難しいことほど、たどり着いたときにありがたい
いつからだろう、「付加価値」をこれほどまでにつけるようになったのは。
今では、CDもストリーミングに押されているけれど、そのせいかやたらに豪華版やら特別限定版と称して、いろいろ付随品がついてくる。そういえば、漫画にもいろんな限定品がついてくるようになった。雑誌なんて付録のほうが豪華じゃないのってのも多くなっている。
まぁ、今に始まったことじゃないのかもしれない。
お菓子のおまけなんて、そのまんま「付加価値」を商品にしたようなものだ。
出雲にある珍しい神社の一つと言えば、「韓竈(からかま)神社」ではなかろうか。
最近はよくテレビでも取り上げられ、県外の観光客も増えていると見え、標識もいたるところに立つようになった。
一昔前は、ちょっと地元民でないとたどり着けないような場所だった。
地元では「かんかまさん」と呼ばれ、大切にされてきた。
「出雲国風土記」には「韓銍社(からかまのやしろ)」、延喜式には「韓竈神社」と記載されている。
祭神はスサノオで、社名の通り、韓国や鉄、銅との関係が推測できる。
地元民でないとたどり着けないと書いたが、たどり着いてからも大変で、急勾配の石段を登りきったところに、大きな岩が見えてくる。その岩と岩の隙間を通ったところに社がある。
岩と岩との隙間はおよそ45cmなので、ちょっと大きめの人は通れない。
おそらくこの神社を人気にしている一つは「なかなかたどりつけない」というところにもあるのじゃないかと思う。
無理してたどり着いたところって、なんとなく達成感もあり、ありがたかったりするじゃないですか。
そう考えると、これも一種の「付加価値」のようなものかもしれない。
「付加価値」もこれくらい古くからあると、なんだか歴史のようなものを感じたりします。