
12月に観た新作映画
Twitterのモーメント機能が閉じてしまったのでnoteに集めてみます。なおリーダー表示をONにしているとTwitterリンクが殆ど表示されないようです。是非OFFにしてご覧ください。原則として作品のネタバレはしません。
●12月第1週:
12月といえば、映画の日。
どうやら「金を払って劇場観覧」することに意義がありそうだったので、映画の日はレイトショーで観ました。(感想を書いたのは少し後になったけど)
#映画の日
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 1, 2022
1896年(明治29年)11月25日~12月1日、エジソンが発明したキネトスコープが、初めて神戸で輸入上映され、この年から数えて60年目にあたる1956年(昭和31年)より、“12月1日は「映画の日」”と制定し、日本における映画産業発祥(日本で初めての有料公開)を記念する日としました。 pic.twitter.com/KdUCjn7VTK
『母性』は伝説的問題作『告白』の湊かなえの小説原作ということで期待値を上げすぎたのかミステリー的な面白さは弱めでしたかね。行きすぎた異常な愛情の悲喜交交は堪能できました。あとはハコヅメコンビの再演とか、永野芽郁の存在感とか、エンタメ的な視点でも楽しめました。二人の見解の不一致が映画の肝ですが、小道具はあそこまで分かりやすくしなくても良かったかと、特に料理や弁当の中身の違いは「さすがに無理があるやろ」と思ってしまいました。アイデアとしては全く問題なかったので、シンプルに演出の好みの問題ですね。
母性。羅生門や最後の決闘裁判と同じ流れを汲む”見解の不一致”系映画。興味深く観れたけど、分かりやすさを意識しすぎたのか構成も音楽もちょっと仰々しくて、記号化が強い印象は受けたかな。エンディング曲が古内東子みたいなポップソングで、それは作中の時代を反映していてメチャ上手いと思った。 pic.twitter.com/QUPt2J24VN
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 3, 2022
この時期は2週間後に迫ったアバター2が本当に面白いのか疑心暗鬼でした。
これは前から言ってるけど、私は『アバター2』に作品トータルではそこまで大きく期待してない。基本的に私は「続編に名作なし」という堅実な教訓を支持してる。
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 2, 2022
ただし映像技術に限れば、ガチで他を圧倒する”現時点での世界最高レベル”であることは間違いないのでドルビーシネマで観る。 pic.twitter.com/DtXz3qpqKx
●12月第2週:
12月に公開されたNetflix新作『トロール』がとても良かったです。こういうワンテーマで思いっきり突っ走る映画を撮れるのは本当に凄いと思います。本作については悪評をTwitterでほとんど見かけませんでした。
トロール。Netflix新作映画。ノルウェー制作の怪獣映画。何と比べるかにもよるけど、怪獣映画として必要なことは全て満たしてる優良作品だと思います。視聴してて、すごく楽しかった!
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 4, 2022
画作りも音楽も、すごく怪獣映画らしくて満足した。しかも、それなのに無駄がなくて103分で終わるのも素晴らしい。 pic.twitter.com/t6jr6JshIg
10月公開だった『グッド・ナース』も良かったです。派手な爆破シーンやカタルシスがあるわけでもないのに大規模予算を使えるNetflixは本当に凄いです。登録者数の減少を受けて路線変更するのではとも言われていますが、本当にそうなるのか、今はまだ数年前の企画を消化してる段階なのか、分かりませんが最近も変わらず尖った作品が多い気がします。
グッド・ナース。Netflixの新作。実話の映画化。病院の転勤を繰り返しながら1988年から2003年までに数百人を薬物で殺害したと目されている看護師チャールズ・カレンを逮捕に追い込んだ女性看護師を描く社会派サイコサスペンス。同時に公開されたドキュメンタリー番組も合わせて見るのがお勧め。 pic.twitter.com/yzoovmrTSk
