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奈良吉野のアートフェスと吉野川を見晴らせる絶景コワーキングスペース/京都からの日帰りワーケーション旅


「◯◯の秋」という使われ続けて、早何十年のフレーズがあります。「芸術の秋」であり、「食欲の秋」であり、「行楽の秋」といった感じですね。これら3点セットを満たせるワーケーションをしてきましたので、そのレポートです。「MICE TIMES ONLINE」を運営する株式会社イザンはワーケーションを積極的に取り入れていて、その魅力をお届けしています。
今回の記事は旅レポでもあります。お役に立ちそうな情報も散りばめて、写真多めにしました。

先にお伝えしておきますと、こんなスケジュールと内容でした。

京都発・奈良吉野日帰りワーケーション スケジュール

9:00京都を出発、近鉄電車の急行を乗り継いで奈良県、吉野へ11:00近鉄吉野駅着 → 日本最古のロープウェイに乗って山上駅へ
開催中のアートフェスを巡りながら、吉野を散策11:45吉野グルメのランチタイム
さらに、金峯山寺など吉野を散策13:30ロープウェイで下山 → ご当地スイーツで休憩14:10近鉄吉野駅 → 大和上市駅へ
懐かしい雰囲気の町並みを歩いて、コワーキングスペースに到着14:30~18:00ミーティング、PCを使ってのお仕事18:30近鉄大和上市駅から 京都方面へ

吉野はどんな場所?アクセスは近鉄が便利

奈良県の吉野は、奈良県の中央、やや北寄りに位置します。「吉野熊野国立公園」に指定されている豊かな自然と歴史的遺産、そして独自の文化が息づく場所です。吉野山は「千本桜」で有名で、春には山全体が桜の花で彩られ、紅葉の美しさでも知られます。古事記、日本書紀にも登場する吉野は鎌倉時代から室町時代にかけて後醍醐天皇が南朝を開いた歴史的な地であり、さらに修験道の霊場としても知られ、霊験あらたかな場所として多くの参拝者が訪れます。

文化的には、吉野杉を使った木工製品や、地域の名物である「柿の葉寿司」が親しまれています。歴史的な背景を知っている方が、より吉野を楽しめます。鎌倉~室町の南北朝時代を少しおさらいしておくといいですね。

吉野山だけではなく、古い町家が残る伊勢街道沿いの「上市」地域も散策にはぴったりです。今回は上市にあるコワーキングスペースを訪ねました。


吉野川を渡る近鉄電車の車内。路線で一番の眺めです
確かに山奥に向かっているのですが、家々が途切れないのが不思議に思えます

アクセスとしては近鉄電車を使うのがよいでしょう。

京都からは 近鉄特急で1時間40分(特急を使わない場合は2時間半くらい)
大阪からは 近鉄特急で1時間15分
名古屋からは 近鉄特急で3時間

近鉄でアクセスできるので不便ではないのですが、京都、大阪からもそこそこ時間がかかります。山間を抜けて、車窓が都市から里、山・川に移り変わっていく様子をぜひ楽しんでいただきたいです。東京の方がイメージするなら、東武鉄道で日光まで向かうような感覚です。吉野駅で降りて、山の空気を吸い込む瞬間が、遠くまで来たと思わせてくれるので、断然鉄旅をおすすめします。

近鉄吉野駅。終着駅の旅情を感じる好きな駅です
MICE TIMES ONLINE編集長の藤井です
駅前にはお店が並びます。山栗のソフトクリームが美味でした

日本最古のロープウェイで吉野山へ

吉野駅から3分ほど歩くとロープウェイ乗り場があります。歩いて山を登ることもできますが、多くの方はロープウェイに乗ります。運営は吉野大峯ケーブル自動車。バスの運営もされていますので、奥千本や竹林院まで乗って、ロープウェイ山上駅に戻ってくるようなルートもよいかもしれません。

