哲学に関するメモ(3) 【現代哲学】
本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。
1. 現代哲学について 16項目
1-1. 現代哲学
…ヘーゲルより後の哲学が現代哲学
→言語論的転回、言語に注目、生きるための方法を探せ、世界の見方を変えろ
1-2. マルクス主義
…理論を完成させても現実は少しも変わらない、近代的哲学・資本主義への対抗
→凋落
1-3. 実存主義
…理論を完成させても私の苦痛・悩み・問題は解決しない
存在には 2 つの意味がある、〜であるという本質、〜があるという実存
1-4. 分析哲学
…言語を論理的に分析して哲学的な問題を解決しよう、何が良いか悪いかは人間の感情が決定する
1-5. 構造主義
…言語学に基づく相対主義、言語が違えば同じ物事を見ても見方・理解の仕方が違う
→何が正しいか間違いかはそれ自体では決められずどの言語・基準を使うかで判定が変わる
→本当に自由に行動しているか?自由なつもりでも社会に行動が決められているのではないか?
→個人を成り立たせている関係・構造の分析こそが重要
1-6. ポスト構造主義
…構造を変えるにはどうすればいいのか
→みんなが好き勝手したら収拾がつかない、強い不満感
言葉遊びをしているだけだよね、やったところで何が正しいかわからない
1-7. メディア技術論的転回
…ジャーナリズムではなく媒体
どの物質を通して情報を手に入れて理解・処理するか
技術で理解・認識を変化させる
1-8. 自然主義的転回
…心や意識は脳の状態にすぎない
脳という物質的なものにスポットを当てる
心という抽象的で目に見えないものを、具体的で目に見えるものに変えて検証できるのでは?
1-9. 実在論的転回
…言語・文化・概念で物のあり方を考えるというよりは、
物質的・技術的・具体的で検証可能なものに基づいて物のあり方を考える
1-10. アンシャンレジーム
…旧体制の比喩、特に 16~18 世紀の絶対王政期のフランスの社会・政治体制
1-11. ほらふき男爵のトリレンマ
❶無限背進
…理由を聞き続けるので根拠を出せない
❷循環論
…理由を聞き続けるといつの間にか最初の根拠に戻る
❸独断的中断
…理由を聞き続けるとこれが最終的な理由だと言って無理やり中断
→こうした事態に陥ってしまうことを想定して議論を行う、当事者にしか根拠は決定できない
1-12. ヒューマニズム
…人間主義、人文学
1-13. ナショナリズム
…その地域の言語で作られて印刷された書物をその地域の人間が学びその地域での意識が生まれる
1-14. グローバリズム
…デジタル情報通信による革命、情報をいかに収集・管理するかが重要になる、
情報処理は人間だけのものではない
→資本主義が終わったとしてその後はどうなるのか?
1-15. ニューロサイエンス
…人間の行動は自由なものではなく脳の動きで決まっていてシステムが狂うと犯罪を犯してしまう
→システムが狂ったのだとしたらその人
1-16. 問答法
…相手の話を聞いてその矛盾を示して議論を否定する
→あなたの主張からあなたの結論は出てこないのではないか?
と批判すれば、相手はごめんなさいと言うしかない
→相手を潰すことはできても自分の意見を通すことはできない
2. ニーチェまで 70項目
アルトゥール・ショーペンハウアー
2-1. ペシミズム
…世界・歴史に意味・目的などない
子孫を残そうという遺伝子に基づいてただ存在したいという意志・欲望があるだけ
→世界に幸福はない、他人に合わせるということは自分を捨てるということ
2-2. すべてが変化し続けるのが世界
…戦争よりも安定した平和が望ましいが、
世界がいつも安全で自分達が平和に生きていけると考えるのは現実的でない
→政治家に騙されている人がほとんど、政治家は安全と平和を宣伝しているがそんな歴史はない
→政治家が口にすることは幻想だが私たちが幻想に囚われているため気づかない
2-3. すべてが変化し続けるのは意志が全てを動かすから、自然のあらゆる力
→さまざまな意志が関わりあって変化となる
→政治が人々を動かすのは大衆に理解・納得されたからではない、
大衆の欲望と損得・利害を満足させたから
2-4. 自殺すれば意志から逃げられるわけではない、むしろ世界の意志のサイクルを増進させる
→意志から逃げるには認識を変えるしかない、欲望や価値判断を混ぜずに物事を判断する
2-5. 夜に孤独を感じる
→それは自分の内面に中身がないからでは?
2-6. 孤独を自ら選べば自由になれる
…日本語だとネガティブなイメージが強い、英語では loneliness とsolitude
→solitude の方、世界のつまらない価値観・争いから背を向ける、群れない
2-7. 幸福は自分の外ではなく自分の内面にある
…孤独な時間を作ろうとしなければ結局他人の意見や思惑の奴隷になるだけ
→自分に備わっているものが大きいほど外から必要とするものはない、
自分の内面に中身がないからこそ、外からの刺激がないと退屈になる
【意志と表象としての世界】
…世界は意志(主観)によって現れたものであり、
私が消えれば世界(表象)も消える
2-8. 世界そのものが無になるのか?
→対象を直観し認識によって表象を生み出すので対象は残っている
→対象を認識できなくても表象を観察しまくれば共通点など見つかるのでは?
→あらゆる表象は絶え間ない努力を続ける、生きること
→対象とは生への盲目的な意志では?
2-9. ペシミズム
…意志を達成しようと努力する
→達成されないと苦痛、達成されると退屈で苦痛
→人生は苦痛である
→どのように苦痛から解放されるか?
→芸術では一時的な解放、愛では根本的な解放
→禁欲、生への盲目的な意志を消し去る
→世界へ執着しなくなり苦痛から抜け出せる
2-10. 東洋思想と西洋思想のプロセスは逆だが交わる
【読書について】
…良い読書とは?
2-11. 読書とは他人にものを考えてもらうことである
→自分で考えろ
→読書をする時は自分の軸を持った上で、情報はあくまでも自分の思想や行動の補填
2-12. 良書を読む条件は悪書を読まないこと
…時間と能力に限りがある
→古典は語り継がれたものだから価値がある確率が高い
【根拠律の四つの根について】
…学問の基礎とは?ニーチェに影響を与えた
2-13. 原因→結果の因果関係
条件→帰結の相関関係
を区別したところがポイント
2-14. 理性が経験を超え常に一致を可能にするような能力であれば人間の歴史で宗教対立はなかった
→理性が形而上学的な能力であるという主張を行い続けることはできない
2-15. 何かが存在するには理由や条件がなければならない
→表象の水準、客観は主観にとっての表象
→根拠律は原理であってモノ自体について対象としない
❶生成の根拠律(物理・化学)
…表象における原因→結果の系列を成立させる、因果律
・原因…無機物の変化を支配する作用、量的変化の同一性を特徴とする
・刺激…有機物の変化を支配する作用、作用反作用が等しいとは限らない
・動因…動物の生活の変化を支配する作用、何らかの目的のために動いていて目的を認識
→感覚は悟性により直観へともたらされる必要がある
→直観に因果律を適用するには訓練と経験が必要がある
❷認識の根拠律(全ての学問)
…判断を成立させる、概念同士を結びつける
・論理的真理…3 段論法などの形式的
・経験的真理…経験判断を根拠とする
・先験的真理…アプリオリな総合的判断
・超論理的真理…思考そのものの原理(同一律、排中律、矛盾律、充足律)
❸存在の根拠律(数学)
…空間・時間が互いに規定し合う法則、公理
・7×3=21、7 と 3 で規定、7 と3 のそれぞれもそれ以前の別の数で規定される
→数の相互制約の系列が解の系列をなしている、遡っていくと最終的には直観を引きつける
→公理でも直観を出発点とする条件と帰結の系列に戻せる
❹行為の根拠律(政治学、歴史学)
…動機づけの法則
・認識主観は意欲の主体で自身が客観的に認識されることはない
→量的同一性もアプリオリな性格もない、主観は知覚経験を踏まえて動員の吟味を行うため
ジョン・スチュアート・ミル
2-15. 悪魔の代弁者
…多数派にあえて反論する人は重要
→反論を自由にできることが自分の行動を正しいと言えるための条件
→似たような意見や志向をもった人が集まると知的生産のクオリティは低下する
2-16. 功利主義
…個人が社会の利益になると思うことに個性・能力を発揮するべき
幸福量が増える行動こそ正しい、苦痛が増える行動は間違っている
→個人とは自立性・主体性を持った個人という前提
→誰からもの邪魔をされず、指示されず、縛られず、自分自身を生きる個人が自由、危害を与えないのであれば個性として尊重すべき
2-17. 自分に関しては自由に生きろ
…自分の体・精神・思想・行為については自分こそが主権を持つ
→多様性は悪ではなく善、自由で多様な生活は批判されるべきでない、
個性の発展こそ個々の幸福に直結する、自分で選択して生きるべき、
誰もしなかったことをするのを恐れてはいけない
2-18. 支配の根拠・継承は征服・血統・世襲に由来していた、
支配者の権威は被支配者の意思によるものではなかった
→被支配者が支配者に制限をつけるようになった
→支配者は被支配者の代表者にする方がまし、権力は集中化された使いやすいものになる
→多数者による専制が横行、
意志が反映されるのは圧倒的多数者・多数者として認めさせることに成功した者のみ
→世論・常識・感情・習慣・宗教的慣例が正しいとされるがそれは根拠のない錯覚
奥にあるのは偏見・羨望・嫉妬・利害・優越感・傲慢・侮蔑
ますます権力は集中化された使いやすいものになる
2-19. 伝統的な価値観は透明な束縛となる
…セックスは正常位でなければならない、
後背位や騎乗位は獣・悪魔が好むもので奇形や障害のある子供が生まれるというエセ倫理
2-20. ダイエットが続かない
→太った頃に戻りたくないというプライドがあればそれを思い出せばいいよ
2-21. 誘惑を我慢してやり抜いた成功体験は高級な快
…功利主義により人間は高級な快を選ぶ、知っているというプライドがあるから
【自由論】
…個人の自由とは?意志の自由ではなく社会における自由
→人間はどこまで好きにものを言ったり行動したりしてもいいのか?