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 6, 2022
公開日付近の大混雑こそ避けましたが、スラムダンクも観ました。私は約20年前に原作コミックを一度読んで感動したくらいのライトユーザーですが映画は楽しめました。ただ「左手は添えるだけ」など名セリフが大量にカットされていたのには、少し寂しく感じました。大ヒットしているので続編(というか別キャラ目線での即時リブート)制作があるかもしれませんね。井上雄彦で一番好きなのはバガボンドなので早くそちらを完結させてほしいです。(苦笑)
THE FIRST SLAM DUNK。映像と音響が素晴らしかった。純然たる井上雄彦の“原作漫画の映画化”であり、良くも悪くもテレビアニメ版の続編ではない。原作を未読でもそこそこ楽しめるだろうが、大事なことの多くが説明ゼロなので、深く感動したいなら原作は必修だと思う。詳しい感想はメモ帳のスクショに。 pic.twitter.com/biDaqE4OOi
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 8, 2022
●12月第3週:
Appleオリジナル『自由への道』は、2022年3月にアカデミー賞授賞式で暴行事件を起こしたウィル・スミスの長編映画復帰作です。彼は黒人奴隷をテーマにした映画はやらない主義だったと記憶しているのですが、心境の変化でもあったのでしょうか。これは推測ですが、プロジェクトが動き出したのは数年前だと思うのでおそらく政治家への転向を考えていた時期じゃないでしょうか。いろんな計画があのビンタ事件でグチャグチャになってそうです。映画は熱演でしたし、彼は良い俳優なので、どうにか第一線へカムバックしてほしいです。
邦題は明らかに現在のスミスの状態を意識したものになっていますね。原題のEmancipationは直訳で「解放」という単語ですが、大文字で始めると『リンカーン大統領による奴隷解放宣言』を指します。本作でもそちらの意味です。なんとも奇遇な巡り合わせですね。
自由への道。AppleTV+で視聴。史実ベースの物語。アメリカ南北戦争の中で自由を求めて脱走する黒人奴隷の話。ほぼモノクロに近い彩度を落とした映像で、アメリカ南部の美しくも恐ろしい湿地を舞台に、差別と暴力に立ち向かう人々を描く。ウィル・スミスが強烈な訛りで熱演していた。 pic.twitter.com/kdqhvU67oZ
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 13, 2022
私にはウィル・スミスに復帰してほしい明確な理由が一つあって、それはエアーカット(The Ayer Cut)です。すでにリークしている情報から、本作ではデッドショットが正真正銘の主役になり、レトジョは最凶のヴィランに振り切ることが明かされています。エアーカット公開のためにはスミスが禊ぎを終えることが必要不可欠です。近くサフラン&ガン体制の長期計画が発表される予定ですが、その一点のみ私は注目しています。
これは推論だが、、、ぶっちゃけ、、、
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) July 26, 2022
今年の春にウィルスミスとエズラミラーが不祥事を起こしてなかったら、先日のコミコンでDCはエアーカットのリリースを宣言するくらいの準備は進めていたと思う。
主役が圧倒的にスミスらしいので、まだしばらく発表は難しいだろうと思われる。 pic.twitter.com/PPJxVFNQlk
ちなみにマーゴット・ロビーが主演したバーズ・オブ・プレイも、邦題では『華麗なる覚醒』となっていましたが、原題はFantabulous Emancipationなので『マジでサイコーな奴隷解放宣言』というのが直訳になります。これも数奇な運命を感じます。(あの映画はハーレイが覚醒する話じゃなくて、ハーレイが女達を解放する話なので;タイトル詐欺してなきゃ内容ギャップによる低評価を減らせて、むしろフェミ界隈を動員して売上アップが狙えたかもしれないのに勿体無いですね)
実は2月の時点では、スミス本人が「エアーカットを観たい」と発言さえしていました。この後のアカデミー賞ビンタ事件で記憶から消し飛んだ人がほとんどかもしれませんが。(苦笑)
今日は別件のイベントだけど、ツイ民どもがうるさいんで質問させてください。 スースクのエアーカットを観たい?
