夜の底|十六夜の詩【ひと色展】
あなたは
夜の底で
何を怯えているの
何がいったい
そんなに怖いの
何を恐れているの
夜はあなたに
優しいのに
夜はあなたを
ひとりにしないのに
夜の底で
あなたは好きなだけ
ひとりで穏やかに
過ごせるのに
🌑
なぜいつも
自分だけが
絶望して
いるのだろう
ほかの人には
訪れて
いないのだろうか
🌒
なぜいつも
自分だけが
かなしんで
いるのだろう
ほかの人には
訪れて
いないのだろうか
なぜいつも
自分だけが
...…...…
🌙
あっちは
明るいのに
眩しい光に
満ちていて
ほんのり暖かくて
優しい風が
吹いているのに
わかっているのに
よくわかっているのに
近づけない
近寄れない
🌓
暗い道を
ひんやりと
冷たくて
暗い道を
歩こうと
してしまう
自分がいて
そこは
心地よくは
ないけれど
よく馴染んだ
ところで
ここにいると
いくらか
落ちつく
🌔
少なくとも
傷つけられる
ことは
ないんだよ
傷つける
こともね
だから
僕は
ここにいる
闇より
静かな
🌕月の
裏側にね
🌑朔
ペインズグレイ
イシノアサミさんの「ひと色展」の企画に参加させていただきます。
このペインズグレイは、黒(ブラック)に近いけれど、まだそこまでは濃くないグレイ。色味がないように見えて見つめていると青が見えてきて、マゼンダ(赤)も入っているらしい。
複数の色が内包されていて、思ったよりも複雑な色。
心の奥深くにしんと静まり返った孤高の色、‘‘決意の色‘‘。
色の名には「ペイン」Pain(痛み)が含まれている。
本当は人の名前らしいけれど。
私にとってペインズグレイは、夜の底、月の裏側、または朔を思い起こさせる色でした。