「新参者」がブランドになる時
何もないゼロの状態から人々によって認知され、絶大なる信頼を獲得するというのは至難の業だ。
それは企業や商品もそうだし、人にもあてはまる。「ブランド」になるには時間と並々ならぬエネルギーと努力、そしておそらく運も必要だ。
記者時代に、日本では誰もが知る大企業に取材に行ったとき、え?こんなビジネスもやられているのですか?という場面があった。そのビジネス自体は彼らのコアになるものではないが、伝統的な格式のある業界の中で、その企業はどちらかと言えば「新参者」として扱われていた過去があった。ここまでブランド力を獲得するまでにニッチなビジネスへの参入も必要だったわけだ。
古くからある従来型の経済や産業、いわゆるオールドエコノミーに委ねられた業界において、新参者の立場は厳しい。ブランド力が弱いと競争に勝てないし、すでに知名度のある競合相手のなかに埋もれてしまう。
そうなると、新参者にとっての選択肢は限られてくる。
・ニッチな分野(時としてあまり他社がやりたがらない分野)をみつけ、顧客を獲得しつつ本業を拡大する
・斬新なアプローチで新規顧客を開拓し、知名度を上げる(信頼の構築も不可欠)
・すでにブランド力のある企業を買収する
誰もが手掛けたことのない新しいビジネスへの参入だとブランドの確立は早いかもしれない。
電気自動車(EV)のパイオニア的存在のテスラ(Tesla)も良い例だろう。2003年の創業なので、まだ20年ちょっとと歴史は浅いが、EV業界の絶対的王者というだけでなく、時価総額7,353億ドル(約105兆円)と世界でも10位前後の巨大企業だ。
そう考えると、ブランドは年月とともに構築される、という発想自体も古いのかもしれない。
企業であれば、世の中や消費者にどれだけ認知されているか、信頼されているかという知名度や安心感がブランドにつながる。
人においてもその考え方は一緒だ。
俳優やアーティストだって、一発屋的なヒット作品や曲だけでは「ブランド」としては扱われない。メインで出演していなくても、地道に名作にちょくちょく登場することで、顔も覚えられ、演技力が伴えば、ブランドは醸成される。
なんでこんな事を書いているかというと、ブランドという話からは、かなり曲解することになるが、私自身とあることで、何もないところからスタートするという状況に立たされているからだ。
詳細は控えるが、何も実績がない畑違いの業務に関与することになった。新たなチャレンジになるのだけれど、新参者として色々なアイディアが浮かんでくる。どうすれば認めてもらえるのか、どうしたら実績につながるのか、熟考する毎日だ。
ブランドというレベルの話には程遠いが、何もないところから関係者に認めてもらうには、エネルギーと努力そして覚悟が必要だ。重要なのは、自分の力を信じること、だと思っている。
最後にnoteの世界では、どうか?
どのポイントでブランド力があるといえるのか。必ずしもフォロワー数だとは思わないけど、1万人以上のフォロワーがいれば、ブランド力のあるクリエイターだと認知されるだろう。
言わずと知れたクロサキナオさん。名前だけで、どのような記事・作品があるのか、どのような実績のある人なのか、通じてしまう。ナオさんの場合は、その人柄の良さに加え、仕事人としても、「ブランド」として見られているし、誰も異論はないだろう。
そして、フォロワー数とは関係なく、「この人の記事は読みたい」と多くの人に思われているクリエイターさんもやはりブランド力があるということだ。共同マガジンを運営されているクリエイターさんもあてはまる。
自分はnoteの世界でも、まだ半年未満の新参者だ(それでも読んでくださるnoterさんには心から感謝!)
新たなチャレンジにおいて、そしてnote界において、自身のブランドの確立は何年かかるかもわからないし、そもそも確立しない可能性も大きい。
それでも、「新参者」として何かにチャレンジするというのは、ちょっとした緊張感とワクワク感を持つと同時に、未来への希望も抱かせてくれる。