哲学に関するメモ(1) 【古代哲学】
本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。
1. はじめに 3項目
1-1. 哲学を学ぶ意義
…問いを考える、哲学の目的は答えをだすことではなく問いをだすこと
❶状況を正確に洞察する
…目の前で起こっていることがどのような運動なのかこれから何が起きるのかを深く理解するため
→過去の哲学者が考えていれば思考のコンセプトが助けになる
❷批判的思考を学ぶ
…難しいのは新しい考えを始めることではなく、古い考えを批判し終わらせることであるため
→提案、批判、再提案の歴史である哲学の批判的態度や切り口が助けになる
❸課題を定める
…ほとんどのケースでは課題(=アジェンダ)が定まっておらずイノベーションごっこで終わるため
→教養である哲学が地理的空間・歴史的時間の広がりをもたらし疑う常識を見極める助けとなる
❹悲劇を再び起こさない
…誤った自己流理論を振りかざして悦に浸る実務家により悲劇は繰り返されるため
→人類が起こした過去の悲劇をもとに得た教訓である哲学が個人的枠組みから解放する助けとなる
1-2. 哲学の分類
❶Whatの問い
…世界はどのように成り立っているのかという問い
❷Howの問い
…私たちはどのようにして生きるべきなのかという問い
❸プロセスからの学び
…どのようにして考え最終的な結論に至ったかから学ぶ
❹アウトプットからの学び
…最終的な回答や主張から学ぶ
1-3. 哲学のコンセプト
❶人に関するコンセプト
…なぜこの人はこのような行動をするのか?
❷組織に関するコンセプト
…なぜこの組織は変われないか?
❸社会に関するコンセプト
…今社会で何が起きているのか?
❹思考のコンセプト
…思考の落とし穴に落ちていないか?
2. 哲学の起源 27項目
…ソクラテス以前の哲学者を評価する
→イオニア、イソノミア
→社会の歴史を交換様式から見る
2-1. 生産様式
…マルクス、社会をモノの生産に着目して分析する
→生産様式が社会の姿を定める
→生産様式が発達して社会とのギャップが生じた時に社会が次の段階に進化する
→資本家が所有
→資本は資本家に集中しその他は搾取される
→資本主義の次とは?
→生産様式による歴史分析では近代以前の社会を説明できない
宗教・民族という社会の上部構造も説明できない
→交換様式
2-2. 交換様式
…柄谷、社会をモノの交換に着目して分析する
❶交換様式A、互酬を前提とする、贈与と返礼
→氏族社会、家庭
❷交換様式B、略取と再分配を前提とする、支配と保護
→帝国、国
❸交換様式C、商品交換を前提とする、貨幣と商品
→資本経済
❹交換様式X、交換様式Aが交換様式BCにより解体され、
交換様式Aをアップデートしたもの
→カント的世界共和国
→2500年以上前のイオニアで実現していた、イソノミアという社会
2-3. 一般的な哲学史
…哲学はタレスから始まったとされる、自然哲学的なもの
→倫理的なものに転回したのはソクラテスから
本格的な哲学はソクラテス以後に形成
→偏見じゃない?