ロープウェイは吉野駅前の「千本口」から吉野山の「山上駅」を結びます。3分ほどの空の旅。9時台から17時台まで15分おきの運行です。桜の時期は営業時間が長くなりますが、混雑は覚悟しておきましょう。大人片道450円、往復800円です。

現存する日本でもっとも古い索道鉄道(ロープウェイ)、旅客運送用として1929年(昭和4年)開業
今回は吉野山駅から、勝手神社あたりまでを歩きます

ロープウェイの駅からは緩い坂道を進んでいくことになります。初めて訪ねると吉野山の山上に町並みと寺社が並ぶ様子に驚かれるかもしれません。

あちこちで食欲の秋の誘惑が

金峯山寺 黒門

坂道を進むと、金峯山寺(きんぷせんじ)の黒門があります。黒門は金峯山寺の総門で、吉野山の総門でもあります。高麗門の様式です。昔は公家や大名でも、槍を伏せ、下馬して通行したという格式を誇りました。

金峯山寺 銅の鳥居(かねのとりい)

高さ7.5m、すべて銅でできた鳥居です。本来の名称は「発心門」(ほっしんもん)。菩提心を発するところとされ、大峯修行を志す行者の行場のひとつ。『太平記』によると、高師直の兵火により焼け落ちたとされていて、室町時代(15世紀なかば)に再建されたと考えられています。安芸の宮島の鳥居、四天王寺の石鳥居とならぶ日本三鳥居のひとつです。


YOSHINO 20 ART FESTIVAL アート作品を体感する

今回、吉野を訪ねた目的のひとつは開催中のアートフェスです。「世界遺産登録20周年を迎える吉野で、金峯山寺を中心に広がる門前町の情緒ある町並みを歩きながら、アート作品をレンズに吉野の歴史や文化を体感できる芸術祭。(公式Webサイトより引用)」です。期間中には「MUSIC」として土日を中心に金峯山寺蔵王堂など各地でライブも行われています。

公式Webサイト https://yoshino20event.yoshino-kankou.jp/art/

会期:2024年10月12日(土) ~ 11月4日(月)
会場:奈良県 吉野町 吉野山
参加:無料
プロデューサー・アーティスト:齋藤 精一(パノラマティクス主宰)
参加アーティスト(50音順):
佐野 文彦 http://fumihikosano.jp/
SKWAT(中村 圭佑、岩崎 正人、城 正樹) https://linktr.ee/SKWAT
Marcus Maeder https://marcusmaeder.ch/
山田 愛 https://yamadaai.com/

吉野を散策しながら「行楽の秋」を満喫し、アートにも触れることで「芸術の秋」を回収できるわけです。記事中でもいくつかご紹介します。

『繋ぐ。』 SKWAT(中村 圭佑、岩崎 正人、城 正樹)

大きな鏡のような作品です。改装工事中の仮囲いに対して”つなぎ目”を加えることで価値の転換を目指す、とあります。先ほどの銅の鳥居もまた、吉野山の内と外を分ける役割とも言えますね。

『清寧の地へ』 山田愛

古い建屋を使い、中には磨かれた石を並べたインスタレーション作品が展示されています。多くの方が参加された石磨きワークショップを開催され、そこで磨かれた石も使われているそうです。この日は雨天で、外の雨に濡れた緑と屋内のモノトーンの対比がとても印象的でした。

『Growth Model』 Marcus Maeder(マルクス・メーダー)

このインスタレーションでは、成長する木々の成長の音を聴くことができます。2018年に選ばれた8本の木の成長データが、音響芸術に変換され、測定データが音の生成を制御する仕組みになっているとのこと。


金峯山寺からその奥へ…

金峯山寺 二王門

現存する金峯山寺最古の建築である国宝・二王門。めちゃくちゃ格好いい二王門ですが絶賛大修理中でした。高さ20mはある建築全部を解体する、解体修理のためかなりの時間がかかるようです。2028年の修理完了までその姿はしばらくお預けです。

