しました。虐待が発生する背景には、職員の経験不足や過度な負担、または適切な対応方法の認識不足などがあることがわかりました。

今回は、その続きとして、被措置児童等虐待が通告された場合に、具体的にどのような対応が取られるのかを解説します。また、再発防止に向けた取り組みや、職員や子どもへのフォロー体制についても詳しく触れていきます。

1.虐待が発覚した場合の基本対応

被措置児童等虐待が発覚した際、迅速で適切な対応が求められます。基本的な対応フローは以下の通りです。

通報: 虐待が疑われる場合、職員や第三者は速やかに児童相談所などの関係機関に通報する義務があります。これは、子どもの安全を守るための最優先事項です。

調査の開始: 通報が受理されると、児童相談所などの関係機関が調査を開始します。調査は、職員や里親の行動、子どもの状況、周囲の環境など、多角的に行われます。

被措置児童の保護: 深刻な事態が確認された場合、子どもの安全確保のために一時的な保護措置が取られます。心理的な配慮を伴う支援が求められ、子どもの心身に対する影響を最小限に抑えることが重要です。

2.職員への対応

加害が疑われる職員に対しては、慎重な対応が必要です。

業務制限: 調査が進行する間、職員は一時的に業務の一部を制限されることがあります。特に、子どもへの直接的な支援は控えさせ、他の業務に移行させる措置が取られることがあります。

加害を認めない場合: 職員が加害行為を否定している場合、調査が完了するまで処罰は行わないのが基本です。調査が進む間、業務を制限しつつ、状況の確認を待つことになります。

3.調査結果に基づく対応

虐待が認定された場合: 調査の結果、虐待が認定された場合、職員には懲戒処分や解雇が検討されます。さらに、組織として再発防止策の徹底が求められます。全体研修や支援の見直しなど、教育体制の強化が行われることが一般的です。

虐待が認定されなかった場合: 虐待が認定されない場合でも、子どもに対して不適切な関わりがあった場合、改善指導が行われます。特に、支援の質向上のための指導や、問題を見逃した管理職の責任が問われる場合もあります。

4.訴訟リスクと公正な調査の重要性

調査の結果、虐待が認定されなかった場合でも、加害が疑われた職員が訴訟を起こすリスクがあります。このため、調査は公正かつ適切に行われることが非常に重要です。職員の権利を守りながらも、子どもたちの安全を確保し、問題解決を目指す姿勢が必要です。

5.再発防止策

再発防止には、組織全体での取り組みが不可欠です。具体的には以下のような対策が考えられます。

職員研修の強化: 虐待に対する理解を深め、適切な対応を学ぶための研修が必要です。特に、経験の浅い職員に対する実践的なトレーニングが効果的です。

内部通報制度の整備: 職員や子どもが早期に問題を報告できる環境づくりが重要です。内部通報制度の整備や、外部機関との連携を強化します。

管理職の責任強化: 管理職は日常の支援を見守り、不適切な行動があれば迅速に対応する責任を負います。防止策の策定にも積極的に関与します。

子どもや職員へのフォロー: 虐待が発生した場合には、子どもへの心理的フォローが必要です。また、職員に対しても適切なケアや支援を行い、精神的な負担を軽減します。

まとめ

被措置児童等の虐待が発生した場合、迅速で適切な対応が不可欠です。調査の進行に伴い、職員の権利を尊重しつつも、子どもたちの安全と安心を最優先に考えた対応が求められます。また、再発防止策として、職員の研修強化や内部通報制度の整備、管理職の責任強化を図り、組織全体で虐待の再発を防ぐ体制を整えることが重要です。

次回は、私(小林努)が被措置児童等虐待防止・再発防止の第三者として適切である理由について、全国28ホームの自立援助ホームをマネジメントしてきた経験を踏まえ、さらに詳しくお伝えしています。

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