2-4. イオニア(紀元前11世紀)
…ソクラテス以前哲学者の活動の場
❶文字を発明、市民の政治参加の基礎とする
❷商品価格の決定権を官僚から市場へ
❸貨幣制度を開始
❹労働・技術を重視し発展させた
→民主制はアテネで始まったがその基礎はイオニアにあった
→physis、自然、科学的、動的な世界
2-5. イソノミア
…イオニアにあった社会構造
❶入植者に夜連合、氏族関係は希薄、家族や民族ではなく神に忠誠を誓う
❷住民は自らで稼ぐ
❸自由があり、平等もある
→10〜13世紀のアイスランド、18世紀アメリカでも見られる
→国の制度が気に入らなければ自由に外に出れる、コスモポリタニズム的
2-6. アテネ(紀元前5世紀)
…民主主義の発祥、西洋文明の礎
❶奴隷、民主制の基礎とする
❷強い氏族中心主義、家族や民族に忠誠を誓う
❸自由はあったが平等はなかった
❹芸術・学問を重視し労働・技術は軽視された
→自由と平等のジレンマを乗り越えることが今後の世界に求められる
→nomos、慣習、氏族的・神話的、静的な世界
ホメロス
2-7. ホメロス
…詩人、不完全な神を描く
→神が人間と同じような失敗をする
→神話からの脱却につながる、その後の哲学の受け皿になる
→古代ギリシャでは多神論を排除、多くの国では多神論的神話が一神論的に進化
ヘシオドス
2-8-1. ヘシオドス
…詩人、不完全な神を描く
→神の誕生と世界生成を描いた、オリンポス 12 神
→人間の神格化から自然の神格化、自然・物質を考えるきっかけ
→オリンポスの神々は絶対的ではない
→神の排除
2-8-2. カオス、タルタロス、エロス、ガイア
→ガイアからウラノス・ホントス、タナトス、ヒュプノス
→クロノス、テミス、ムネームシュネー、ヒュペリオーン
→ガイアとウラヌスからゼウス、ハデス、ヘラ、アフロディーテ
タレス
2-10. タレス
…世界は水から始まっている
→世界の成り立ちを神ではなく物質で説明しようとする
→神が物質を動かすのではなく、物質が自身で動いている
→タレス以前になぜこのような考えがなかったのか?
❶イオニアの商業化、色んな国の文化が厚前いその文化を吸収、
合理的な思想が広まり科学的世界観が広まる
❷イソノミアの危機、ペルシャに支配されつつあった、
氏族関係が強まりそれに対する抵抗がモチベーションになった、イソノミアを取り戻そう
→タレスが目指したのはphysisへの回帰、自然的・具体的
→多分水だけじゃないですって
アナクシマンドロス
2-11. アナクシマンドロス
…世界は水・地・火・風から始まっている
→目にみえる感覚的なもの、根源には感覚を超えた抽象的な無限定なものがある
→無限定なものは単一で無限に動いていて、
その結果として水・地・火・風という感覚で捉えられるものが現れる
→nomosっぽい、神話的・抽象的
→カオスの言い換え、神話への回帰
アナクシメネス
2-12. アナクシメネス
…世界は空気から始まっている
→始まりを物質的なものに戻す、physisへの回帰、自然的・具体的
→ルネサンスで再評価される、ジョルダーノ・ブルーノ、火炙り
物質に生命を見出す魔術的思考
→スピノザが影響を受ける
ピタゴラス
2-13. ピタゴラス
…世界は数から始まっている
→世界はものとものの相互関係から始まっている、それが数として現れる
音同士には比例関係がある、何かが存在
→なぜこのような考えになったのか?
→二重世界、魂は肉体という感性にまみれた物質に縛り付けられている
→そのサイクルから抜け出すのが自由、それを実現するための哲学
→物質は感覚的な知識であり仮象、それを超えたところに数という真の知識がある
→仮象を扱うのは労働者、真の知識を扱うのは司祭
→physisでは知識は労働・技術に使われる
働いて技術を発展させながら哲学をした
→数学とはものとものの相互関係を表す学問
仮象を超えた観念的な要素がある、神話的
2-14. サモス島、イソノミアを取り戻そうとする、支配・非支配、経済的不平等
→民主主義か独裁か
→一旦民主主義
→段々と僭主主義へ、支配・非支配、自由と平等の獲得に失敗
→傷心、放浪
→最後はイタリアへ、ピタゴラス教団を設立、自由を制限し平等を確約
ヘラクレイトス
2-15. ヘラクレイトス
…世界は火から始まっている、万物は流転する、絶え間なく変化する
→運動の根底には闘争がある、闘争が自然状態、
争いや対立が起こることが自然で均衡を求めることは事物の消滅をもたらす
→一なるものを実在として理解し、ピタゴラスの仮象と超越を退ける
→万物とイコールの一なるものを想定するなら、始まりを火に求めることと矛盾するのでは?
