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パブリックアートやモニュメント、オブジェ、インスタレーションとかを巡り巡る。不思議な空間、日常だけど少し非日常な空間が好物。

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江之浦測候所という名状しがたくも素晴らしいアート施設

神奈川県小田原市に江之浦測候所という少し不思議な名前の施設がある。HPを見ても、正直何の施設なのか良くわからない人がほとんどではなかろうか。 それでは見終わった後にわかるかと言えばそうでもなく、強いて言えば「恒久設置作品を主体としたアート建築施設?」みたいな説明しか私にはできそうにない。 具体的にどのようなものが設置されているかと言うと、例えば、受付付近の《明月門》は元々明月院という寺院正門として室町時代に建てられたものが巡り巡ってここに寄贈・再建されている。 このように、

    • 「ATAMI ART GRANT」 ACAO SPA&RESORT展示の異様さは必見

      「ATAMI ART GRANT」という熱海で開催の中のアートプロジェクトに行ってきた。 展示の中心となっているのは、ACAO SPA&RESORTの旧ニューアカオ館(営業終了)。営業終了後のリゾートホテルを舞台にした一種のアトラクションとして中々に異様で、アート好きは勿論、RPGやSF・ファンタージ好きにも非常におすすめである。 同イベントは2021年12月12日までだが、ACAO SPA & RESORT館内展示は期間延長し12月20日までとなっているので、お時間のある

      • アートというモノの見方。《地球釜》(金町 葛飾にいじゅくみらい公園)

        休日には子ども連れで賑わうのどかな公園に、赤茶色のなんとも不可思議な丸い物体がある。名前は《地球釜》、ロマン溢れる名称である。 普段アートとして制作された作品を紹介している本noteであるが、この地球窯はアート作品ではない。損紙を蒸して再生利用できるようにするための蒸窯であり、れっきとした産業機械だったものである。地球のような球体型で回転するため、地球釜と呼ばれているらしい。 地球釜が所在している葛飾にいじゅくみらい公園は、三菱製紙中川工場の跡地再開発により整備された。中川

        • 親和、調和、ユニークさ。清水九兵衞 《江戸簪》(江戸川橋)

          近隣に大学や博物館、庭園が所在し、どことなく文化的な香りがする江戸川橋。この駅近くのビル脇広場に朱色のオブジェが登場する。 作品名は《江戸簪》だが、何の形かはよく見てもわからない。《江戸簪》は簡単な水路で囲われており、水路には作品と同じ朱色の金魚や鯉が泳ぐ。作品の色合いと金魚・鯉の調和により、なんとなく古風で雅な雰囲気が漂う一角が形成されている。 作者の清水九兵衞は「affinity」(親和)をテーマとした作品を数多く手掛けた彫刻家・陶芸家、《江戸簪》と同様に朱色を基調と

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          江戸東京博物館でSF感を最高に味わえる場所

          江戸東京博物館は、江戸・東京の歴史や文化を体感できる施設として1993年にオープン。特徴的な建物の5階・6階が常設展となっており、吹き抜けの空間に配置された江戸・東京の復元模型や体験展示により学びながら楽しめる施設だ。 この常設展で特にSF的、あるいはインスタレーション的におすすめの場所がある。 6階から入場し、6階と5階の半分が江戸ゾーン、5階のもう半分が東京ゾーンとなっている、下記が江戸ゾーンな風景。 そして、5階中盤で江戸から東京へとゾーン変更となる。 いかにも江戸

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          再開発とオブジェの力。鴻池朋子 《ワイルド シングス-地形の魔力》(淡路町)

          地面から生えた2つの白い物体はなんだろう、羽……だろうか。それとも、ウサギか何かの耳だろうか。 とにかく、この《ワイルド シングス-地形の魔力》は高さ6m、幅6mという巨大さも相まって、思わず目を向けてしまう。 淡路小学校跡地の再開発事業として誕生した複合施設ワテラスに、《ワイルド シングス-地形の魔力》は設置されている。もし作品が羽の意味も有しているのであれば、再開発という新たな出発とこの土地・地形からの羽ばたきという意味が重ね合わされているのかもしれない。 空間として

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          適度に馴染むということ。Ly 《PARK'S GRAY》(原宿)

          原宿という街はファッション! 若者文化! といったイメージが先行しがちだが、改めて歩いてみると複雑で多様な生態系が折り重なってできている。 その中で、上手く街で生きていると思わせる作品が、ペインターのLyによる《PARK'S GRAY》*1 だ。 原宿でも少し落ち着いたエリアにある《PARK'S GRAY》は、San Francisco Peaks というアメリカンダイニングカフェのミューラルとして描かれた。 現在は2体描かれているが、元々は1体のみであった。Lyが個展を行

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          こんな時だから開放感満点の神奈川県立近代美術館 葉山

          久し振りに少し遠出できると思い、行ってきたのが神奈川県立近代美術館 葉山。 元々大好きな美術館だが、この状況下で特に一押しの清々しい開放感を楽しめる場所である。 御用邸やマリンリゾートで有名な葉山の一角にあるこの美術館は、「海」・「山」・「光」の3つを体感する美術館として設計されている。海風を凌ぐため室内の気圧を上げたり、津波対策として扉を何重にもした収蔵庫が設けられたりと、海の近くの美術館を実現するための工夫もなされている。 美術館が視界に入ってきた時からその白さとガラス

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          親しみやすさと現代アート、パブリックアート。 KOSUGE1-16 《2mのペットボトル》(勝どき)

          日常的に見かける素材をやたら大きく/小さくする手法は創作の世界でよく見かけるが、《2mのペットボトル》ではその意味をストレートに味わえる。 この《2mのペットボトル》は、勝どき駅隣接の勝どきビュータワー1階に登場する。例えば、東京ビッグサイトにでっかいのこぎりが突然現れてもそういうこともあるかなと何となく思えるが、《2mのペットボトル》は街中に割と突然存在している。そこが良い。 中身もちゃんと水が入っているらしく、近寄ってみると水滴も確認出来て芸コマである。 真面目に考

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          空想ネットワークを日常に。渡辺誠《WEB FRAME》(飯田橋駅)

          エスカレーターの天井を覆う一面の緑パイプ。 思わず視線を上げると、SF的なサイバー空間、あるいは巨大植物に取り込まれてしまったかのような感覚に陥ってしまう。 大江戸線飯田橋駅に張り巡らされた《WEB FRAME》は、無意識に通り過ぎがちな駅の風景に程よいテンポと違和感を与えている。 当駅の設計を手掛けた渡辺誠による《WEB FRAME》は、ホームから改札に向かうエスカレーター天井に設置された架構だ。構成している緑パイプには蛍光灯も埋め込まれており、照明も兼ねている。設計には

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