→他人に危害を加えなければ好きにものを言ったり行動したりしてもいい
2-22. 功利性の原理を置いて考える、自由であるほどいいと考えているわけではない
…普遍的な判断基準を確立、理由や許容範囲、限界
→制限からの解放ではない。他者の幸福が脅かされれば制限し罰を与えることができる
2-23. 質的功利主義
…人間の快楽には低俗で下品なものもあれば高尚で上品なものもある
→異なる質のものを一緒にして考えてはいけない、どちらがいいというわけではない
2-24. これまでは正義を便宜から切り離せるかポイント
→ここでは万人にとっての功利がポイント
→行為の目的は幸福な生の享受
→行為の正しさの判断基準は幸福を促進するかどうか
→統治についても言える、押し付けはいけないし持続的に発展できる条件を整備するべき
→幸福追求ゲームのための自由
→正当な理由なく他者に危害を加えることについて自由は存在しない
好き勝手やるとエゴイズムの相克が生じる、多数者の圧力
→保護するための危害原理、ルールの基準をどこにおくか
→ある行為が他者の幸福を脅かす場合は規制に正当性がある
→そうでない場合の抑圧は不当、皆が幸福追求するためには個性の開花が必要
→良いことは何か?自分にとっての幸福とは何か?を知るために
自由があっても価値を持たなくなってしまう
2-25. 多数派の専制
…社会が多数派で支配される、少数派が無視される
→でも民主主義って多数決じゃないの?
→民主主義が何かわかってないのでは?
2-26. 社会的自由
…自由な社会とは社会の中で好きにものを言ったり行動したりしてもいい社会という考え
→人間はどこまで好きにものを言ったり行動したりしてもいいのか?
→人間は他人の自由にどこまで口出ししていいのか?
→社会が正当に行使できる権力の性質と限界を考える
2-27. 口出しが正当化されるのは自衛のためだけ
…相手の意に反する力の行使が正当化されるのは他人に危害が及ぶと考えられる場合のみ、子供は対象外、大人の話
→こっちが社会のため・こっちがやり方として正しいからこっちを選べは通用しない
→本人のみに関わる部分については本人の自主性が最優先
→身体的危害はわかりやすい、精神的危害はわかりにくい
2-28. 自由な社会を実現する条件
❶意見・感想の自由
❷目的追求の自由
❸団結する自由
→発信することで他人に身体的危害・精神的危害を及ぼす場合は制限していい
2-29. 思想・言論の自由
…大衆の意見・感想が100%真理であることはあり得ない
→自分で考えない正しい意見より自分で考えた正しくない意見の方が貢献度は大きい
→活発な議論がなくなると意見は偏見になる、自分がどう生きたいか・どんな思想を持っているかわからなくなる
→思想・言論に基づく行動できる自由が必要
→個性を伸ばすことが個人の成長・幸福・社会の発展に繋がらる
→何事も自分で選択することが大事
2-30. 自由とは真逆の行為で一番やってはいけないこと
…反対意見の人を不道徳な悪者と決めつけること
→相手・意見を冷静に分析することが重要
2-31. 他人に危害を及ぼさなければ変わった人間でいい
…社会に変わった人間がいればいるほど、その社会にずば抜けた才能を持つ人間が発見される
ウィリアム・ジェイムズ
2-32. プラグマティズム
…何が正しいかを論じるのではなく議論そのものが役に立つかどうかで価値を判断する
役に立つのであれば正しいか間違いかは決定できなくても問題ない
→神は存在するかという議論があれば、議論の結果がどちらにせよ、
その議論は何の役に立つのかと話が始まりどちらでもいいと話が終わる
【プラグマティズム】
…対立を調停しようとする、エゴイズムの相克を解決
2-33. 道具的真理観
…真理の価値はしっかり働くかどうか
→初めからあるのではなく出来事に働く力が発揮されて真理になる
→真理性は人間が同化、効力、校正のプロセスにある
→何が真理かは誰かによって検証されていることに基づくと同時に、
伝聞だけでなく直接検証する権利があるという暗黙のルールに基づく
→私にとって正しく、他人にとっても正しい、真
私だけに正しくなく、他人にだけ正しい、真とはできない
2-34. 一元論と多元論の調停
…世界は一であり多、絶対的に等位でどちらかが優れているわけでもなく見方による
→世界は初めは不完全に統一されているが唯一の認識者起源により結ばれた宇宙が統一する
ということが妥当な仮説だと受け入れる
→人間の努力で世界は段々と統一されてきている、神も役立つなら真、否定しても意味ない
2-35. 改善論
…現実的な条件が増えるほど可能性は高まる、ペシミストとオプティミストの中間
→人間の行為は条件を生み出せる、世界を救済できる
カール・マルクス
2-36. 疎外
…人間が作り出したシステムにより産物が人間から離れ人間を苦しめる
2-37. 資本主義で労働の喜び・贈与の喜びを失う、他人からいかに奪うか出し抜くかに専心
…労働産物を労働者が受け取れない、労働とセットになっていた人間らしさは消失
→資本家と労働者の階級闘争によって下部構造を壊そう
→資本がいけない、計画して分配しよう、ロシア革命
2-38. マルクス主義
…理論を完成させても現実は少しも変わらない、近代的哲学・資本主義への対抗
2-39. 個人の意識はあくまでも社会構造の反映であるため、個人の意識に訴えかけても意味はない
社会は歴史的変化によって改良され上昇していく
→ルールやガバナンスで人の行動をコントロールしようとしても疎外は起きる、内発的動機で促す
2-40. 唯物史観
…ヘーゲル、観念論、精神が根底にあり、物質が精神の影響を受ける
→マルクス、唯物論、物質が実態であり、精神は物質の活動形態にすぎない
セーレン・オービエ・キルケゴール
2-41. 実存主義
…人間はまず実存しそこから様々な本質を作り上げていく、あり方は自分で作る
「〜なんだから〜すべき」という本質主義的発想への批判、何してもいいじゃない
→自分の決断に一生をかけて情熱を燃やせるような人生を選び取ろう、人間の実存を中心に置く
2-42. ヘーゲルは人間の営みは真理・自由に向かうと説いた
→集団化された人間は存在するが個別の人間は考慮されていないのでは?
→自分にとっての真実を選びとっていくことが重要なのでは?
2-43. 美的実存
…快楽や美、無限の可能性に浸って感覚的に生きる
→どこまでいっても満たされない絶望
2-44. 倫理的実存
…倫理・正義感に基づき自己実現を図る
→普遍的な倫理を実現できない無力感で絶望
2-45. 宗教的実存
…死に至る病(自己の喪失)を近くし自分の信念(神)と向き合う
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ
2-46. ルサンチマン
…弱いものが強いものに抱く劣等感、同じ立場になれないから自己を正当化して何とか自己を保つ
→ルサンチマンへの対応
❶ルサンチマンを解消するために価値基準に服従する
(ブランド物、最新物を手に入れる)
→素の自分の判断かルサンチマンによって喚起された判断か見極める必要がある
❷ルサンチマンを解消するために価値判断を転倒させる
(強者を否定して自己肯定する)
→問題意識に根ざした判断かルサンチマンに根ざした判断か見極める必要がある
2-47. ニヒリズム(虚無主義)
…信じれるものをなくして何のために生きるのかが見いだせなくなる状態
→末人、将来に憧れも希望もなくただ楽に無難にダラダラ生きることを良しとする人間
→末人はなってはいけない、超人になれ
→超人、定義はない
→歓喜を得れる人間では?