→交換の概念を利用して矛盾を解消
2-16. エフェソス、イソノミアを取り戻そうとしない、戦わない
→民主主義をしようとしない市民への苛立ち
→エフェソスを出ることなくイソノミアを取り戻そうとする
パルメニデス
2-17. パルメニデス
…あるものはあり、あらぬものはあらぬ
→感覚的に感じる現象の裏に超越的な不変不滅の存在がある
→ピタゴラス的な二重世界思想をイオニア的自然観で乗り越えようとしたのでは?
→あるものとは一なるもの、無からの世界生成を否定
→感覚を超えた何かを提唱したのではなく、
感覚によって捉えられるものを一なるものと想定して一元論的視野を取り戻した
→現実に起きている物理現象を研究することが重要だと説明した
2-18. エレア、イオニアからの移民で構成
→イオニア的自然観が残る都市で育ち
ピタゴラス的な二重世界思想を学び
最後にイオニア的自然観を学んだ
ゼノン
2-19. ゼノン
…アキレスのパラドクス、飛ぶ矢のパラドクス
→物事を事後的・神話的に見るとおかしな結論が導出できる
結論がおかしいなら事後的な見方が間違っている
→ピタゴラス的な二重世界思想を背理法的に否定、イオニア的自然観、
進化論的な見方
エンペドクレス
2-20. エンペドクレス
…世界は火・空気・水・土から始まっている
→不変不滅でお互いが結びついたり離れたりすることであらゆる物質を作る
→ヘラクレイトスとパルメニデスをミックス
→4元素をさらに微細な原子に分割できると考える、原子論につながる
→あえて4元素を提唱したのはポリスが機能していたから
社会的要素が含まれていて親和性を持たせるためにミクロに踏み込まなかった
→ミクロ世界における理論がマクロ世界で通用しなくなることを懸念
ギリギリマクロと言えそうな4元素を提唱
アナクサゴラス
2-21. アナクサゴラス
…一切のうちに一切がある、無数の元素がある、元素には他の元素の要素が含まれている
→一なる有を損なうことなく多元論を展開、原子論につながる
メリッソス
2-22. メリッソス
…物質が多であるならそれらは一なる有と同じ本性を持っていないといけない
→一なる有を損なうことなく多元論を展開、原子論につながる
レウキッポス、デモクリトス
2-23. レウキッポス、デモクリトス
…原子論、原子が運動する場としての空虚を想定
→原子は生成することも消滅することもなく空虚の中を運動し続け、
原子同士が結合・分解することで万物を形成
→感覚的に認識する生成・消滅はあくまで原子同士の結合・分解
→感覚的に認識する変化も原子同士の配列の向きによるもの
→ポリスが機能していなかった、ミクロに踏み込むことができた
→アテネにやってくる外国人は市民になれず個人主義・懐疑主義を強めた、ペルシャへの勝利
→ソフィスト、弁論術、他人を説き伏せる技術
プロタゴラス
2-24. プロタゴラス
…人間は万物の尺土である、認識の相対性を主張、相対主義
→〜であるより〜であると思える方が私たちにとって重要
→nomos に反する思想は弾圧される可能性があったため、
仕方なくnomos 的な思想を提供した
ゴルギアス
2-25. ゴルギアス
…詭弁の父、レトリックを用いて教え回った
→nomosに反する思想は弾圧される可能性があったため仕方なく nomos 的な思想を提供した
ヘロドトス
2-26. ヘロドトス
…歴史の父、歴史を書く上で自民族中心主義を採用しない、民族・文化は相対的に変化する
→エジプト人は自分と異なる言語を話す人間を全て異国人(バルバロス)という
ヒポクラテス
2-27. ヒポクラテス
…医学の父、医学を迷信・呪術から切り離し臨床・観察を重視する科学へ発展させた
→てんかん、神聖病、神や悪霊の力とされていた
3. ソクラテス以後 62項目
3-1. 古代哲学
…プラトン、アリストテレス
→存在論的転回、存在に注目、自分とは人生とは
3-2. 古代ギリシャから続く対立
…プラトン、合理主義
