アートというモノの見方。《地球釜》(金町 葛飾にいじゅくみらい公園)
休日には子ども連れで賑わうのどかな公園に、赤茶色のなんとも不可思議な丸い物体がある。名前は《地球釜》、ロマン溢れる名称である。
普段アートとして制作された作品を紹介している本noteであるが、この地球窯はアート作品ではない。損紙を蒸して再生利用できるようにするための蒸窯であり、れっきとした産業機械だったものである。地球のような球体型で回転するため、地球釜と呼ばれているらしい。
地球釜が所在している葛飾にいじゅくみらい公園は、三菱製紙中川工場の跡地再開発により整備された。中川工場で実際に使用されていた釜が産業遺産の一種として公園に残されることとなり、現在のこの情景となっている。
公園の中だけで見ても明らかに浮いているのだが、より俯瞰的に見ると真新しいマンションやショッピング施設の中にポツンと異物が混入している感が満載で妄想喚起力がMAX。産業遺産ではなくアート作品と言われても間違えなく信じてしまうだろう。
しかし展覧会に便器を置いた作品が現代アートの走りとされているように、アートとは一種のモノの見方でもある。地球窯は産業遺産のみならずアートとしても素晴らしい、それで良いじゃないかとも思ってしまう。
住所:東京都葛飾区新宿6-3-2 葛飾にいじゅくみらい公園