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空想ネットワークを日常に。渡辺誠《WEB FRAME》(飯田橋駅)

エスカレーターの天井を覆う一面の緑パイプ。
思わず視線を上げると、SF的なサイバー空間、あるいは巨大植物に取り込まれてしまったかのような感覚に陥ってしまう。
大江戸線飯田橋駅に張り巡らされた《WEB FRAME》は、無意識に通り過ぎがちな駅の風景に程よいテンポと違和感を与えている。

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当駅の設計を手掛けた渡辺誠による《WEB FRAME》は、ホームから改札に向かうエスカレーター天井に設置された架構だ。構成している緑パイプには蛍光灯も埋め込まれており、照明も兼ねている。設計にはコンピュータープログラムを用いられ、一定の規則性と自由さにより自動生成された構造は、過度に乱雑でもなければ均一で堅苦しい印象もなく、狙いが見事に達成されている。

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《WEB FRAME》という名前から想起されるように、この作品には地下鉄という交通ネットワークに都市の情報ネットワークを重ね合わせたイメージが意図されている。普段利用する駅といえば味気なさの代表選手にもなりがちだが、そこに自身の空想ネットワークも重ね、日常から少し飛び出た脳内旅行に出かけてみるのも悪くない。

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住所:都営地下鉄大江戸線飯田橋駅構内

【参考】
渡辺誠. 「都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅 2000」. MAKOTO SEI WATANABE / ARCHITECT'S OFFICE, (2021-09-20)
菊川工業株式会社. 「都営大江戸線飯田橋駅の「ウェブフレーム」」. 菊川工業株式会社HP, (2021-09-20)

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