アリストテレス、経験主義
3-3. AI の発展、合理主義的に規則で進めるのか、経験主義的にディープラーニングで進めるのか
…ディープラーニングが成功している、猫の画像を見せて猫を認識できるようにする
→画像の全てに猫の姿が写っている、猫を見て猫の特徴を導き出している
→猫が写った画像と写っていない画像を見せるとそこから猫を認識するのは難しい
→猫が写っている画像が集められている段階で人間による選別という意味でのイデアが先立つ
3-4. 哲学史は全てプラトンが論じていてその細かなところを議論しているのがその後の哲学史
…基本的に同じ問題をメリーゴーランドのようにぐるぐる回るという考えもある
どれが上という話でなく問題は基本的に共通でそれをさまざまな観点から論じている
→過去の哲学を学んだからといって古いものを学ぶことになるわけではない、進歩も退歩もない
→一つの時代がちょうど終わろうとする時にその時代を俯瞰する形で、
時代が抱えた問題の本質を捉えようとして登場するのが哲学という考えもある
→まずはプラトンから
ソクラテス
3-5. ソクラテス
…人間はどう生きるべきかを考えた
→弁論術を共同的な吟味のために利用
政治に興味を示さず人々と正義・特についての議論を交わした
→あえてnomosに反する思想を提唱
→若者が政治参加しなくなった、死刑、ストア派に影響を与える
→プラトンはソクラテスの思想を政治的に解釈
→アリストテレスはそれを確固たるものにする
→プラトンとアリストテレスが古代ギリシャ哲学に対する理解の基本となった
→イオニア的自然観は隠される
3-6. 無知の知
…知らないということを知っていることから学びは始まる、もう知ってると思った瞬間に停滞する
❶自分の思い込みに流し込む、将来が過去の延長になければ壊滅的、要は…
❷自分と周辺の世界に視点がある、将来が過去の延長になければ対症療法しかできない
❸自分の外に視点がある、顧客が日常使っている言葉で表現できる
❹自由な視点、何か大きなものとつながった感覚
3-7. 『私が知っているのは、自分が何も知らないということだけだ』
…自分の無知を見出すことこそが無知を自覚すること、ある分野については無知だと自覚する
→思考力が足りない人ほど自分は思考力が高いと勘違いしてインターネットで自説をまくし立てる
自分が間違えるはずないと思っているので大胆な見解を述べ、時には他人を責めることもある
→ネット上では思考力の足りない人の意見が主流となり、グループごとの意見対立は激しくなる
3-8. 自分にはまだ知らないことがあり経験・知識が増えれば考え方が変わる可能性は高い
…そう頑なになる必要はない
→何もしなくてもいいわけではない、今そうする価値があって問題も見当たらないのであれば、
将来考え方が変わると予想できても後悔しないためにやってみるべき
3-9. この世は常に仮説である、しかし人々は確固として揺らがないものを求めている
…自分の専門分野を追求しながら哲学の考え方をわかりやすく広める必要がある、でないとポピュリズム政治・快楽主義・金満主義が蔓延してしまう
3-10. 死ぬのが怖い
→知を愛し求めて生きていればそんな心配はなくなる
→ステータスばかり気にしてそこからあぶれないように生にしがみつくから死ぬのが怖くなる
→ステータスを良くさせたところで自分の魂が優れていなければいつまで経っても満たされない
プラトン
3-11. イデア論
…理性を育て自分の欲望に勝つことが最も偉大な勝利である
理性の多くは先天的なもの
3-12. 実体二元論
…心的な実体と物質的な実体(身体)は独立して存在する
魂のような存在を認める
3-13. イデア、時空を超越した真理を起点に心身問題を考える
…感覚の世界、肉体(ソーマ)、消滅する、仮の実体
イデア界、魂(プシュケー)、消滅しない、真の実体
→自分とは肉体・財産・環境ではなく魂、消滅する肉体に消滅しない魂が入って人間となる