→たった一度でいいから魂が震えるほどの喜びを味わえたら、その人生は生きるに値する
2-48. 信じるべきと感じているものはルサンチマンかもしれない、他者が作る物語の奴隷になるな
→信じてたものを失うと人生に目的を見出せないかもしれない
→そもそも世界に意味なんてないから、自分で信じるものを決めて強く生きなければならない
→没個性の時代に受け入れられやすい、東洋では受け入れられやすかった
2-49. 自分なりの価値を創造せよ
…元々決められた価値観の中で判断していれば面白みのないありふれた人生が待っている
普通以上の幸福が欲しいというのは既に価値観の枠の中で生活しているということ
→現代は学歴・キャリアなど圧迫するものが昔よりも細分化されて増えたため息苦しさを感じる
楽しみは現実逃避の誰でも買えるもの・商人によって値段・場所が決められたもの
→もっと危険な人生・個性で赤く染まった人生を送れ、
これくらいの気持ちでいないと新しい自分を発見することはできない
2-50. 周りに押さえつけられてストレスを感じている人間は、自分に才能さえあればと思っていて、その才能は血によるものだと信じている
→実際彼らが憧れる自由な人間は何も信じず、自己鍛錬から得た自分なりの価値に従っているだけ
→そもそも抑圧感を覚えるのは自分の生き方を自分でコントロールしたいができていないから、既に作られた選択肢の中から選ぶことしかできないから
2-51. 支配と言っても政治上の支配で個人としては自由じゃないかと考えていては、世の中の風潮に染まって生きることをやめられない、そう思わせるのが政治の支配、支配された生き方しかできなくなっている
→数値だけが意味を持ち、数値化できない人間的なものを飾り程度にしか見れない人は競争に巻き込まれるしかない
→競争に巻き込まれずに独自の価値観を作ってそれが認められて成功していたのであれば、それは失敗の始まりに過ぎない
2-52. カントの唱えた人格のない・純粋な概念の善を無効なものだとした
…人間は概念のみで生きることはできない、人間の生を中心とした倫理道徳でなければ生を損ねる
2-53. パースペクティブ論
…認識は角度・位置によって変化するため一定の方向から見るという形でしか認識はできない、どれが正しいかなんてない
2-54. トラウマがフラッシュバックする
→そのトラウマは自分の財産になると信じて生きよう
【道徳の系譜】
…善悪の判断の価値を明らかにするために道徳の価値を仮説的に考察する
→実証的でないから切り捨てるのはナンセンス
2-55. 道徳
❶自己肯定の道徳
…善いという判断は劣った人たちと比べた時に生じる
❷ルサンチマンの道徳
…ひがみが生じる
→私たちの道徳は偽善に過ぎない
2-56. 奴隷一揆はルサンチマンによる価値転換、悪人を思い描きそれに対して弱い自分を善人とする
→他者にビクともしないのは自由な人間、貴族は内面に価値尺度、ルサンチマンは外部に価値尺度
→主権的な個体、自律的で自己固有の意志を持つ人間、自己と運命を支配できる
約束を守れる人は関人について強い自覚を守り権力感情を持つ、自己コントロール
→負い目に対する良心、人間は社会と平和により束縛されていると悟った時良心の寂しさ
2-57. 禁欲主義
…ルサンチマンの方向転換を促す、不快の元を取り除けないが道徳的に取り除く、宗教の本質
→動物的なものへの憎悪、官能への嫌悪、日に対する恐怖
【悲劇の誕生】
…ギリシア悲劇を通じた現代文化批判
2-58. 苦悩を含む生そのものを肯定
→知性主義で崩れる、現代文化の再生
2-59. ギリシア人はディオニュソス的な音楽を否定、アポロン的な造形を作る
→衝動が生じ音楽の美術として現象する
→融合によって起こるのがギリシア悲劇
2-60. 美的ソクラテス主義
…美的であるために理知的でなければならない、衝動を抜き去る
→現代の文化自体がソクラテス的でその象徴が近代科学
→空間や時間の法則が当てはまりそれで世界を認識できる
→制限されていてこのことを見ない近代科学は実在を想定し把握しようとするが徒労に終わる
→近代科学は限界に導かれ現代文化もまた限界に導かれる
→限界にぶつかった時こそ悲劇の再生を期待できる
【権力への意志】
…既存の価値を見直し新しい価値を打ち立てる
2-61. キリスト教的道徳にはニヒリズムが潜む
→全ての価値はニヒリズムに行き着く
→人間は世界を紛い物とし真の世界を捏造するが権力は与えられない
→ニヒリズムが現れる
→キリスト教の世界解釈の没落、無価値性の感情、無意味
2-62. 永遠回帰
…前世も来世も同じ人間が同じ人生を繰り返すという仮説
→日常的な価値基準が自分のうちでなかなか納得できない時にこそ、
私たちは「本当にそれが正しいのか?」という問いにぶつかる
→吟味すると「正しいとは何か?」に行き着く
2-63. 本来の徳、自分の内面から生み出す徳は性の発展の条件
→キリスト教の徳、最も弱いものの幸福が可能となる徳を理想とする
貧困化した人間の思考、全体利害の方が価値が高いとするが利己主義を後押し、弱者の大衆的利己主義
→キリスト教は弱者を正当化する詭弁なのでは?
→道徳的な現象があるのではなく現象の道徳的解釈に過ぎない
→観点によって物の見え方が違うのではなくルサンチマンを条件とし権力への意志に相関して生成
→金儲けは不道徳と主張する人は本質的に生活に不満を抱き自己中心は他者への攻撃性に転化
2-64. 理想の批判、問題解決の条件を考え実践する人は尊敬に値するが、
願望や〜であるべきと言っているだけでは尊敬に値しない
→何らかの抵抗に直面しそれを克服してできる領域が広がった時に快感を得る
→私たちが自身の生を肯定できる価値とは何か?
→芸術、ニヒリズムやデカダンスを乗り越え生を肯定できる
→苦悩 99.999%→∞、幸福0.001%→∞、等しく経験される
→どんなに苦悩に満ちていても一瞬の幸福をもとに生を肯定するのが新しい価値
【ツァラトゥストラ】
…自己肯定感を上げる劇薬
2-65. 神は死んだ
…もう世界に絶対的な真理・価値観なんてないよ
→人間は神を前提とする世界を自ら破壊した
→人間は信じれるものをなくした、今までは頑張れば人生どうにかなると信じれるものがあった、だから辛いことも苦しいことも耐えられた、日本では終身雇用という神のような絶対的な存在があった、今は辛いことも苦しいことも耐えられない、漠然とした不安だけが広がる
2-66. 弱くてダメな自分を認めて覚悟を決めやれることをやり切って自分を肯定した方がいい
…絶対的な安全・安心がどこかにあると信じて何もせず、時間が経つのをただ待っていても苦しむだけ
→死を意識しているというよりは生に過剰に執着している気がする
→ニーチェの考えに足りなかったのは東洋的な思想だったのでは?禅とか武士道
2-67. 超人になるためのステップ
…末人ではなく超人になろう
❶ラクダ
…自分に負荷をかけて自分の強みを獲得する
❷ライオン
…既存の価値観・常識にはっきりノーを言える
❸幼子
…自分で考えて勝手に遊ぶ
→周りの人間がどれだけ苦しくても悲観的でも幼子には関係ない、世界は無条件に肯定されるもの、今この瞬間を大切に生きる、それと一緒
2-68. 永遠回帰
…前世も来世も同じ人間が同じ人生を繰り返すという仮説
→輪廻思想とは異なる
→永遠にネガティブな人生か、永遠にポジティブな人生か、ポジティブな方がいいよね、松人じゃない方がいいよね
→ニヒリズムを克服しよう
2-69. ニヒリズムの克服
…覚悟を決めて弱い自分を殺す
→死にたくなるような状況でもこれが私の人生なのかと立ち上がって戦うこと、そこで肯定できる人は過去もこれでよかったと肯定できる、将来に対しても肯定できる
→それが永遠にループする
→今この瞬間を大切にして肯定できればそれが永遠に続くのではないか
2-70. 運命愛
…自分の運命を部分的にではなく全部を受け入れて肯定する
→これはダメだったな・これはよかったなではなく全部良かったな
3. ニーチェからヴェーバーまで 92項目
アンリ=ルイ・ベルクソン
3-1. 持続
…分割という空間的な認識が不可能な意識の流れ
時間とは空間的な認識を用いて本来分割できないはずのものを分節化することで生じたもの
3-2. ピアニストの息子、古典学・数学・哲学を極める
→22歳で教授になる
→時間と自由、時間とは経験が繋がって流れるもの、時間とは経験から作られるもの、瞬間的な連なりではない
3-3. 忙しい・時間がない
→スケジュールに何も入れない日、何も決めない日を作ればいい
3-4. スケジュールを入れることで自分は充実していると勘違いしているのではないか?
