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映画「Joker:Folie à Deux」の感想文〜絶対にお薦めできない名作〜
映画「Joker:Folie à Deux」を見ました。満足度は100%です。それでも絶対にお薦めはできません。かなりの厄介な問題作です。
目立たない場面のセリフの中に「〜can't beathe(呼吸ができない)」がありました。これはアメリカで大きな社会運動に発展した「ブラック・ライヴズ・マター運動」のスローガンとして使われた言葉です。おそらく製作陣は社会的なアピールを意識して、興行成績を犠牲にしても、自分たちの表現したかった事を優先したとだと思います。その結果としてこの映画は興行的には大失敗に終わるでしょう。
この映画の大切なテーマのひとつに二面性があると思います。それは主要キャストのジョーカーとリーだけでなく、彼らを取り巻く関係者も含めてです。光と影があるように彼らの意識にも善と悪、喜怒哀楽があります。文章による表現には韻文と散文があるようにジョーカーとリーの複雑な意識の流れを表現するためには言葉によるセリフとミュージカル調の唄が必要だったのだと思います。それが彼らの立ち位置を明確にして、彼らはDCコミックの完全無欠なキャラクターではなく苦悩する人間であることの証明に貢献していると思います。その結果としてセリフによるストレートプレーなのか音楽劇なのか分かりにくい事は確かです。
更にジョーカーを取り巻く関係者の発言や行動が複雑に絡み合って、この映画はラブストーリー、社会派サスペンス、スリラー・・・等のどのジャンルに分類したら良いのか混乱が起きた結果として満足度に高い評価と低い評価が混在している状況だと思います。この作品は間違いなく問題作です。
私はこの映画はドフトエフスキーの「悪霊」に近い作品だと思います。革命思想に取り憑かれた活動家たちを福音書に描かれた悪霊に取り憑かれた豚に喩えて、彼らの顛末を描きます。そこに明確な解答はありません。読者がそれぞれの解を見つけるしかありません。「罪と罰」にばひとつの解が用意されているように思います。その結果として「悪霊」は「罪と罰」に比較して評価と知名度が低いようです。
前作ではロバート・デ・二ーロ演じるマレー・フランクリンがテレビ番組の生放送で自説を主張するジョーカーに問いかけました。
Where's punch line?〈オチはどこ?〉
この映画は多くの問いかけを観客に投げかけます。しかし、その答えを誰も見つける事は出来ていない。もしそれが実現した時には世界は現在よりも遥かに安全で住みやすい環境になっていると思います。
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