→魂をよくするために生きることが必要
3-14. 経験主義では猫を知るときに猫を集めて要素を抽出して共通なものを集める
→猫という概念を前提にしてしまっている、先天的な概念を持っている
→道徳は教えられなくても持っている、生まれる時に全て忘れているので思い出す必要がある
3-15. 人々は何かに打ち込んでいると行動・理性が一致し充実感や喜びを得れる
…空虚で何をすればいいかわからないと理性を無視、理性が求めるのはやりたくないことばかり
3-16. 欲望は人生における最大の力
…普通であれば理性は欲望にかなわない、欲望のままに生きる動物
→理性を磨くことは難しく失敗する可能性も高い
→気概という怒りを力に、頑張って自分を変えようとしてうまくいかない時に湧いてくる怒り
3-17. 嫉妬・誤解は気概が欲望とつながっているため精神が落ち込み幸せな人生からかけ離れる
…説教をしても聞かない、自分は説教のできない人間だと自覚しろ、説教しようと思わないように
3-18. 欲望のまま楽しみたいという自分を受け入れて言い訳を探さないことが大切、欲望のまま楽しむ自由は表面的で心の不安が消えない
→金銭・色恋が原因で誤った判断をしがち
→欲望を否定しすぎると人生がつまらなくなる
美しい人生とは理性的な美しさだけでなく感情的な欲望に酔う美しさも混じっているべき
3-19. 理性は自動車、気概はギア、欲望は坂
【ソクラテスの弁明】
…裁判を見守るプラトンが弁明の一部始終を記録・脚色
3-20. 神に選ばれた自分が人々を批判し魂を配慮するように促すことは誰にも止められない
3-21. 言葉使いではなく真実がどうかに注意してほしい、弁論術は持ち合わせていない
3-22. 自分が無知だと知っていることが偉いというのではなく、本当に知るべきことを知っていこう
→死を恐れるのは誤り、知らないから
→どれだけ多くの金銭を手に入れられるか、どれだけ自分の評判を高められるかだけ気にしてる
→知るべきは魂が優れたものになるよう配慮すること
【パイドン】
…精神性が大事、魂の配慮が大事
3-23. イデアを捉えるために肉体と魂を切り離す
…無数の机、形大きさは様々だが机だと認識できるのは個々の机のうちに机そのものを見てるから
3-24. 何が最善か?を考えるべき、知性は世界を善に従う秩序として統合しているため
→世界は事物の集合体ではなく意味と価値の秩序として存在、事物は秩序に従う
→哲学が考えるのは意味と価値の秩序の持つ本質
自然科学の世界像も、善や美などの価値から編まれた世界像を持つ
【メノン】
…徳とは?
→教えることができるか?訓練によって得られるか?生まれつきの素質なのか?
3-25. 想起説
…徳を知らないのに探求できるのか?
→ナンセンス、人間の魂は不死だから関連している
→想起によって魂が前世で経験したことを思い出し知識として定着する
3-26. 本質は示していないが問いが画期的
【パイドロス】
…恋愛とは?良い議論とは?
3-27. 恋愛の本質とは良き狂気、恋は盲目、相手が孤独になることを望む
→歴史的変遷を辿ることで本質を把握できるわけではない、起源と本質は別
3-28. 何かを認識することはかつて魂が見たイデアを想起すること
…美のイデアを強く覚えているので美しい人を見ると感情が蘇る
→「美しい人」を見ているだけで「美そのもの」ではない、ギャップに苦しむ
3-29. エロティシズム
…放縦と高慢、愛欲を味わおうとする、近づこうとする
3-30. ロマンティシズム
…節度と親しみ、制御する、遠ざかろうとする
3-31. どちらも否定できない
→議論で大事なのは複数の考えが成り立ってしまわざるを得ない事柄と
簡単に共通理解できる事柄の特徴を捉えること、自分が話すのはどちらかを見ること
3-32. ディアレクティケー
…多様なものを 1 つにまとめること、まとめたものを多様に分割すること
【饗宴】
…エロス(恋)とは?