→世の中の慣習に流されている、時間感覚を忘れるような主観的な自分の時間を作った方がいい
→自分 1 人の時間を濃密に生きることで生きている実感が湧く
解けなかった問題が解ける、いいアイデアが閃く、オリジナルな生き方が思い浮かぶ
【時間と自由】
…自由になりたいなら自己を取り戻せ
3-5. 純粋持続
…真の自我に目覚めるためにひたすら心の奥を直視する
→感覚を一つ一つ分析、純粋に質的なものであり量的に扱うことができない
→フェヒナーは感覚の差異は最小の差異、質は考えず同一性が確保されている、錯覚
→感覚は刺激の積み重ねで成立しているわけではない
→意識も質的、純粋持続として存在しているが反省的に捉えられる時に記号によって等質的に表現、空間の概念が入り込むこともある
気づかぬうちに質的な変化のつながりを排他的な諸部分の連鎖として把握し、持続を空間的広がりとして捉えてしまう
→時間も純粋持続だが常識や自然科学は記号として捉え持続のあり方を捨象する
→意識は社会生活に合う表面的な自我が肉体自我に代わる
→表面的な自我を好み根底的な自我を忘却
→自由とは時間の記号化を止め相互に浸透し合う意識状態に同化すれば手に入るのでは?
→日常行為の導くのは感情というわけではなく行為で感情を固着させるイメージ
→エゴイズムの相克の問題が発生
【笑い】
3-6. プラトン
…笑いとは卑屈なもの
→陰で笑う人は何に対して笑っているのか?他人の無知に対して笑っている
→他人の無知を笑いたくなる衝動は嫉妬心からくる
3-7. アリストテレス
…笑いとは他人を軽蔑し見下すことから生じるもの
→コメディは道徳心に反するものもあるため子供に見せるべきでない
3-8. ホッブズ
…笑いとは優越感を保つためのもの
→咄嗟の行動がうまくいった時、他人の不出来なところを見出した時
→能力がないという自覚がある人に起こりがち
3-9. カント
…笑いとは張り詰めた期待が無になったことで生じるもの
→緊張と緩和、緊張が高まって緩められるとたまったエネルギーが笑いとして解放される
3-10. 笑いを生む要素
…安心感
❶人間らしさ
…動物を見て笑う、動物の人間的な態度・表情に笑う
→帽子を見て笑う、ユニークな帽子を作った人の思考・ユニークな帽子を被ろうと思った人の思考に笑う
→仲間意識を感じる状況
→安心感
❷無感動
…心の乱れがない状態
→感情が動くとコメディとして捉えられない
→共感力が強すぎる人は笑いを理解できない、冗談が通じない
→ユーモアを理解して笑うためには感情移入をせずに傍観者になることが必要、心に麻酔をかける必要
→深刻ではない状況
→安心感
❸非孤立
…誰かと一定の文脈を共有していることが必要
→笑いは社会的なもの、共同体感覚を養う手段、孤立していると感じると笑えない
→話が通じて内容としても自分が多数派なので危機を感じなない状況
→安心感
3-11. 笑いは人間らしさ・機械らしさの間にある
…機械的な硬直性・人間的な柔軟性
→チャップリン、機械文明の中のおかしさを表現
→人間的な柔軟性が失われると病気・事故・犯罪が発生する可能性
→人間的な柔軟性を回復するために笑いがある可能性、病気・事故・犯罪のアラート、他人を社会に適応させる機能
3-12. 笑いは虚栄心を抑えてくれる
…人からよく思われたいと思う人を見ると笑いが生まれる、同時に共感する
→謙虚さは虚栄心と向き合い反省することで得られる後天的なもの、他人の行動を見て笑って自分の行動を直すという自己修正の繰り返し
→ツッコミは親しみやすさが加わる
3-13. 仕事における笑い
…過度なプロ意識は人間的な柔軟性を失わせる
→笑って笑われて回復する、自己修正する
❶職業的虚栄心
…自分の職業・専門分野が何よりも優れていると考える、その姿が笑える
❷職業的無感動
…自分の職業・専門分野の視点から離れられずに感情・共感がない、その姿が笑える
❸専門用語の過度な使用
…自分の職業・専門分野の言葉を仕事以外で使う、その姿が笑える
3-14. 笑いのレベルでアラートレベルが異なる
…英語では笑いを示す単語が多い
→笑いの種類や機能がたくさんあるのでは?
3-15. 『人生は近くで見ると悲劇、遠くで見ると喜劇』
チャップリン
3-16. 笑いは情動系から生まれる
…動物も笑う
→人間の笑いには複雑性がある、未来予測や期待の複雑さ・鮮明さみたいなものが違う
エトムント・グスタフ・アルブレヒト・フッサール
3-17. エポケー
…客観的事実だと思うことに「それって本当に正しいの?」という疑問を一時的に向ける
→個人が世界認識を強く持ち様々に繋がりダイナミックに変化するなかで他者を理解するのに必要
3-18. 現象学
…目の間の現象がどういう構造で成立するかを考える
3-19. 世の中が便利になっていくと前のめりになる
→本当に大丈夫?何が正しいのか?
3-20. 先入観の塊を外したい、外したとしてもどう証明するか分からない
→外すのではなく一旦横におこう
【現象学の理念】
…現象学とは何か?私たちに何をもたらすか?
3-21. 自然的思考(自然科学、実証科学)、自然的態度(日常的な態度)
に基づく世界観
…対象の存在は明らかで疑っても始まらないが認識のあり方に目を向ける
→主観的、自身の意識から抜け出て確かめることはできないが存在を知っている
→主観が正しく客観を捉えていると示す証拠がない
→客観認識の可能性とは?
3-22. 懐疑論
…すべて疑う、ブーメラン式に跳ね返ってくる
→懐疑論が生まれる条件を原理で叩くことが必要では?
→自然的思考と異なる方法、エポケーと還元、今までの確信をストップする
→エポケーにより対象を知覚し判断を行っていることが示される
3-23. 絶対的所与
…意識を内省しその作用を見るとき(知覚を知覚するとき)それは絶対的に与えられている
3-24. 還元
…客観が意識外に存在するという前提から入るのをやめ客観を絶対的所与に求める
❶意味も絶対的所与性
…事物だけでなく概念なども知覚している
→完全に同一の赤を見ているわけではないが知覚について赤いと判断し赤でも Red でも問題ない
→エポケーと還元
❷想起・想像でも絶対的所与性を見て取れる
…イデー化的方法
3-25. 的中性から相関性へ
…主観から抜け出て客観を直接認識できないが意識のあり方を内在的知覚により内省し、本質観取を行えば意味や善・美の価値が意識のうちで対象として生成する構造を取り出せる
→あるものはあるではダメなのか?価値をおくと話は変わる
→何が本質かは意識経験のうちから見てとるしかない
→多様な価値が存在しているのが生活のリアリティ、誰もが良いと言える原理をおこう
マルティン・ハイデガー
3-26. メタ存在論
…人間とは時間に放り込まれた存在
放り込まれた瞬間は生きる意味を持たない
自分の決断により生きる意味を選び取れる
3-27. 人間の意識の中に時間がどんな姿で現れるかを知ろうとする
3-28. 世界に都合よく使われていて他者に気を使う
→平均化され自己を喪失
→死と向き合うことで自己を取り戻せる
→向き合うのはしんどいので多くの人間は気晴らしをする、不安を紛らす
3-29. 情報がたくさんの世の中において人間は受け身で没個性化、ハイパーインフレで貨幣価値失う
3-30. 人生が辛い、死にたい
→やっと自分の時間を生き始めることができるんだね、おめでとう
3-31. 死の不安は唯一手応えのある確実に存在する可能性、成功などはあやふやなままの可能性
…どうでもいいおしゃべりをして過ごし貴重な時間を浪費していると何もなすことはできない、空虚な人生を送ると死を忘れてしまう
→覚悟を持って自分に向き合って全てにぶつかってみることが大切
ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル
3-32. アンガージュマン
…最初から人生や世界に意味があるわけではない、
自分が何かになろうとして苦しみ関わることでそれなりの意味が生まれる
→我々は世界という作品に携わるアーティスト、どのようにしたいかというビジョンを持て
3-33. 人間は自由という刑に処されている、本質も目的もなくこの世界に存在してしまっている
→人間は不安にまみれる、選択・行動の理由として自分の意思以外の根拠を見出せない、
正当化する基準さえない、言い訳できない
→宗教・文化・過去の例を無意識に基準とする、責任転嫁できる
大人しく周りに従えば物と同じ存在、人間らしく生きようとすれば無数と責任・苦痛が伴う
→宗教・文化・過去の例に従ったと思って言い訳しても自分が自分の責任で行動しただけ
3-34. 投企
…将来の新しい自分になるために今から生き方を変えていく、自分を無にしなければならない、
未来の自分からすれば今の自分は何者でもない、
→新しい自分になれても投企は続く、実存的な自由に生きることの縛り、いつまでも消えない不安
→人間は無に付き纏われているからこそ生きることに意味を見出せる
3-35. 感情がまずあって行動が伴うのではない、行動がまずあって感情が伴う
…愛するという行動がまずあってから愛の感情が作られる
→環境や時代が悪かったから自分の望みを達成できなかったのではない、
行動しなかったから達成できなかっただけ
3-36. 自分の顔がブサイク
→ブサイクだからなんだ?結婚できないのか?あなたはどうしたいの?