金峯山寺 蔵王堂

吉野山、修験道の根本道場である金峯山寺の蔵王堂。東大寺大仏殿についで国内で2番目に大きな木造建築です。高さ34m、現在の建築は16世紀末のもの。国宝に指定されています。御本尊は金剛蔵王大権現。高さ7mほどの特徴的な青色の弥勒菩薩、釈迦如来、観音菩薩の三体。この青色は蔵王権現の慈悲と寛容を表しています。

吉野朝宮跡(よしのちょうぐうあと)

京都を逃れた後醍醐天皇は蔵王堂の西にあった実城寺を皇居とし、南朝の皇居となりました。明治に入り、廃仏毀釈で建物はなくなりました。現在は、南朝妙法殿が建ち、皇居跡公園として整備されています。

ランチは「柿の葉寿司 やっこ」さんにて

柿の葉寿司は熊野灘で穫れた鯖を塩で締め、酢飯と一緒に柿の葉でくるんだこの地方の郷土料理です。やっこさんの柿の葉寿司は特に美味しいと評判ということで、お昼ごはんは柿の葉寿司とざるうどんのセットをいただきました。山菜の小鉢もうれしいですね。よく塩が効いた柿の葉寿司は、ほどよく甘い酢飯といったいとなって、いくつでもいただけそうな美味しさでした。遠くからわざわざ食べに来る方がいるというのも納得です。

吉野には多くのお店が並んでいるので、どちらにしようかと迷う時間も楽しいです。名産の葛切りや葛を使った干菓子、ご当地ソフトクリームといったスイーツも豊富で、お茶や休憩にも困りません。店内からの山の景色が素晴らしいお店もたくさんあります。

今回は利用していませんが、旅館も多く立地しているため、吉野に宿泊されるのもおすすめします。個人的には奈良の旅は「朝」だと思います。早朝の吉野は本当に中世の天空の古都を訪れたような、なんともいえない時間が流れていますよ。

葛の干菓子は食感が独特。お土産にならずに道中で食べきってしまいそう

吉野のリトリートの拠点に 「峙 SOWA」

吉野熊野国立公園の吉野山ビジターズセンターとして使われていた建物には「峠」という文字の暖簾。ここは2024年10月12日にオープンしたばかりの「峙 SOWA」という場所です。蔵王堂のすぐそばにある建物です。

金峯山寺の麓に新たに誕生した「峙(そわ)」は、リトリートをテーマに、「自分を知る、出会いの空間」として、みなさまをお迎えします。厳選された本を通して、学んだり、物語に浸ったり、心ととのうひと時をお過ごしください。

公式Webサイトより https://yoshino-kankou.jp/sowa/

一般社団法人吉野ビジターズビューローの紙西様がいらっしゃったのでお話をうかがったところ「リトリート」をテーマにしており、今後さらに施設を充実させていくとのことでした。
開館時間は10時~16時、入場料は大人(中高生以上)200円です。選書人により選ばれた書籍が並んでおり、心地よい時間を過ごし、吉野でのリトリートの拠点になりそうな場所でした。


やさしい食感でほどよい塩味と旨味のちりめん山椒。試食して美味しかったので買って帰りました

奈良吉野、昔から変わらぬ唯一無二の天空の古都

ロープウェイの駅までは下り坂になるので、足取りは軽くなります。同じ道でも違う景色に見えるため、同じ道でも退屈しません。
吉野は学生時代から何度も訪ねていますが、ここが天空の古都であると思っています。遺跡になっているわけでもなく、今もなお信仰を集め、多くの寺社や宿、店舗、家々が並び、人々の生活や文化が息づいています。
日本国内でもこんな場所は他にはない、唯一無二です。京都や奈良を訪ねる際にもう一日旅程を伸ばせるならどこに行けばいい?、私が遠くからの旅人に尋ねられたら、吉野を推すでしょう。いや、奥琵琶湖や京都大原、若狭や小浜…と悩むかもしれませんが…。

後半、近鉄大和上市駅から絶景のコワーキングスペースへ

「MICE TIMES ONLINE」にてご覧ください

吉野の画像ギャラリーも掲載しています























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