岩石の中に生命がいるかもしれないという説があると聞きました。いるとするならば,それはどのような生命なのでしょうか。微生物,もしくはそれよりも遥かに小さな生命体なのでしょうか。また,どのような物質を栄養にしていると考えられますか?
ロコさん(高校3年生)からの質問
(回答:高知コア研究所 星野・諸野)
岩石の中の生命に興味をもったということは「岩石の中にはスペースも無いし生命がいなさそうだ」という予想をロコさんが持たれているのだと思います。
確かに一般的に岩石と言われているような玄武岩や花崗岩などのカチカチの岩石の内部にはほとんど生命がいないです。しかし、そこに少しの隙間や水の流れ道(つまり割れ目のようなもの)があれば周りの堆積物の中にいるような微生物は生きながらえることができます。ただ、これが岩石の「内か外」かと言われると難しい問題です。実際に我々も関わった研究で、海洋地殻の割れ目の中に想像を遥かに超える量の微生物の存在が確認されています(参照:「常識覆す成果」海底地下の岩石1cm3当たりに100億細胞の微生物)。本当の「岩石内部」、つまり周りが完全に閉ざされているような状況だと、物の流れがないので生命が活動的に生きていくのは不可能であると考えるのが自然です。
海底下の浅い部分の堆積岩(泥が押し固められて石のようになったもの)の中には、叩けば割れてしまうような柔らかいものも存在します。そのような岩石には隙間も多く海水の通り道が存在するので、その栄養やエネルギーを利用した微生物が存在しています。それらの微生物は特別小さいということはなく海底下の堆積物に存在するようなものが多いですが、栄養やエネルギーが乏しい海底下の環境に適応した、地表とは異なる種類の微生物です。
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