3-37. なれていないものになれるということが重要
…人間は偶然や自己イメージの呪縛から自分を解放して可能性を開いていける
3-38. 人間は自由、何でもして良いという意味ではない、何にでもなれるが自分で責任を持って選び取らねばならない
→一人一人違うので自分の責任を他者とは分け合えない
→自由とは苦痛であり孤独なものである
→怖くて動けないかもしれないが行動が必要
→動かなければ本質と向き合うことすらできない
エマニュエル・レヴィナス
3-39. 他社の顔
…分かり合えない人こそが学びや気づきを与えてくれる
→悲劇の多くが他人を間違っていると否定することで起きる、分かるとは自分が変わること
3-40. イリヤ
…ただあるという事実、自分が死んだとしても世界は当たり前に続いていくという恐怖
3-41. 他者論
…誰も否定できない真理は作れない、無限に否定する存在
3-42. カント、他者を観察し自分の中に取り込むことで他者という観念が作られ理解できる
→レヴィナス、他者は自分の外部にあるものでコントロールも理解もできない
→自己の中に取り込もうとするとエゴイズムを引き起こす
→自己完結した世界に閉じこもるからイリヤの恐怖から逃れられない
→恐怖から逃れるには他者の顔が必要
→他者の顔と向き合うことで倫理的責任が発生、責任を負うことで自己の世界から抜け出せる
ジークムント・フロイト
3-43. リビドー
…対象に向かう心のエネルギー
3-44. 大切な人を失った
→目の前の悲しみから目を逸らさず深く嘆き悲しみなさい
3-45. 失われた人に非合理的にリビドーを注いでしまう
→長い時間をかけて冷静さを取り戻す、今でも愛しているが自分は現世で生きていくほかない、悲しみ尽くすことに癒す力がある
【ナルシシズム入門】
…ナルシシズムを性のあり方のうちに定義づける
3-46. 自意識過剰との違いは性的評価の有無、ナルシシズムは自身をエロス的対象として感受
3-47. 第一次的ナルシシズム
…幼児期の自体愛的な段階
3-48. 第二次的ナルシシズム
…誇大妄想的な形で現れる、リビドー(性的エネルギー)が自身に向けられて生じる
→リビドーによる早発性認知症、統合失調症を改名していくうちに生じる
→成人になると第一次的ナルシシズムは消滅し誇大妄想は弱まる
3-49. 自我理想
…自我にとって完全なものとして現れる理想
→恋はリビドーが対象に向かうことで生じる、
対象が魅力的だからではなくリビドーが向かうから魅力的
3-50. 神経者は自我理想に達するリビドーを持たず自我理想を実現している人を愛して手に入れる
→自己ロマンの投影、理想と現実のギャップに苦しむときに自己実現している異性に惹かれる
【自我とエス】
3-51. 自我
…心の動きを抑圧、興奮から生じるものを制御
→エスに乗っかっていて接触面で合流
3-52. 超自我
…良心が無意識的に罪責感として使用
3-53. 超自我的良心と欲望、衝突により心に幸福をもたらす、ポイントは言語による自己理解
…エディプスコンプレックスの抑圧により生じる
意識のうちに占める位置付けは直接的な知覚に基づく
→次の瞬間には存在しなくなりただ思い出すことが可能な状態へ
→無意識の中には意識化できるものと抑圧されているものがある
3-54. 前意識
…潜在的に意識できる、言語表象がその統合により生じる
3-55. 無意識
…抑圧されていて意識できない、認識される素材により生じる
→感覚は言語表象と結びつくことで前意識的なものが外部知覚に転換されて意識化される
→良心も無意識に属する
→カオスな欲望を無意識のうちに見出すことは自然な直観
→社会的・倫理的に評価されるものを意識に根ざすとどうか?
3-56. エディプスコンプレックス
…自我がエスを支配しエスとの関係を深めるが自我はエスに対して消極的
→自我はエスにとって性対象として振る舞うよう迫られる
→エディプスコンプレックスの成立、母親に対する欲望と父親に対するアンビバレントな感情
同性の親との同一化を強めて解消し残るのが超自我
自我に対して父親のようにあれ、父親のようになるな
→検閲として働くとき自我はエスからの要求と板挟みになり罪責感が生じる
→角に強い影響を自我に与えると神経症
【快感原則の彼岸】
…心はリビドーに支えられ快感原則と諸原則のバランスで自らを保つ
3-57. 快をめがけ不快を取り除き興奮量を低く保つ
3-58. 反復強迫
…快をもたらす可能性のない過去の経験を呼ぶ
…患者の意識は不安を形作ることで刺激を克服しようとする、快感原則より根源的?
→快感原則と諸原則の対立に代えて生の欲動と死の欲動の対立を仮定
→心的プロセスが快感原則により規制され進むことは自明、
不快な緊張で刺激されたプロセスは緊張を減退させ不快を回避、快を達成
自己保有の欲動により諸原則が快感原則に代わる
→快感原則に従わない欲動とは?
→反復強迫、生じる条件とは?
→刺激保護をする感覚器官の防衛が破られると心的外傷が生じる
3-59. 自我欲動
…生命のない状態を再現しようとする
3-60. 性欲動
…生命の原始的な状態を再現しようとする
3-61. 快感原則は死の欲動のもとにあるのか?
カール・グスタフ・ユング
3-62. ペルソナ
…社会的役割を演じるために形成されたパーソナリティ
人格を使い分けることでバランスを保つ
→テクノロジーの発達どの人格にも別の人格がついて回るようになる(SNS など)、隠そうとしても切り離せない、解放されようとしても解放されない
→ストレスがかかるものからは逃げたほうがいいのでは?欠点も個性と認識
3-63. ペルソナがあることが問題なのではなくて外せないことが問題
→仕事の態度をプライベートに持ち込んでしまう
3-64. コンプレックス
…衝動や欲求が無意識に混ざり合って作られた観念
→マザコン、愛をもっと受け取りたい+自分を受け入れてくれない
→劣等感だけではない
→無意識を意識化において解決できないか?
3-65. 欲は本能全般、人間共通の無意識
→原型があるから人間は理解し合える
3-66. シャドウ
…表出する自分とは正反対の方向性を持っていて片方は隠れている
→明るい人には暗い側面もあるかもしれない
→イライラするのは他者に自分のシャドウを見るから、自分にその要素があるのを認めたくない
3-67. タイプ論
…内向的、外交的、思考、感覚、直観、感情
フェルディナン・ド・ソシュール
3-68. シニフィアン、シニフィエ
…表す言葉、言葉で表される概念、文化により意味の幅が違う
→赤信号がシニフィアン、停止がシニフィエ
3-69. 言語を用いて自由に思考しているつもりが言語の枠組みに思考は依存する、語彙の豊かさが世界認識の力量に直結する
…分節化、本来分けられていないものを言語で分けざるを得ない、
人間は言語によって勝手に物事に差異を施し、分類し、意味づけて世界を把握する
→言葉は他の言葉との差異によってのみ意味と役割がはっきりする
→異なる二つの文化間で完全な翻訳は不可能
3-70. 言語は時間をかけて意味が大きく変化する
時代や空間のどこに置かれるかで意味が変わる
言語が変化すれば世界・思考は変化する
3-71. 言語の恣意性
…シニフィアン、シニフィエは結びついているように見えて実際は結びついていない
それに気づくまで人間は世界の事物・概念に名前をつけたものが言葉だと思い込んでいた
→シニフィアンが同じでもシニフィエがずれていることが多い、
きちんとお互いの認識を確認することが大切
→悪魔を信じている文化圏では悪魔憑き、科学を重視する文化圏では精神病、と認知される
3-72. 言語学の祖、今までは言語の変遷を研究していた
→言語を理解するのに歴史は不要では?
3-73. 物事の本質とは何か?
→物事に本質は存在せず、ただ関係性と差異だけが意味を生み出している
3-74. パロール(発話行為)、ラング(文法や規則)
3-75. ランガージュ、名前は元々決まっていたのか?
→世界の切り取り方が違うことを説明できない
→隣のと関係で存在が決まる
ルートヴィヒ・ヨーゼフ・ヨーハン・ヴィトゲンシュタイン
3-76. 論理実証主義
…検証不可能な形而上学の命題は無意味である
→事実として検証できるものを根底におかないと検証自体無意味である
→その事実はどこから入手することができるか?
