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夜が好き


私は夜が好き。

暗くて、静かで、まるで時間なんて存在しないかのような夜が好き。

私の夜の記憶は小学生くらいから。その頃はまだ、夜は家族との時間だった。テレビを見たり、家族みんなとお話ししたり。


当時、母と妹と同じ部屋で川の字になって寝ていた。「早くねーや」と私に言う母。素直に布団に横になり、目を瞑る。隣にいる母が寝転がりながらテレビをつける。私は母がグータンヌーボをよく見ていたのを覚えている(当時はまだシーズン1)。テレビから聞こえる会話の内容は小学生の私にはまだ難しかったけれど、それを観る母はなんとなく私の知らない母であるような気がした。
日中は仕事と家事でいっぱいいっぱいだったはずの母にとっても、夜は特別な時間帯だったのかもしれない。


その頃、林間学校や修学旅行はとにかく特別だった。
だって、夜を家族以外と過ごすなんて経験はそれまでなかったから。当時はスマホどころかケータイも持ってなかったし、夜を友人と共有するなんてもはや事件に近かった。先生に「早く寝なさい」なんて言われ過ぎたけど、皆と就寝前にヒソヒソ話をして、クラスの好きな男の子は誰だとか秘密を打ち明けあったりした。そんな話今までしたことなかったのに、夜がそういう雰囲気にさせる力を持っていることを知ったのはその時かもしれない。修学旅行の睡眠時間は確か2時間くらいだった気がする。


当たり前だけど、大人になって家族以外と過ごす夜は特別でもなんでもなくて、もはや日常に近くなった。


例えば、職場での残業時間。
こんなこと言うと「社畜なの??」と思う方もいらっしゃるかもだけど、私は夜の残業時間が何となく好きだったりする。といっても夜9時くらい、それ以上の残業は体力的にもちょっとしんどいからね。
皆が外回りから帰ってきて、その頃になると全員が揃っている。1日の疲れが出てきてることもあってキビキビ残業してると言うよりかはユラユラしてるって言う感じが近い。そして、今日起きた面白エピソードだったり、次の休みは何をするとか、この前行った温泉の話とか、それぞれが好きなことを話始める。上司が不在の時は、恋人の話とかし始める先輩もいる。「あ〜早く帰りたい」とかみんな口々に言うし、私もそれには完全に同意なんだけれど、夜の雰囲気が流れ込んでちょっとハイになっている皆さんとの時間がほんの少しだけ、お気に入りだったりする。



大人数での飲み会の、一次会からニ次会に行く前の、あの時間も凄く好き。
みんな酔っていて、何人かはもう潰れかけていて、
「二次会行く人〜??え〜どうするの〜??」みたいな会話をよそに、何人かのグループに分かれてグダグダ話すあの感じ。早く移動しないといけないのに、無駄にみんなゆっくりダラダラしちゃう。一次会で帰る子と、もう今世のお別れかって言うくらいのハグなんかしちゃったりして。お酒のせいっていうのもあるけど、みんなの高らかな笑い声や話し声が夜の暗闇に吸い込まれるあの感覚。皆と過ごす夜は全然寂しく無いし、孤独も感じない。一日ってこんなに長くて濃いんだ、と感じることができる。もう長い間大人数の飲み会なんてしてないから懐かしい。また早くこの夜が再来しますように。


大人になると1人の夜も楽しめるようになる。

一日中出歩いた日、帰り道に家に帰ってからすることを考える。あの本を読もう、あの動画をみようと計画を立てる。あー楽しみ。早く帰って1人の夜を楽しみたい。もしかすると私はこの瞬間が一日で一番好きかもしれない。あんまり一人でお酒を飲むことはないのだけれど、たまにはコンビニに寄ってプレモルを買ってみる。ちびちび飲みながら、ほろ酔い気分で映画を観る。これぞ大人の楽しみっていう感じ。IKEAの間接照明をつけて、お気に入りの香水を部屋にワンプッシュ。それだけで自分の部屋が世界で1番の場所になる。夜は景色が変わらないから、時の流れを感じないで済む。大好きな空間で、好きなことに時間を忘れて没頭できることが夜の一番の魅力だと思う。


一人の夜。たまに目に見えない不安や孤独に押し潰されそうになること、もちろんある。そんな時はラジオを聴くか、noteを見るようにしている。自分は一人じゃない。大丈夫大丈夫。そう思えていつのまにか寝落ちしていることが多い。余談だけど、noteの「眠れない夜に」というハッシュタグが凄く好き。眠れない夜、皆あるよね。私の文章も眠れない誰かに届いていたらいいな。


IKEAの間接照明💡


ところで現在、24:30。
私は夜にnoteを書くことが多い。でも大体は一日置いてから公開することにしている。夜に書いた文章って、次の日読み返したら恥ずかしくって穴に入りたくなるようなことを書いていることが多いから。でも随分時間が経ってから(何ヶ月後とか)読み返すと、ハッと気付かされるような内容を書いていることも多い。自分が書いたものと思えなかったりする。これも夜の魔力なのかな。いつもとは違う自分がいる。


夜が好き。それは私の中で絶対で、変わらない。
だれど、夜更かしはダメ。明日の朝起きる時すごくしんどくなるし、美容にもよくない。だからいつまでも夜を延長して楽しむんじゃなくて、一旦今日は寝ることにする。次の夜を楽しみに、あなたも私もまた一日頑張ろう。おやすみなさい。いい夢を。

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