3-33. 少年愛、現代の恋と離れているからこそ議論の普遍性を吟味して確かめることができる
→少年美だけでなく徳も目指すものが賞賛されるべき、人間は男女に分けられたから完全を目指す
→恋とは善きものと幸福を手に入れようとする欲望
3-34. 美しい肉体より美しい魂を上位に置くことは美しい肉体を否定するわけではない
→美しい肉体は入り口として必要であり美しい肉体を感じられなければ恋は成立しない
エロス性とロマン性を否定することなく恋愛の確信として取り出す
アリストテレス
3-35. エトス・パトス・ロゴス
…信頼がなければ、共感がなければ、論理的に説明しても動かない
→過剰な使用はレトリック(ことば巧みに人を酔わせて人を動かす)につながる危険性
3-36. 形而上学
…経験的・自然的な世界を越えるようなものを研究する
3-37. 唯心論
…心しか存在しない、世界は心的存在のみによって構成される、物質は存在しない
3-38. 幸福は自分で手に入れるもの
外に求めるものでも運に頼るものでもない
…頑張って競走に参加しないと損をすると本気で思っている、乗り遅れるのが嫌だ
→その幸福のアイテムがただの幻想でしかないとすれば必死で追い求めるのは時間の無駄
アイテム=幸福であると勘違いするとその思いが不幸をもたらす可能性がある
3-39. 幸福を追求するにあたっての誤解
…金銭・物質を持っていればいるほど幸せである、幸福=短期的な快楽の蓄積
→金銭・物質がもたらすのは短期的な快楽、金銭を稼ぐことが最重要事項になる
習慣化した現状に満足せずもう少し稼いだ先に幸福があると勘違いする
物質が過度に不足していると苦痛・不幸をもたらすが
→自分の能力・人柄がもたらすのは長期的な幸福、精神的な喜び、幸福に対価は伴わない
→この考えを認めるのは難しい、欲望を満たす快楽は人を惹きつける、
溺れて更なる苦痛を招く可能性の方が高いが
→幸福のために条件が必要だと考えている時点で幸福から離れている
3-40. なぜ誤解するのか?
→快楽と幸福の差をはっきり区別していないから
→快楽より幸福を追求していく
→幸福な人生を送りたければ多額の金銭より人付き合いの能力の方がよほど助けになる
3-41. 寛容は幸福につながる性質
…他人を許すこととは別、他人を許すことはただの行動規範
→迷惑をかけられたときに怒りを抑えようとするのは寛容の状態ではない、苦痛
→寛容になると怒りを回避できる、誤解を察知できる、過去の自分を許せる
→寛容になるためにまずは意志を持つ、徳を積む
3-42. 将来が不安
→将来の目的・計画を忘れて今この瞬間のやりたいこと・やるべきことに集中すればいい
3-43. キーネーシス的な行為
…将来の目的を最優先した行為
3-44. エネルゲイア的な行為
…将来の目的を度外視し、今この瞬間に集中した行為
→今自分にとって楽しく充実している状態がそのまま既に成し遂げた成果になる
→無欲にプロセスの作業を楽しむ、手抜きをせずに一生懸命楽しみきる
3-45. アリストテレスの目的因
…正義を定義するには営みの目的(善き生活)を知らなければならない、善を重視
→いくら平等に配慮した中立的な法律を作ろうとしても何が正義かを決めるのは不可能なのでは?