3-77. 言語ゲーム
…言語という思考のフレームによって人間は世界を理解する
→言語を分析し思考の限界を明確にすることで世界を少しずつ理解しよう
3-78. 『語れるものは語れるが語れないものは黙っていよう』
…やるべきことは言語化できない事実の探求ではなく、言語化できるかどうかの境界線を引くこと
3-79. 言語は日常的な理解を目的に発達したもの、世界は人間が理解できる意味を備えていない
…事実とセットする言語は分析して意味を理解できる、事実がなければ意味を理解できない
科学的言語を理解するには日常言語を理解しなければならない
→言語が事実とセットとなっていない、結構です(肯定と否定)
→ルールを知るには参加しなければならない
→中にいるので分析できるのか?
3-80. 写像理論
…世界は事実の総体である
→事実には言語が存在するので確かめられる可能性
→神や善、定義が定まっていない
→言語が世界を表現できていないので事実と照合できない
【論理哲学論考】
…世界・思考は言語と対応している
3-81. 世界は事実の総体で事態からなる、相互に独立、互いの結びつきにより成立
対象、単純で分解できない、アプリオリに真であるものは存在しない
→世界を正しく記述するには世界の単位を確定できなければならず、
世界の単位と記述の単位が同型でなければならない
→花、美しい◯、円周率×、花は円周率が成立しない事態
命題は意義を持たない、間違っているのではなくナンセンス
3-82. 論理操作
…ならば、否定、かつ、などで命題を結びつける
2-83. トートロジー
…論理の必然性だけを示す、経験的な真偽について語っていない
→経験で真偽を判断できる命題と分ける必要
→私は自分の経験の範囲内でしか対象を取り出して名辞を組み合わせ命題を作ることができない
→花、美しい◯、円周率×、そもそも花とは?ソリプシズム(独我論的世界観)
価値や意味は世界の外側に存在、直接検証できない事態、語れなければ沈黙
→語れない神秘として受け入れるほかない、語ったところでナンセンス
マックス・ヴェーバー
3-84. カリスマ
…リーダーに必要なのは歴史的正当性・カリスマ性・合法性
→歴史的正当性をデッチ上げるな、合法性に頼ると官僚制が強くなり優秀な人材は来ない
→カリスマ性を持つ人材を人工的に作っていくしかない
3-85. お金持ちになりたい
→お金への執着を捨てたほうがいい、努力をして人々のためになった結果お金持ちになっただけ
異常な情熱につながるエネルギー源をお金以外に見つけてストイックに仕事をしたほうがいい
3-86. 予定説
…救われるか救われないかわからないからこそ必死になる
→時間の管理が重要
【プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神】
…どのような社会を目指すべきか?
3-87. 宗教と経済倫理の違い、資本主義の本質とは言ってない
→重要なのは専門官僚制と法を持つ国家
→資本主義とヨーロッパ的資本主義を分ける
→天職が重要な役割
3-88. カトリックとプロテスタンティズムの違い
…ルターに由来、予定説、救済されるのは生まれる前に神に決定されている
→どのように耐えたのか?
→自身を審査することで救いの確信を作り出した
→救済は生活に計画性と組織性を取り入れて初めて可能となる
→生活を合理化しよう、禁欲
3-89. 職と禁欲が資本形成をもたらした
→衝動的な快楽を敵視し財の獲得を伝統的倫理から解放
【職業としての政治】
…政治とは何か?官僚とは何か?
3-90. 国家社会学との共通点
…国家は正当な暴力行使を条件とする支配関係
→❶歴史的正当性❷カリスマ性❸合法性
統治には人員と手段が必要、近代国家はその 2 つが分離する過程とともに発展
→政党はマシーン、人民投票的デモクラシーの登場を意味
ボスは票集めの資本主義企業家、票集めしか考えていない
→政治のために生きるのか?政治によって生きるのか?
3-91. 職業政治家としよう
…政治的スタッフ、執行機関であり政治を行わない
→感情も偏見もなく行うべき、倫理的に優れた人は指導者に向かない
→責任に耐えれる資質とは?
→情熱、責任感、判断力、事柄に没主観的に献身することが大事、冷静さを失わず虚栄心を克服
権力に溺れたナルシシズムは政治の力を弱める
3-92. ・心情倫理(善・正義かどうかが重要)
責任倫理(行為の結果に対する責任が重要)
4. ヴェーバーから 89項目
ハンナ・アーレント
4-1. 悪
…悪事は思考停止した凡人によってなされる
❶現行システムの中でいかにうまくやるかについて考える
❷現行システムをいかに良いものに変えるかについて批判的思考で考える
→悪事は怪物が行うのではなくシステムに乗っかってクルクル回そうとする凡人により生まれる
4-2. 全体主義
…個人の利益より全体の利益を優先しそれに個人が従わなければならない
→エルサレムのアイヒマン、誰でもアイヒマンになり得る
→なぜ全体主義が生まれるか?
4-3. アトム化、近代化でコミュニティを失った人間がバラバラになり拠り所を求める
4-4. 共通の敵、勝手な噂を信じる、異分子を想定しアイデンティティや団結力を高める
4-5. 帝国主義、自分たちこそ優れている
4-6. 観照的生活
…頭の中の理想があって自己実現しようとする
→他者をないがしろにする、全体主義を生み出す
4-7. 活動的生活
…日常の活動を重視する、労働(生存)、仕事(目的)、活動(他者との関係)
→個性を向け出汁にして人間関係に積極的に参加しなければならない
4-8. 家族が憎い
→許してあげなさい、その強さがあなたにはある
4-9. 時間は元には戻せないが過去から解放されなければいつまでも縛られて人間関係を回復できない
→それでも歴史的悪は理性だけでは扱いきれない
4-10. 殺人事件の半数は家族同士で起きている
…家族だからこそ甘えが満たされなかった時になぜわかってくれないのかという不満を抱く
ハンス・ゲオルク・ガダマー
【真理と方法】
…真の解釈は歴史的に規定されている、歴史性を無視するのは思い上がりも甚だしい
4-11. 個の主観がテキストや芸術に立ち向かって解釈するわけではない
→カント美学は主観主義に陥り芸術の真理を見ることに失敗
趣味が社会的から個人的へ、カントは共通感覚は単なる調整手段とした
→自然科学的なものだけが信頼される、フラジリスタ(ソビエト=ハーバード)
→芸術作品の経験は真理の経験で他者と出会い自らを歴史的に理解する
瞬間的なものが多い、シェイクスピアの言葉は瞬間で効果を持つ、言語が先立つ、伝承
→それでいいが物語自体は歴史的に理解しよう
→物語(過去)を効果的な言葉(過去と現在をつなぐ)で現代の私たちに理解させる
→真の解釈・理解とは過去の伝承が現在と融合するときに語る作品の声を聞き、伝承と受け継いで現代において理解すること
→必要なのは伝統であり方法でない、教養を認めないのはおこがましい
事柄を見たとき背景を持っているといないとでは直観の質が異なる
クロード・レヴィ=ストロース
4-12. ブリコラージュ
…何に役立つかわからないけど何かある気がする
→イノベーションは想定と異なる用途で開花するもの、結果的にイノベーションになった
→用途やターゲットを明確化せずに研究・開発でお金を使ってアイデアが生まれたが儲からない
4-13. 構造主義
…人間の社会・文化的背後には目に見えない構造がある
→実存主義は他の文明や文化を考慮していない偏見
4-14. 自由とは幻想で社会構造の中できっちり決まっている、それをよく知らないから自由なんて言う
…自由・決断ではなく、言語・文化が行動を決定する
→社会は必ずしも歴史的変化によって上昇していくわけではない、
むしろ歴史的変化がなく続いているものをイメージしている
→歴史が良い方向に動くというのは西洋哲学の押し付けである
4-15. 設計図ありの進化
…歴史を通してある地点に向かって合理的に進んでいく、戦争、環境破壊
4-16. 設計図なしの進化
…ブリコラージュ、その場の埋め合わせでただ生きる、文明拒否
→遅れているように見えるがその民族で考えると合理的、野生人の思考
→言語が集まって世界を構成するのではない
→全体という構造が先、その中で対立や差異が生まれそれが言語になる
→社会・文化と対立・差異を分析し構造を理解しよう
→共通の思想は何か?
