【ポリコレ】リトルマーメイドは失敗作なのか?
アメリカで公開中の実写版リトルマーメイドが失速してると日本でも話題です。
しかし実際には2023年の世界興行収入で暫定6位ですし、すでに3億3千万ドル以上稼いだので「ビジネス的にはもう十分な結果は出した」とも言えます。
昨年に興行収入3億ドルを超えた映画は15作(アバター2;トップガン2;ジュラパ6;ストレンジ2;ミニオンズ3;ブラックパンサー2;ザバ;マイティソー4;水門橋決戦;長ぐつネコ2;独行月球;ファンタビ3;アンチャーテッド;ソニック2;ブラックアダム)しかありません。
リトルマーメイドは数字的には成功したと言うべきでしょう。なにせ公開からわずか11日で3億ドルを超えて、暫定6位に入ったのですよ。
作品の良し悪しや、あるいは成功失敗を、何をもって評価するかは人それぞれです。ただ少なくとも興行収入で論じるなら、実写版リトルマーメイドは間違いなく成功事例だと言えるでしょう。
🔴「失速」について
アメリカの多く映画は金曜に公開されて、10日で2回目の日曜を迎えます。そして翌11日目の月曜から「失速」するのは殆どの大型作品に共通する当たり前の特徴であり、リトルマーメイドに特別なことではありません。
最初の週末に熱心なファンが観る(1〜3日目)
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平日は少し売り上げが落ちる(4〜7日目)
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2回目の週末に様子見していた映画ファンが観る(8〜10日目)
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平日の売り上げが大きく下がる(11日目)
リトルマーメイドと同規模の特大ヒットになったジョン・ウィック4とクリード3の記録とも比べてみましょう。
ほらね?リトルマーメイドだけが特別に失速しているという事実は無いんですよ。普通に10日くらいで旬が過ぎる作品が多いというだけです。そこから驚異的な粘り腰を見せるとスーパーマリオやアバターやタイタニックのような超ウルトラモンスターヒットになりますが、これは年間に3本あるかないかという事象なので、これを求めるのは無理な話です。
この10年弱でMCUが若い人達を中心に「ネタバレ警戒」の雰囲気を醸成してしまったので、最近は早期消費の傾向がどんどん強まっている気がします。まあSNSが普及してネタバレ遭遇率が上がったとか、流行り廃りのサイクルが早まっているだけとか、MCUの責任は小さい可能性も大いにありますが。(笑)
🔴なぜ「失速」がトレンド入りするのか
これは「認知バイアス」の効果でしょうね。
認知バイアスとは、社会や物事が、自分にとって都合の良いように見えてしまう現象です。
よくテレビや新聞が「悪意のある切り取り」をすることに絡めて認知バイアスという単語は使われますが、実際にはあらゆるネット炎上やインフルエンサーのほぼ全てがこの認知バイアスを利用しています。
今回のリトルマーメイド失速トレンドも、最初からポリコレを強く憎む人達がリトルマーメイドには失敗してほしくて、自分達に都合の良い部分(11日目に失速)だけを切り取ってディスしているだけです。
そりゃあそうでしょう、昨年の夏にキービジュアルが公開されてから主演のハリー・ベイリーの容姿をメインの理由に、批判や罵詈雑言を繰り返してきた人達なら、ネガティブなニュースがあれば飛びつきたくもなります。彼らは今になってリトルマーメイドに大成功されると困るのです。彼らの過去の判断が間違いだったと認めることになりますから。それで3億ドルという事実を捻じ曲げてでも失敗作だと叫んで、Twitterトレンドを利用して世論操作を図っているのです。
率直に言って、かなりみっともないです。
私は基本的にはコンサバ右派の意見や政策に賛同することが多いです(映画ファン界隈はリベラル左派が多いので少数派でしょうが)から、過度なポリコレには反対です。LOTR力の指輪の黒エルフにも反対派です。
しかし今回ばかりは右派が間違った炎上を仕掛けたと言えるでしょう。Twitterなどネット世論では普段からリベラル左派(立民・共産・社民・れいわ支持者またはキチガイフェミ活動家など)が歪んだ認知で事実を捻じ曲げて大声で頓珍漢でお粗末な主張をしているのを、コンサバ右派が冷静に指摘してぶった斬るというムーブが多いのですが、本件に関してはやってることが逆転してしまっており、嘆かわしい限りです。
🔴リトルマーメイドの過剰なポリコレ
もう少しフェアな視点からリトルマーメイドのポリコレを評価してみましょう。
主演女優がアフリカ系になることには、私は何も問題だと思いません。実際問題としてハリー・ベイリーは可愛い顔をしていると私は思います。たぶん実際に会って話したら、多くの人がキュートな笑顔と声にメロメロになると思いますよ。
しかし、7人の姉妹がここまで似てなくてバラバラの人種なのは「おおやってんな〜」とは思います。(苦笑)
実写版ではラテン系、インド系、アフリカ系、北欧系、ドイツ系、モンゴル系、そしてアリエル(ハリー・ベイリー)はアフリカ系とイギリス系のハーフと、人種ラインナップ豊かです。これには海底の王トライトンは一夫多妻制なのか(ガーディアンズのエゴとやってること変わらんぞ)と揶揄したくもなりますし、主役のアリエルをアフリカ系ハーフでありながら赤髪にしたことで、本来の天然赤髪であるイギリス系の女優があぶれたという悲劇も発生しています。東南アジア系(日本人はここに含まれる)も不在ですね。
演劇ならともかく、映画では写実性が占める割合が大きいので、見立てにも限界があります。正直、このキャスティングには辟易します。同じく黒人ゴリ押しのディズニー映画『ブラックパンサー』では、こんな暴挙はありませんでした。
一応フォローしておくと、まあ子供向け映画には野暮な指摘だったかもしれません。やはりディズニー作品なので第一には子供の視聴者を想定しています。その際にあらゆる人種の子供が「自分と似ているキャラクター」を見つけることは美徳ではあります。欧米では国際結婚や離婚再婚や養子縁組など様々な理由で親子の肌の色が異なるケースも多いですし、どんな子供も排除しないという姿勢にはそれなりの道理はあるでしょう。
「実写版リトルマーメイドはディズニーリゾートのプロモーションビデオです(ゴージャスなVFX付き)」
と言われたら一番しっくり来るかな。
千葉やフロリダまで行かなくても近くの劇場で体験できるんだから良い興行だと思います。(皮肉ではなく本心です)
了。
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