→政治がなすべきことは良き人格・市民を教育すること、見誤ると単なる同盟・契約となる
1 人1 人の権利が他人に侵害されないように保証するものなってしまう
→実行させて習慣化する、実行が先にあって善良な精神が身に付く、礼の重視
【ニコニマス倫理学】
…中庸の徳を身につける、多すぎても少なすぎてもいけない
→観照的活動で徳福一致が可能となる
3-46. 人間は共同体を作る、政治(ポリス)が最終
→善は政治の目的でなければならない
→最高善=幸福、究極の目的、それ自身として望ましく他で望ましいということがない
→幸福とは?人間の機能から考える
→論理(ロゴス)を備えた活動が固有の機能
→人間にとっての善=幸福は魂の活動
→牛や馬がこうした活動を行えないので牛や馬が幸福であるとはいえない
3-47. 徳も中庸であるべき、無謀(不足)、勇敢(中庸)、ビビり(過剰)
3-48. 配分的正義
…共同体の成員が共同体に寄せた財産が全体に占める割合に応じて配分される
3-49. 矯正的正義
…平均回帰、一方が損失、他方が利益、ゼロサム
3-50. 真を認識するための手段
❶技術(テクネー)…モノ作りの方法
❷学 (エピステーメー)…それ以外において存在できないものを認識
❸知慮(フロネーシス)…何が善悪であるかを判断
❹知性(ヌース)…学を成り立たせる命題を認識させてくれる
❺智慧(ソフィア)…根源の真に関する知、哲学
→❸の実践で善を達成できる
3-51. 愛(フィリア)
…善きもの、快適なもの、有用なものが愛される
→自分を最も愛するべき、それが真に他者を愛するための条件
【形而上学】
…学問の基礎となる事柄とは?
3-52. 元(アルケー)
…事柄がそこから存在、生成、認識される第一の点、原理
3-53. 因
…原因、根拠❶素材因(もと)❷形相因(本質)❸始動因(運動の始まり)❹目的因(終局点)
3-54. 必然
…必要条件で偶然に先立つ
3-55. 一
…一元論でいう「一」、多元論でいう「多」の対概念
3-56. ある
…❶偶然付帯的(〜である)❷本来的(〜がある)
3-57. 実体
…❶事物の基体❷「これ」など
3-58. 知を愛する者が観照的な学問に取り組める、世界を衛生で捉えることができる
→宇宙自然は知性を原理とする円環運動
事物が現実活動しているのであれば存在し得ない
→活動する原理が存在しないといけない
→神が「動」を動かす原理、この原理に宇宙が依存し円環運動、「一」なる運動を動かす
それ自体は動くことも動かされることもない
3-59. カントが純粋理性批判で取り組んだもの
…私たちの認識構造ゆえに世界に始まりがあるともないとも言わなければならない
→世界に始まりがあるかどうかはむしろ趣味判断の領域に属する
デモクリトス
3-60. 唯物論
…物質しか存在しない、世界は物理的存在のみによって構成される
心は脳の物理現象
→心的なものは物理的なもの・物理的なものに付随
3-61. 分身を 5 人作ると本当の自分はどこにいるのか?
…同じ物理特性を持てば全て自分
→心的存在を認める場合は心がどこに宿っているかが重要
3-62. 因果的閉包性
…世界のあらゆる出来事は物理現象以外に原因を持たない
4. 中世哲学 4項目
4-1. 中世哲学
…アウグスティヌス、トマス・アクイナス
→中世哲学は神学的転回、キリスト教との関係に注目
4-2. 中世哲学はキリスト教と密接していて哲学をどう捉えるかによって解釈が大きく変わる、自己防衛論の議論が始まった
4-3. アウグスティヌス、告白(いかにキリスト教徒になったか)、
神の国(イデアの世界とキリスト教の理論を重ね合わせる)
4-4. トマス・アクイナス、スコラ哲学を体系化、
アラビアから輸入されたアリストテレス哲学を理論化し神学的な議論と調和させる
おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。