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モテる男
N先輩はモテた。
特別、かっこいいわけではなく、運動が優れているわけでもない。しかし、とにかくモテた。N先輩の自慢は「彼女を切らしたことがない」ことだった。
逆にまったくモテなかったぼくはN先輩がなぜそこまでモテるのかについて、いろいろと考え続けた。しかしいくらそれを学んだところで、ぼくが同じようにできるというわけではなかった。
一つ例を挙げると、N先輩は元カノの女友達とも平気で付き合った。それも元カノと別れてすぐである。ぼくだったらその元カノの友人関係についてあれこれ考えてしまい、とてもおいそれと元カノの女友達と付き合おうとは思わない。しかし、N先輩の答えはこうだ。
「だって好きになったんだからしょうがないじゃない」
問答無用のパワーがある。モテる紳士淑女のみなさんもおそらく同じような経験をしているのに違いない。
*
出雲神話の中で最もモテる神様といえば大国主命であろう。
古代出雲の地理誌「出雲国風土記」に神門郡・滑狭郷の由来がある。以前、紹介したスセリヒメの伝説がもとになっている。
そしてそこにはスセリヒメを祀った那売佐(なめさ)神社が建てられている。
しかし、実をいうとそこから東に5キロいったところに朝山神社という神社がある。それは「出雲国風土記」の神門郡朝山郷の由来となった、神魂命(かみむすびのみこと)の娘・真玉着玉乃邑日女命(またまつくたまのむらひめのみこと)のところに大国主命が朝毎に妻同いて(恋い慕って)通ったことからとられている。
いくら山を挟めど5キロの距離である。両地域で考えていくと、もっとも近くの場所では2キロにも満たない。当然、スセリヒメにもこのことはすぐに伝わったであろう。それなのに朝毎に通う大国主命の大胆さ。おそらく大国主命もこう思ったに違いない。
「だって好きになったんだからしょうがないじゃない」
問答無用のパワーがある。神話の時代からモテる素質というのは変わらないのかもしれない。それが周りにどのような影響を及ぼそうが、そのパワーが神話の一端を形成していることを思うとき、ぼくにはとてもまねできないがその力を畏怖せざるをえない。そして、ぼくも一生に一度くらいそういってみたいものだ(いえる日がくるのか?)。
「だって好きになったんだからしょうがないじゃない」
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今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
よかったら那売佐(なめさ)神社と朝山神社にお越しください ♪
あ、大国主命の行動についてはくれぐれも伝えないように。
後で大変なことになりますから ♪
それではお待ちしています m(_ _)m
こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
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