ミシェル・フーコー
4-17. パノプティコン
…見ている人がいなくても見られているという意識によって自分で自分を縛り付けさせる権力
4-18. 民衆が監視者を規定して自発的に規律を守る、演習場の独房と中心の監視所
→人間は構造を感じ取って何かが決めた規律を守ると、規律自体が監視者となり認識できなくなる
→無意識に刷り込まれた構造からはみ出すものを狂気と断定して排除していき管理は強まる
→規範に従うような奴が多いと変われない
4-19. 知の考古学
…権力によって作られた構造に人間は支配されている
→構造は人間の思考のまとまり
→人間の思考を作ったプロセスは歴史の中にある、歴史を研究しよう
4-20. エピステーメー
…人間の思考は連続で発達したのではなく各時代に特有なものを作る
→自身の生きる時代のエピステーメーを無意識に利用して物事を認識できる
→異なる時代の人々は異なるエピステーメーに支配されている
→その考え方はだいぶ違うと言っても狂気として排除される
4-21. 中世、類似、お互い繋がっている、自然を中心にした占いが盛んになる
→17 世紀、表象、演繹法的、比較・分類をして表面的に理解
→19 世紀、生命、人間の内部まで理解、人間自体について深く考える
→これから、人間の終焉から人間ではない何かについて考える
社会に適した生き方をする人間は理性的、そうでなければ排除される
→判断基準は教えられていない、構造以前
4-22. 近代以前、死の権力、死の恐怖でコントロール
→近代以降、生の権力、教育で扱いやすい民衆を作ってコントロール
4-23. 身体的、閉鎖的空間で集団に分ける、時間を細かく管理する、道具や機械と一体化
→精神的、パノプティコン、民衆から監視者が見えない、監視者から民衆が見える
4-24. 他人・社会の評価を気にしてしまう
→それは近代以降の権力の影響だから、勇気を持って自分を自由にしてないと
ジャック・デリダ
4-25. 脱構築
…思考を制限する二項対立などをやめて意味を再構築しよう
正しいものとそうでないものを考えると権力に利用される、そうでないものが排除されるだけ
→ドイツ人とユダヤ人という二項対立が権力と結びついて悲惨な結果となった
4-26. テクノロジーで置き換えるだけでなく既存コンセプトを解体し新しいコンセプトを中心に考える
…バリューチェーンで費用対効果が低いのはどこか、テクノロジーの影響を受けるのはどこか、
新しい事業活動やスキルが必要になるか、戦略的資産のうち負債となるものは何か、事業は顧客のバリューチェーンの一部であるのか全部であるのか
→バリューチェーンの再構築
❶レイヤーマスター
…特定プロセスに特化し優位性を築く
❷オーケストレーター
…価値を発揮できるプロセス以外をアウトソーシングする
❸マーケットメーカー
…弱みや欠点のあるプロセスに入って市場を開拓する
❹パーソナルエージェント
…販売代理店として企業と顧客の間に入る
4-27. モダン思想
…みんなで世界の向かう大きな参加者になろう
4-28. ポストモダン思想
…大きな物語などない、それぞれの多様性を認め合って共存することが重要
→無数にある答えを認めて共存の道を模索
ジル・ドゥルーズ
4-29. パラノイア
…型通りで社会の評価を気にする
→偏執型・ツリー・積分
4-30. スキゾフレニア
…アイデンティティを持たずに欲望を素直に表現
→分裂型・リゾーム・微分
4-31. パラノイアは所有しようとする、家、妻、家財
…安定した環境では強いが環境変化に弱い
→積み上げ型の論理思考よりも大胆な直感が大事
→一貫性がある、この道何十年は褒められるべきなのか?ヤバいと思ったら価値観を捨てれるか
4-32. 定住地を持つ、知財を貯める
→身動きが取れなくなって結局パラノイア的になる
→別の価値観や文化に触れても、自分の場所で旅行先の判断をしているに過ぎない
→ノマド的生き方いいんじゃない?
→共同体は存続可能か?なくなったらどうしていこうか?
4-33. ツリー(食物連鎖などの体系化)
リゾーム(バラバラ、人間が勝手に体系化しただけ)
4-34. 世界には欲望が飛び回り自然現象を生み出す、社会が押し込める
エーリッヒ・フロム
4-35. 自由からの逃走
…自由であるには耐え難い苦痛・孤独を伴う
自分らしく生きれる精神力と教養が必要
4-36. ・下層中層階級は自由から逃れやすく新しい依存と従属を求め権威に盲従し、その一方で自ら権威であり他を服従させたいとも願う
4-37. 愛とは与えること、もらうことではない
…与えることが喜びとなる、与えることが損失だと思っているうちは何も手に入らない
→愛という与える行為を支えるのは配慮・責任・尊敬・知、
それが含まれていなければただの支配・所有、強く愛していると錯覚しているだけ
→愛するために必要なのはたった 1 人でいられる能力、
誰かにしがみつくとしたら愛の関係ではない、心配・迷い・駆け引きはいらない
4-38. 現代の恋愛は買い物と同じ、賢い買い物客がより良い商品を選ぶのと同じ
…相手と交際するのではなく、交際という名目を使って相手の社会的属性・価値を利用するだけ、値踏みしているだけ、その価値も空虚なもの
人間は孤独の不安に耐えられない
→恋が始まるのではなく恋人をゲットする、購買欲と交換が生んだ考え方
自分の価値の限界を考慮して市場で手に入る最良の商品を見つけたと思った時に恋に落ちる
→多くを手に入れたがる人は外から取り入れることでしか自分にものがないことを認めている
4-39. 人生はゲームだというセリフは人生に勝敗がある・ルールが設定されているという考え方
→できるだけ多くを手にすることが勝利、その状態を目指す
→人生に関わる商品が発展し消費される、人生や人間性までも値踏みされるようになった
→どうあるかではなく、どのくらい持っているかを問われるのが一般的となる、目に見えるもの
4-40. 毎日がつまらない
→世間的価値にとらわれずに自分の目の前のことに全力を尽くしたほうがいいよ
4-41. ・孤独状態や瞑想によって世間的価値を削ぎ落とす、自分が何に強く依存しているかわかる
→物事に全身で没頭できる、小さなことにも特別な意味を見出せるというわけではない、ただ手応えを全身で感じることができる
→1 日の時間に濃淡がなくなるので無駄な時間がなくなる、いつも全身で現在を生きている、後悔がなくなる
ニコラス・タレブ
4-42. 反脆弱性
…ストレス・エラー・圧力によってパフォーマンスが高まる性質
ありえないから起こる不確実さを味方につけるには?NotではなくAnti
→重大で稀少な事象のリスクは測れない、測れるのはシステムの脆さのみ
→因果関係を把握できることを前提とするトップダウンの思考法はシステムを脆弱にする
→組織論では意図的な失敗を織り込む、キャリア論では多くの失敗を若い頃に重ねる
4-43. 予測は不可能だが予測に頼る人々は予測ミスに対して脆弱であることはわかる
→その脆弱さを見つけ脆弱なシステムの崩壊に賭ける
→ランダム性や不確実性を好む、考えるより行動する方が得意となる
4-44. トップダウン(脆さを生む)、ボトムアップ(無秩序のもとで成長する)
→無秩序、偶然、ばらつき、エントロピー、不完全な知識、不確実性
4-45. フラジリスタ(科学を過大視)
→ここでは理解できないものはいじらない
4-46. 『詐欺を見て詐欺と言わないならその人自身が詐欺師である』
…経験には悪いものも含まれる
4-47. 名声・評価
…人間関係を歪め、敵対感を生み出す、ここに捉われるのは心に余裕がないから
4-48. 認識論的なリスクマネジメント
…反脆弱(無秩序を成長の糧にする)
脆弱(平穏を求め)
頑健(あまり動じない)
4-49. 冗長性
…保険ではなく投資
4-50. 適応
…順応しているだけでもっと強いストレスを予期しているわけではない
→ストレスに対する過剰反応、過剰補填
→嫉妬されないのは無能の証、評価が傷ついても動じないところに身を置けばいい
4-51. 反脆弱のエクスポージャー
・企業、『早めに失敗しろ、バカであれ』
・間違い、間違いを愛す
・科学、確率論的なティンカリング、いじくりまわし、エビデンスベースの現象学
・人間関係、愛情
・数学、非線形で凸、右に裾を引いている
・オプション、ボラティリティ、ガンマ、ベガをロング
・知識、暗黙知や凸性、博学
・人生、膨大な蔵書を持つ遊び人、起業家、芸術家
・医療、引き算的な治療
・金融、転換社債
・リスクテイク、有限の賭けを用いたケリー基準
→自分の意見を貫くためのダウンサイドリスクを取ったか、博学・美意識・リスクテイク
→善行と美徳は人間から奪えない
→お返しは利益だがお返ししなくてもあげるつもりだから損失ではない
善を手元に残し悪を捨てる
4-52. 経路依存性
…利益を得るためには生き残らなきゃいけない、
脆弱さを考慮しなければ速度や成長は空虚で無意味
→まずは崩壊のリスクを抑えるしかない、最悪にだけ備えよ
4-53. 先延ばしを治すより先延ばしがリスクに基づく意思決定の一つだと捉える
4-54. カオス
…ランダム性により安定、変化なくして安定なし
4-55. 反脆弱的な考え
…有害なものでもちょっとの量であればプラスの作用
→健康全体を促進
4-56. 不死の生物、完璧に、微調整のヒマなし、予測が大事
→寿命あり、世代間で修正すればいい、予測は大事ではない
→突然変異のランダム性と環境内部のランダム性、
生き残る次世代へ影響、生き残らなくてもプロセスの一部
→人々は生き残るために、環境は失敗により成長
→誰かが失敗しても他者が巻き添えを喰らわないシステム
弱い者が生き残れないだけで生き残った人が鍛えられたわけではない
4-57. 『Stay hungry, stay foolish』
…常軌を逸しろ、だが最大のチャンスが訪れたら掴めるたけの理性は失うな
→オプション=非対称性+理性
4-58. 計算できないランダム性
→リスクテイクはギャンブルでない、オプション性は宝くじと一緒ではない
4-59. 随伴現象を信じて行動し後から行動を正当化する
髪の長さで性別、ネクタイでビジネスマン
4-60. 教育が富をもたらすわけではない、知的な思想が知的な行動や発見をもたらすわけではない
→スーツケースの車輪、想像力が足りなければランダム性の力を借りてちびちび発見するだけ
→単純明快な発見ほど複雑な手法では得れない
→ランダムなティンカリング、ヒューリスティック、実践と演習
→グレンジャー因果を取り入れることで分析を精密化する
A とB の度合いだけでなく変化を調べる
A:富や経済成長、B:教育
両方ある国を調べてどちらの条件が時間的に先か?
