国道1号線
菊の香りが漂う霜月を迎え、暦の上では冬になりました。
その日は、朝8時に電車に乗り、10時に最寄りで下車、そこから3時間ほど歩いて国道1号線の最高地点に辿り着いた。トレーニングの一環。
木漏れ日はそよ風に揺られ、私を撫でるように差し込んだ。山を登った達成感と共に、今立っている景色が少しだけ輝いて見えた。
「きっと上手くいく。」
それだけが頼りだった、今シーズン。
今まで、“面白味が無い言葉だ。“と、他人事のように捉えていた。結果どうなるか分からないのに、やる前から心配するなんて。上手くいくと思ってやらないと、上手くいくものも上手くいかない。
「絶対上手くいく」
そう自分を信じていたはずなのに。
私は今年(2022年)陸上10年目にして初めて、自己ベストの出ない年になった。
正直よく分からない感情だった。
「何故?」
去年から比べて10mも記録が落ちていたことから、周りの方々に心配される度に、申し訳ない気持ちになっていた。とりあえず「ケガを理由に投げれてなくて〜」とフワフワ会話を終わらせていた。
その時は最高速度で駆けていたはずなのに、追い越し車線から大量に抜かれている。遠慮なしに。優しさだけでは勝てない。理想と現実、裏目ばかりで表にはならないと、物思いにふけていた。
最高地点に到着した時、
誰かに背中を押されたような感覚で、追い風が吹いた。先の長い道路へ、また一歩踏み出す。
険しい坂道を登って感じた苦労が、今シーズンのような山場だとしたら、
あとは下り坂を駆け降りれば楽じゃないか。
だが国道1号線の周りは、更に高い山で囲まれている。まだまだ上を目指せと言われてる気がした。
日は既に傾いて、私の前に影を作っていた。1秒先の自分が立ちはだかるかの様に。
他人がどうより、少し先の自分がどうしていたいか、が大事だと思う。勝って笑っているのか、勝って泣いているのか。
それを考えられたら全て思い通りにいく。
静かに吹いた風が木々を揺らし、木漏れ日たちが一斉に鮮やかな色を映した。
「きっと上手くいく」が
「絶対上手くいっている」へ。
(箱根湯本〜登山、計3時間半ほど)
周りの方々のサポートもあり、無事怪我から復帰
することができ、来年への弾みがつきました。
誠に感謝申し上げます。
以上、今シーズンの総括でした。