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梅崎春生著「狂い凧」の感想文

梅崎春生著「狂い凧」を読みました。
畠に囲まれた郊外の舗装道路で起きたトラックと歩行者の事故に巻き込まれた私が語り部となって九州のある家族の親子二代に渡る物語です。
昭和初期と昭和後期を複雑に絡み合います。当然の事ながら戦争に巻き込まれます。双子の次男城介は戦地に送られます。兄の宋介もその時代の流には逆らえずに戦地に送られます。幸いにも宋介は内地に無事にに帰還します。
梅崎春生の作品の登場人物たちは常に何かに抑えつけられて行動します。遠ざけながら、廻り道、寄り道を探しても、最終的には死があります。
最初の偶然のトラックと歩行者の事故はプロローグで、そこからは運命に逆らえない登場人物たちの物語が続きます。梅崎春生作品には必ず存在する「不穏な空気」はこの作品でも充満していました。水の上に浮かぶ花弁の様に運命に翻弄されながら、漂う様子が楽しい作品でした。
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#読書感想文
#休日のすごし方

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