→似ているからそう言われてしまうだけで繋がりはないかもしれない、潜在的失敗に気づかない
4-61. 仕事のスキルと会話のスキルは関係ない
→洞察や論理をわかりやすいスタイル・話に変えるのに力を費やさない
→実践家の役割は実践、会話力で測るのは不公平
4-62. 物事を理屈で捉えると失敗し、
知識や複雑な手法を詰め込んでいると初歩的な物事を見落としやすい
→行動は物事の核心を浮かばせる
4-63. 反脆弱性における鉄則
❶オプション性を見つけそれに従ってランク付けする
❷ペイオフに上限のないものを探す
❸プランでなく人に投資
❹バーベル戦略を取る
4-64. お遊びの世界、規則が事前に定められている
→生きた世界、規則が明確でなく変数同士を切り離せない
4-65. 問題を見つけて解決する数学を見つける
→他者が知っていることを学ぶことに価値はない
→職業で成功するのに教科書はない
4-66. 恐怖を思慮深さに、苦しみを教訓に、過ちをきっかけに、欲望を実行に
4-67. 影響を及ぼす物事の変動性に対する脆弱性
→衝撃の強さが増加すると被害の増加度合いは大きくなる
→小さな衝撃のもたらす累積的影響は、その合計と同じ一回の巨大な衝撃がもたらす影響より小さい
→1が100回起こる事は、100が1回起こる事より影響が小さい
4-68. 思想が残る
→その思想を扱う人が残る
→その思想が優れているわけではない
4-69. 正しい正しくない(確率が高い低い)ではなく脆さに基づいて意思決定をする
→飛行機に乗る前にテロリストをチェックする
確率が高いからテロリストをチェックするのではなく、
もしいたらやばいからテロリストをチェックする
4-70. 「〜ではない」を知る
…成功する人に実力があるのか、実力がある人が成功するのかははっきり分からない
→実力のない人はいずれ失敗するということははっきり分かる
スタンレー・ミルグラム
4-71. アイヒマン効果
…集団で何かやるときに個人の良心は働きにくくなる
→自分は単なる執行者に過ぎないと認識することで責任を転嫁する、官僚制と分業制で強く働く
→権力者の中で意見が食い違うなど反対が上がり始めると人間性に基づいた判断ができる
エドワード・デシ
4-72. 予告された報酬
…人間の創造性にはアメもムチも必要ない、必要なのは失敗しても挑戦が許される文化
→アメは手っ取り早く多い報酬を得られる選択を促し創造性は低下、ムチは選択自体を抑制
フェルディナント・テンニエス
4-73. ゲマインシャフト、
…血縁や友情による自然発生的なコミュニティ
4-74. ゲゼルシャフト
…利益や機能による人為的コミュニティ
→多くのコミュニティがゲゼルシャフト的に変化、ゲマインシャフト的要素は何が担うか?
→会社や家族が解体し新しい構造単位としてSNSの自立性が高まるのでは?
クルト・レヴィン
4-75. 解凍、混乱、再凍結
…変革は慣れ親しんだ過去を終わらせることで始まる
→今までの様式を変えなければと自覚、共感レベルのコミュニケーション、
今までの様式が良かったという反論に対しての実務・精神面のサポート、
新しい様式に適応すれば効果が上がるのを実感させる
ロバート・キング・マートン
4-76. マタイ効果
…富めるものはますます富めるが、
貧乏な人は持っているものまで取り上げられるだろう
→物分かりのいい人ばかりを抱えると本質的な人によるイノベーションを疎外してしまう
→長い目で人の可能性と成長を見る必要がある
ヘールト・ホフステード
4-77. ホフステードの 6 次元
…権力格差を表す、権力格差がある組織はパラダイムシフトを起こす人材を圧殺する
❶PDI(上下関係の強さ)
❷IDV(個人主義傾向の強さ)
❸UAI(リスク回避傾向の強さ)
❹MAS(性別らしさを求める傾向の強さ)
❺ITO(長期的視野傾向の強さ)
❻IVR(禁欲的強さ)
チャールズ・ダーウィン
4-78. 自然淘汰
…適応力の差は突然変異によって偶発的に生み出される
→エラーがポジティブに働くこともある、短期的な非効率が長期的効率につながるものも
エミール・デュルケーム
4-79. アノミー
…無連帯、規範や規則が緩む
❶利他的自殺
…個人が集団に服従しようとする社会で起こる自殺
❷利己的自殺
…孤独感など集団と個人の結びつきが弱まり起こる自殺
❸アノミー的自殺
…より多くの自由を獲得し欲望を追求し続け実現できない虚無感で起きる自殺
→家族の復権、会社ではなく職に就く、SNS の活躍
マルセル・モース
4-80. 贈与
…交換が社会を作る、贈らなきゃいけない、受け取らなきゃいけない、お返ししなきゃいけない
→自分の能力や感性に稀少性を感じてくれる人がいれば値札をつけずに贈与し、いくばくかのお礼をもらって生きるのは可能なのか?
シモーヌ・ド・ボーヴォワール
4-81. 第二の性
…生物学的女性と社会学的女性、社会的要請の結果として女らしさを獲得
→日本は想像以上に男性らしい社会、ジェンダーバイアスにも気づかない
セルジュ・モスコヴィッシ
4-82. 格差
…差別や格差は同質性が高いからこそ生まれる
→本音では公正公平など望んでいない、もし公正公平であればその下層の人は本当に劣っている
→正当に評価されていないということで劣等性を否定できる
ジャン・ボードリヤール
4-83. 差異的消費
…私はあなた達とは違うという差異を表すために消費行動を行う
❶機能的差異、スペックや重量
❷情緒的差異、素材やデザイン
❸自己実現的差異、ブランドやストーリー
→市場拡大において一番重要なのは差異の総計の最大化
→ブランドや都会住みも差異的消費、ユニクロや田舎住みも差異的消費
→希薄な商品やサービスは生き残れない
メルビン・ラーナー
4-84. 公正世界仮説
…世界は公正であるべきで実際はそうだと考える
→努力は報われるは嘘、逆の命題が真だと勘違いする、練習量によるパフォーマンスの差の説明力
命題:天才イチローは努力していた
逆:努力すればイチローのような天才になれる
対偶:努力なしにイチローのような天才になれない
→成功している人はそれに値する行動をとっている、被害者は自身に問題があると考える
フランシス・ベーコン
4-85. イドラ
…人間の認識の誤解にはパターンがある
→自分や他者の主張が歪んでいないか
❶種族のイドラ
…目などの錯覚、10000円のものに触れた後は8000 円のものが安く感じる
❷洞窟のイドラ
…自分の育った環境や教育などの狭い範囲で決めつける
❸市場のイドラ
…言葉の不適切さにより認識の相違が生まれる
❹劇場のイドラ
…権威や伝統を無批判に信じることで偏見が生まれる
カール・ポパー
4-86. 反証可能性
…科学的である=正しいではない、科学的であるものは反論の余地があるもの
→科学的に検証されたと反論をさせない人は科学的でない、ニセ科学、アートといえば良い
トーマス・クーン
4-87. パラダイムシフト
…世の中はいきなりガラリと変わらない
→新しい科学的真理は、反対者を説得し新しい光を見させることで現れるものではなく、
反対者が死に絶えて新しい世代が成長し彼らが当たり前になるときに初めて勝利する
→現在が100年単位のパラダイムシフトの中にいるのであればどのようなパラダイムシフトか?
アラン・ケイ
4-88. 未来予測
…未来を予測する最善の方法はそれを発明すること
→未来はどうなるか?ではなく未来をどうしたいか?を考える
→市場は桁外れのスケールで拡大、コンサルやシンクタンクも大きく外す、専門家予測は外れる
アントニオ・ダマシド
4-89. ソマティック・ワーカー仮設
…人間は脳だけでなく身体全体で考えている
→情報接触時に起こる感情や身体的反応が脳に影響を与え意思決定を合理にも不合理にもする
おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。
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