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) February 10, 2022
ウィル・スミス:
だーはっはっは(爆笑)まー、色んなシーンがお蔵入り状態だからね。だから、うん、観たいよ。あの世界が大好きだし。どっちのバージョンもね。だからマジで観たいよ。 https://t.co/21fBZ0KjJa
余談ですがスミスに加えて、エアーカット公開にはゲスト出演してるエズラ・ミラーの問題も解決する必要があるでしょう。マジで前途多難ですね。とりあえず2023年1月13日現在でバーモント州での強盗容疑については司法取引(答弁取引)が認められて、禁固90日(1年の保護観察つき)と罰金692ドルで合意した模様です。
グルーミング疑惑については昨年8月以降に大きな続報がないので、まだ係争中かこのまま何も起きないかのどちらかでしょう。
さて、閑話休題。
12月16日。待望のアバター2も無事に観覧できました。こちらはちゃんと期待通りに面白くて、物語の内容に加えて、そちらのメタ的な視点でも感動しました。
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター。凄かった。キャメロンの絶妙な説明の端折り、さりげない伏線回収は健在。冒頭こそ少し不安になる瞬間もあったが、後半になるにつれてどんどん良くなる。底知れぬ演出力。疑問だったナヴィ語問題もなるほどな解決方法。リアルとフィクションの心地よい多重構造。 pic.twitter.com/iRrYsCsCE2
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 16, 2022
現在進行形で記事を増産中なのでマガジンのリンクを貼っておきます。
●12月第4週:
アバター2の複数の上映形態を堪能していました。
ドルビーシネマ3D・4K・48fps(吹替/字幕)★
IMAXレーザー3D・2K・48fps(字幕)
極上爆音上映2D・4K・24fps(字幕)
4DX Screen 3D・2K・24fps(字幕)
4DX Screen 2D・4K・24fps(字幕)★
アバター2WOWで…
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 29, 2022
個人的に一番楽しめたのは
2D-4DX
座席ゆれる、水しぶき、周辺視野、4K画面きれい。
(*3D-4DXは4Kではない注意)
映像関係者に推奨したいのは
3D-DolbyCinema
HDR明るい、4K画面きれい、HFRぬるぬる、音響すばらしす。#アバ体験 pic.twitter.com/UYGcZhftJ7
そして映画館で今年最高クラスの名作日本映画に出会いました。アバター2とは対極にあるような映画でした。『ケイコ目を澄ませて』は静かな演出と岸井ゆきのの熱演が光る、とても余韻が残る素晴らしい映画です。ある意味でとても地味な映画なので、周りの音や光のノイズを遮断できる劇場で観覧することを推奨します。東京なら池袋シネマ・ロサでまだしばらく上映が続くようです。ロングランに相応しい映画だと思います。
ケイコ目を澄ませて。生まれつき耳が聴こえない女性プロボクサーの話。心を少しだけ削る些細な出来事を毎日乗り越えながら、時間は静かに確実に流れていく。そして訪れる人生の転機。夢を追い続けることの美しさと厳しさ。ノンフィクションに基づいたリアルな脚本と演出が胸を打つ。16mmフィルム撮影。 pic.twitter.com/SlBihDRdzf
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 21, 2022
●12月第5週:
2022年最後の週は、配信で見逃していた作品を一気に視聴しました。やはり年間ベスト10をつけるに際して、なるべく妥協したくなくて。Twitterで語り足りない作品は別で記事を執筆中です。
ザ・ビッグ・フォー。Netflix新作映画。インドネシア制作。ストーリーは単純、アクションは派手で、なかなか良い。ただし笑いのセンスが下品でちょっとしんどい瞬間は何度かあった。良くも悪くも洗練されてない昭和ニッポンのようなコンプライアンスのゆるさ。そこを気にしない人なら楽しめるかと。 pic.twitter.com/opK2TdkJIv
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 27, 2022
ラック~幸運をさがす旅~。AppleTV+で配信。ピクサーを退社したジョン・ラセターの復帰作。プロデューサーとして名前を連ねている。普通に面白かったよ。何かズバ抜けて良かった点は私にはミートしなかったけど、ややもすると説教臭くなる話をイヤミなく伝えてるから地味に底力がある映画だと思う。 pic.twitter.com/D9qaUSmeCU
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 27, 2022
