デザイン思考の「アイデア」について
デザイン思考には5つのフェーズがあるとされています。今回はその3つ目のフェーズである「アイデア」についてみていきたいと思います。その中でも特に、途中でアイデアを変更することについて考えてみます。
アイデアの発想のしかたそのものについては、前回の記事を参考にしていただければうれしいです。
アイデアを変更することについて
課題定義の変更に伴ってソリューションアイデアが変わることになるのは自然な流れです。このとき「類似のものがすでにあるから」という理由だけで変更することはやめた方がよいです。なぜなら新しいソリューションアイデアを考えたところで、それと類似のものに出会うことは避けられないからです。類似のものがあることを理由に変更すると、これの繰り返しになってしまいます。それではどのようにすればいいのでしょうか。
これの答えは前回の記事に書いたことがヒントになります。つまり、“ほんとうの”課題はどこにあるのか、という問いと向き合うということです。
類似品があることをどのように考えるか
類似品があることをどのように捉えるかも重要になります。
たとえばスマートフォンの市場を考えてみましょう。2007年にApple社がiPhoneを発売しました。Apple社が発売を始めたスマートフォンはしかし、いまやiPhoneだけではないはずです。これはどのように考えられるでしょうか。
ひとつには「類似品があることは市場があることの証左になる」ということです。あなたが生み出したアイデアは“ハズれていない”といえるわけです
また別の見方としては「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということ」があるでしょう(少し文脈は異なるのですが)。
さらに話を展開すると、類似品がある場合はそれをプロトタイプにすることも可能となります。すでにあるにもかかわらず使っていないのはなぜか。これを検証するわけです。
知らなかっただけなのか……
(もしかしたらそこまで困っていないのかも?)
以前使っていて満足せずに使用をやめたのか……
(満足しなかった部分に“ほんとうの”課題があるのかも? つまり、そこを改良すれば差別化要素となり得るかも?)
多くの学びを得ることができます。
参考文献
ジェームス・W・ヤング、1988、『アイデアのつくり方』CCCメディアハウス。