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『青嵐の庭に座る』感想文

皆さんご機嫌よう。もーやんです。

わたくしが茶道のお稽古を始めたのは2019年の1月。早いもので、もう丸3年は過ぎたことになります。

2019年といえば、樹木希林さん主演の『日日是好日』という映画が話題になっていました。公開は2018年10月でしたが、珍しく茶道がテーマの映画ということもあったのか、その後も長く上映されていました。

名前は知っていたけれど、私は見たこともありませんでした。

そんなある日。お稽古を始めてしばらく経った頃です。先生から「足が痺れたら、無理しないでね。そうしないと、日日是好日の人みたいにひっくり返っちゃうから」と言われたのです。どうやら、お稽古のシーンで面白いことがあったらしく。

「あの映画は面白くってね~」と楽しそうな先生の話に興味を惹かれ、DVDを借りたのが秋頃でした。

映画の中で黒木華さん演じる主人公・典子は、週1日お稽古に通っていました。でも私の方は月に2回だけ。数か月経って、ようやく空気に慣れてきたところ。映画を見ていても、床の間や茶器まで目が行かずに、動作を見ては「あれ、習っているのと動きが違うわ」と感心するばかり。お茶会にも行ったことがないので、その勢いに圧倒されていました。

そうして月日が流れて先日。

原作者・森下典子さんの映画裏話エッセイ『青嵐の庭にすわる「日日是好日」物語』を読んだのです。

まず、ビックリ!!!何の疑いもなく茶道経験者だと思っていた樹木希林さんは、初釜のお点前を撮影前に3回見ただけで覚えたそう。

その他、指導のシーンのために知人からお稽古をつけてもらいDVDも見ていたと言いますが、、、たった数か月でありえない!そんなバナナよ( ゚Д゚)!女優さんになれる人の凄い能力というものを初めて知りました。

もともと、監督も女優さんもスタッフさんも茶道未経験だったそう。てっきり「○○流○○大先生」みたいな凄い方が監修されていたと思っていました。

ところが実際の現場では、原作者本人がお師匠さんに頼み込んで道具をすべて貸してもらい、胃をキリキリさせ、心臓をドキドキさせながらシーンすべての道具類を見立て、作法をチェックされていたそうなの。

そうなった経緯も苦悩もテンポ良く綴られ、まるで文化祭前のようなドタバタを一緒に味わうことができました。

読了後、改めて映画を見てみました。
3年前は気付かなかったこと・知らなかったことが沢山あり、それは面白く見ることができました。お道具や床の間を見て、演者さんの動きにハッとして、マンサクの花のアップで「あ、ほんとだプラスチック!」と気付き、エンドロールではエッセイに登場したスタッフさんの名前を見つけては「あの人が…」と親近感。

より深く知ったあと観る映画は、スーッと入ってきました。
特に、お父さんのシーンは切なくて…3年前も泣いたけど、やっぱり今も泣きました。

お稽古のシーンは15日間ですべての季節の撮影をしたそう。映っても映らなくても、隅々まで配慮されたお茶室。鉢の中にはお菓子も用意され、四季のお花もすべて創意工夫の賜物。

演者さんの表情・声色・動きもすべて意味があると知ったあと、観ると胸に迫るものがあります。

そろそろ秋の夜長、こういう映画の楽しみ方も良いですね。

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