グラス・オニオン。私は嫌いな映画です。配役も衣装も脚本も演出も全て良かったが、最後のオチだけが極めて不快。たった一人のアイデンティティをへし折るためだけに●●●●を燃やすのは、ジョークだとしても許しがたい。いかにも左翼にウケそうなオチだし、トマトも超高得点でウンザリです。 pic.twitter.com/3dUysSA0Md
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 27, 2022
バルド、偽りの記録と一握りの真実。Netflixオリジナル。ドチャクソ良い。こういうかなりの映画好きにしか理解できないような映画を、クソ大金をかけて作り続けるネトフリには信頼しかない。ずっと悪夢を見続けているような心地悪さが最高。そして作品テーマが私には刺さった。年齢のせいかな。 pic.twitter.com/CtKmAPVRmi
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 29, 2022
ホワイトノイズ。80年代を描いた映画だが扱っているテーマが現代的で観ていて楽しかった。俳優の衣装から何気なく置かれた小物まで、過剰に供給される情報が、どれも意味がありそうで実は無さそうな感じが非常に現代っぽくて良い。時代とともにツールが変わるだけで、人間は普遍的なのよね。 pic.twitter.com/puMeJVQ3Cb
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 31, 2022
ギレルモ・デル・トロのピノッキオ。Netflix。なかなか面白く観れた。原作に比べるとかなり脚色しているらしい。コオロギや青の天使(精霊?)の描き方が非常にギレルモ映画らしくて良い。ストップモーションもCG多用してて、もう何を見ているのか分からず良い意味で混乱する。メイキングも良かった。 pic.twitter.com/o4Hz3VJcHF
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 31, 2022
こうして並べるとNetflixの攻めた姿勢はまだまだ健在に思えます。2023年はザック・スナイダーの『Rebel Moon』が控えているので、Netflixにはまだまだ元気でいてもらわないと困ります。(笑)
東京2020オリンピック公式映画。アマゾンプライムで視聴。ドキュメンタリーだから劇映画とは比較できないけど、これは凄い作品だわ。完成度の高さもそうだし、賛成派からも反対派からも嫌われそうな媚びない編集が放つパワーがヤバイ。こんな映画を公式作品として残すなんて色んな意味で凄いね。 pic.twitter.com/yNYUbpX2yV
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 31, 2022
ということで、2022年の大晦日は河瀨直美監督の東京2020オリンピックSIDE A&Bを2作続けて4時間で観ました。いやあ日本に住む当事者として、非常に考えさせられる作品でした。
河瀨直美は総監督という役職でしたが、一方でWriterとEditorでクレジットされているIkuno NAKAという人物が何者なのか気になります。Editorは7名居たようですが、Writerは1人なので、作品全体の方向性はこの人によってかなり定まっているような気がします。しかし公式ウェブサイトには何も書いてませんし、名前でGoogle検索しても殆ど情報が出てきません。
2022年に劇場または自宅で観た新作映画は79本でした。 pic.twitter.com/v0u6TfcuLt
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) December 31, 2022
Twitterで映画ファンの皆さんの意見を参考にしていて感じたのは『コーダあいのうた』『リコリスピザ』『エルヴィス』の3本は観ておけば良かったです。年間トップ10に食い込むこともありそうな評判でした。
特にコーダはかなり興味があったのですが、日本語字幕ありで観るのが嫌で、少し待てばAppleTVの見放題で視聴できるのかと思って待っていたのですが、ギャガとの配給が拗れに拗れて、独占配信を開始したアマゾンプライムでは字幕が消せなくなっている有様で、断念しました。
これはもう悲劇でしかないです。独占配信は許すから字幕を消せるオプションをつけていただきたい。思えば、ギャガに買われたのが悲劇の始まりでした。いや、少なくない制作費を出したらしいので、作品を仕上げてくれたことには感謝しているのですが。いやー、あと数ヶ月程度待てばNetflixに来てくれるかしら。ギャガだからまあまあ期待できるような気もしますが。いっそ字幕が消せそうなAppleTVでレンタルしちゃうのも良いかもしれません。
満を辞して決定した、2022年マイベスト映画はこちら。
了。
いいなと思ったら応援しよう!
